魔女
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「惚れた女がそんな悲しそうな顔で歌ってるんだ。気にしない方がおかしいだろ?」
「……いい加減諦めろよ」
「無理な話だ、と以前も言っただろ」
「アンタは……クロロはさ、手に入らないからその過程を楽しんでるだけだよ。相手が私だからじゃない。だから他を当たって」
「それは違うな」
「違う?どこが?」
「確かに最初はお前の言う通り、手に入らないからこそ欲しいと思っていた。だけど、今は違う。ナマエに惚れているって気付いたんだ。だから……そんな顔しないで欲しい」
いきなり威圧的な話し方を止めたクロロは、以前街で出会った時の優しい顔になっていた。
「そんな顔って……どんなだよ…………」
「今にも泣き出しそうな顔。何をそんなに悲観してるの?」
「別に……悲観してる訳じゃない。ただ……」
「ん?」
「なんでこんなモノに振り回されなきゃならないのかって……それが理解出来ないだけ」
【指環】をなぞりながら視線を落とすナマエを、クロロは抱き寄せた。
「ちょっ……何すんだよ!?」
「黙ってて。今はただこうしていたい。それすらもキミは許してくれないの?」
「当たり前だろっ!何で私がクロロに抱きしめられなきゃならないの?!」
「オレは惚れた女が悲しそうにしているのを、黙って見ていられる程腐ってないつもりだ。こうしていたいと思ったのは、そもそもナマエが初めてだから正直自分でも戸惑っているけどね」
困った様に笑いながら抱きしめる腕に力を込めるクロロに戸惑うナマエ。
そんな2人を木陰から見ていたカゲロウは、複雑な想いを胸に秘めながら音を立てないように注意しながら来た道を戻って行った。
「……決めた」
「?」
「私は私のやり方で【Fate】として生きる。ううん。生きて――お母さんの分まで抗ってみせる。【指環】なんかに負けない!」
「そうだな。お前はそうやって笑いながら歌ってればいい」
「何それ……」
「どうやらオレはお前にはずっと笑ってて欲しいみたいだ。悲しい顔はさせたくない」
「……クロロらしくないね」
「オレらしくない――か。そうかもしれないな。でも、これもオレの一面だ」
「そっか……まぁ、今のクロロは嫌いじゃないよ。許せはしないけどね」
「言ったろ?許さなくて良いって」
顔を見合わせて、ナマエとクロロは互いに苦笑しあった。
クロロのした事はナマエにとっては許す事の出来ない事。それでも、クロロは純粋な想いをぶつけてきている。それだけはナマエにも理解出来た。あくまでも理解出来ただけであり、それ以上の事はない。ナマエはそう思っていた。
暫くそのまま抱きしめられていると、“家”の方から騒がしい音が聞こえてきた。
「何だ?」
「嫌な予感しかしないんだけど……」
「とりあえず戻るか」
「そだね」
クロロに手を引かれ立ち上がると、ナマエは音のした方角を見据えた。
「この感じ……侵入者!?ヤバい……ミヤビに怒られる!」
「は?」
「こんな時間まで家に戻ってないって事がミヤビに知られたらヤバい……絶対小言言われる…………」
「それって心配するとこか?」
「クロロはミヤビの小言の恐ろしさを知らないからそう言えるんだよ!今は兎に角気付かれない様に戻って応戦しなきゃ……」
焦りながら走り出したナマエを追いかけ、クロロも走った。
直ぐに“家”に辿り着きはしたものの、そこには明らかに不機嫌さを隠そうとしないミヤビと地面に伏している複数の“人間”がいた。
「あらお嬢様。随分と遅いご到着ですのね」
「ごめん、ミヤビ……つか、何の音だったの?」
「少々虫の居所が悪かったものですから、いつも以上に激しくし過ぎただけですわ」
笑顔を顔に貼り付けたまま言うミヤビからは、計り知れない恐怖が見て取れた。
「……いい加減諦めろよ」
「無理な話だ、と以前も言っただろ」
「アンタは……クロロはさ、手に入らないからその過程を楽しんでるだけだよ。相手が私だからじゃない。だから他を当たって」
「それは違うな」
「違う?どこが?」
「確かに最初はお前の言う通り、手に入らないからこそ欲しいと思っていた。だけど、今は違う。ナマエに惚れているって気付いたんだ。だから……そんな顔しないで欲しい」
いきなり威圧的な話し方を止めたクロロは、以前街で出会った時の優しい顔になっていた。
「そんな顔って……どんなだよ…………」
「今にも泣き出しそうな顔。何をそんなに悲観してるの?」
「別に……悲観してる訳じゃない。ただ……」
「ん?」
「なんでこんなモノに振り回されなきゃならないのかって……それが理解出来ないだけ」
【指環】をなぞりながら視線を落とすナマエを、クロロは抱き寄せた。
「ちょっ……何すんだよ!?」
「黙ってて。今はただこうしていたい。それすらもキミは許してくれないの?」
「当たり前だろっ!何で私がクロロに抱きしめられなきゃならないの?!」
「オレは惚れた女が悲しそうにしているのを、黙って見ていられる程腐ってないつもりだ。こうしていたいと思ったのは、そもそもナマエが初めてだから正直自分でも戸惑っているけどね」
困った様に笑いながら抱きしめる腕に力を込めるクロロに戸惑うナマエ。
そんな2人を木陰から見ていたカゲロウは、複雑な想いを胸に秘めながら音を立てないように注意しながら来た道を戻って行った。
「……決めた」
「?」
「私は私のやり方で【Fate】として生きる。ううん。生きて――お母さんの分まで抗ってみせる。【指環】なんかに負けない!」
「そうだな。お前はそうやって笑いながら歌ってればいい」
「何それ……」
「どうやらオレはお前にはずっと笑ってて欲しいみたいだ。悲しい顔はさせたくない」
「……クロロらしくないね」
「オレらしくない――か。そうかもしれないな。でも、これもオレの一面だ」
「そっか……まぁ、今のクロロは嫌いじゃないよ。許せはしないけどね」
「言ったろ?許さなくて良いって」
顔を見合わせて、ナマエとクロロは互いに苦笑しあった。
クロロのした事はナマエにとっては許す事の出来ない事。それでも、クロロは純粋な想いをぶつけてきている。それだけはナマエにも理解出来た。あくまでも理解出来ただけであり、それ以上の事はない。ナマエはそう思っていた。
暫くそのまま抱きしめられていると、“家”の方から騒がしい音が聞こえてきた。
「何だ?」
「嫌な予感しかしないんだけど……」
「とりあえず戻るか」
「そだね」
クロロに手を引かれ立ち上がると、ナマエは音のした方角を見据えた。
「この感じ……侵入者!?ヤバい……ミヤビに怒られる!」
「は?」
「こんな時間まで家に戻ってないって事がミヤビに知られたらヤバい……絶対小言言われる…………」
「それって心配するとこか?」
「クロロはミヤビの小言の恐ろしさを知らないからそう言えるんだよ!今は兎に角気付かれない様に戻って応戦しなきゃ……」
焦りながら走り出したナマエを追いかけ、クロロも走った。
直ぐに“家”に辿り着きはしたものの、そこには明らかに不機嫌さを隠そうとしないミヤビと地面に伏している複数の“人間”がいた。
「あらお嬢様。随分と遅いご到着ですのね」
「ごめん、ミヤビ……つか、何の音だったの?」
「少々虫の居所が悪かったものですから、いつも以上に激しくし過ぎただけですわ」
笑顔を顔に貼り付けたまま言うミヤビからは、計り知れない恐怖が見て取れた。