「ま、待てミヤビ！吾輩に銃口を向けるな！！同じ【Fate】だろう？！」
「例え仲間と言えど、私の主人はお嬢様のみにございます。その主人がお望みとあらば、裏切り者と見做し対処するまでにございます」
あくまでもニッコリと笑みを浮かべたまま、引き金に指を掛けるミヤビ。
そんな彼女の行動から嘘ではないと悟ったカゲロウは両手を上げて降参した。
「貴方様は如何なさいますか？お嬢様の温情、踏み躙るような行為はしないとお誓い頂けますか？」
今度はクロロに銃口を向けて訊くミヤビ。
しかしクロロはそんな事に慌てる事もなく、あくまでも冷静に答えた。
「さっきも言ったけど、オレは――オレ達蜘蛛は今後一切ナマエの邪魔をしない。万が一団員がナマエやそこの狼男に手を出すようであれば、オレ自らが制裁するよ。これじゃダメかな？」
「結構です。では、お2人とも仲良くしてくださいませ」
綺麗な笑みを浮かべると、ミヤビは【One Light（最愛なる魔王さま）】を解除した。
「お嬢様」
「ん？」
「私はこの方のお部屋の準備をして参ります。流石にあのお部屋はお客様向けではございませんので」
「分かった。そっちは任せるよ」
「かしこまりました。それでは後程……」
恭しく礼をしたミヤビは、そのままリビングから出て行った。
「さて、と……もう私の邪魔はしないって言ったよね？」
クロロに向かって確かめるようにナマエは訊いた。
「あぁ。一切邪魔はしない。シャルとフランクリンはホームに戻ってナマエ達に一切手出ししない様に連絡をしろ」
「……アイ・サー」
「分かった」
「カゲロウもコイツのやる事を監視するに留める事。それ以上は何もしなくていい」
「……」
「カゲロウ？」
「……不服だが分かった」
「よし。なら私は仕事に取り掛かるか」
「「仕事？」」
「“魔女狩り”だよ」
そう言い切ったナマエの顔からは、一切の表情が消えていた。