Fate
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「何を……したの?」
「父上から受け継いだ技だ。有事の際にここに隠してあるモノを取り出す為にな」
「叔父上様から?」
「そうだ。吾輩の血族にだけ受け継がれる技……使い勝手は悪いが、モノを隠すにはうってつけの技だな。お前の【NEVER END(セツナトリップ)】と同じく、自身で生み出した【能力】ではない」
「カゲロウは……」
「ん?」
「カゲロウはどこまで知ってるの?」
不安を隠すこと無く、ナマエはカゲロウを見上げた。
「【指環】については詳しい事は何も知らん。だが、父上は何かを知っていた節があった」
「そう……」
「そんな不安がるな。さっさと見つけてミヤビが待つ“家”に戻るぞ」
カゲロウの声に意を決したナマエは、洞穴へと足を踏み入れた。
洞穴の中は誰が焚いたでもなく松明が灯っており、先程通った洞窟には無い不思議な仕掛けだとナマエは思った。
「以前はスプリガンという種族が護っていたのだがな。奴等は里が滅んだと同時にここから立ち去った。松明の仕掛けはスプリガンの残した技術だ」
「なんだか……私の知らない事ばかりだね…………」
「そう嘆くな。本来であれば先代から正式に継承する際に全て教えられる物だったんだ。それは吾輩も同じだ」
まるで先導するかの様に、歩く度に松明が灯っていく洞穴。分かれ道に差し掛かった時にも、まるで何を探しているのかを知っているかのごとく松明が導いてくれた。
「スプリガンの技術は一体どういう原理なんだろう?」
「……吾輩が知っている限りでは、その者の探している“物”がある場所へ導くと言う事だけだ。本来ならば、先程の分かれ道でスプリガンにその実力を試される。だが、先代は無条件でこの洞穴の最奥まで通れたと聞いた事がある」
「なんで?」
「【指環】の持ち主だからだ。その【指環】には悪意のある者には制裁を、善意のある者には祝福を齎す。故に善意の塊とも言える先代を無条件でスプリガンも受け入れていたんだ」
「確かにお母さんは優しい人だったんだと思う。私が産まれた後も、カゲロウと叔父上様を追い出すどころか、兄妹の様に育ててたってシルバ小父様も言ってたし……」
「お前にもその優しさは受け継がれている。だからこそ、無益な殺生を好まず、争い事を嫌ってきたのだからな。なのに、“家族”や“友”の事になると形振り構わず格上にも抗う真似をする。血は争えないという事だな」
クツリと笑うと、カゲロウは1枚の重厚なドアの前で立ち止まった。
「この部屋だ」
言いながらドアに手をかけるカゲロウ。何の躊躇いも見せずにドアを開けると、そこは書庫になっていた。
「凄い……」
ナマエの眼前に広がるのは、小さな図書館と引けをとらない程の広さの空間だった。
所狭しと並べられた古書と巻物。その中に【指環】に関する物があると思うと、探すだけで一苦労だろう。
「さっさと探して帰るぞ。ミヤビを怒らせると厄介だからな」
心底嫌そうに表情を歪めるカゲロウを見て、ナマエはクスリと笑った。
「面白がっている場合か?いや、寧ろミヤビの本性を知らぬから笑えるのか……?」
「ミヤビの本性?」
「アイツは……ミヤビはシルキー族――即ち“家”を護るのが役目の“妖精”だ。あいつの【能力】は厄介なんだ……テリトリー内に入った侵入者は、尽く【能力】が使えないただの“人間”になる。そして……ただの“人間”が“妖精”に勝てるわけがないだろう?ただでさえ、あの近辺は【能力者】しか入れない空間になっているのだからな」
「じゃあ……」
「まぁ、死にはしなくとも綺麗に“掃除”されるだろうな。さて……確か父上が言っていたのはこの辺りだったハズ…………」
ガサゴソと巻物の山をかき分けるカゲロウ。ナマエは何をすればいいのか判らずにただ眺めていた。
「父上から受け継いだ技だ。有事の際にここに隠してあるモノを取り出す為にな」
「叔父上様から?」
「そうだ。吾輩の血族にだけ受け継がれる技……使い勝手は悪いが、モノを隠すにはうってつけの技だな。お前の【NEVER END(セツナトリップ)】と同じく、自身で生み出した【能力】ではない」
「カゲロウは……」
「ん?」
「カゲロウはどこまで知ってるの?」
不安を隠すこと無く、ナマエはカゲロウを見上げた。
「【指環】については詳しい事は何も知らん。だが、父上は何かを知っていた節があった」
「そう……」
「そんな不安がるな。さっさと見つけてミヤビが待つ“家”に戻るぞ」
カゲロウの声に意を決したナマエは、洞穴へと足を踏み入れた。
洞穴の中は誰が焚いたでもなく松明が灯っており、先程通った洞窟には無い不思議な仕掛けだとナマエは思った。
「以前はスプリガンという種族が護っていたのだがな。奴等は里が滅んだと同時にここから立ち去った。松明の仕掛けはスプリガンの残した技術だ」
「なんだか……私の知らない事ばかりだね…………」
「そう嘆くな。本来であれば先代から正式に継承する際に全て教えられる物だったんだ。それは吾輩も同じだ」
まるで先導するかの様に、歩く度に松明が灯っていく洞穴。分かれ道に差し掛かった時にも、まるで何を探しているのかを知っているかのごとく松明が導いてくれた。
「スプリガンの技術は一体どういう原理なんだろう?」
「……吾輩が知っている限りでは、その者の探している“物”がある場所へ導くと言う事だけだ。本来ならば、先程の分かれ道でスプリガンにその実力を試される。だが、先代は無条件でこの洞穴の最奥まで通れたと聞いた事がある」
「なんで?」
「【指環】の持ち主だからだ。その【指環】には悪意のある者には制裁を、善意のある者には祝福を齎す。故に善意の塊とも言える先代を無条件でスプリガンも受け入れていたんだ」
「確かにお母さんは優しい人だったんだと思う。私が産まれた後も、カゲロウと叔父上様を追い出すどころか、兄妹の様に育ててたってシルバ小父様も言ってたし……」
「お前にもその優しさは受け継がれている。だからこそ、無益な殺生を好まず、争い事を嫌ってきたのだからな。なのに、“家族”や“友”の事になると形振り構わず格上にも抗う真似をする。血は争えないという事だな」
クツリと笑うと、カゲロウは1枚の重厚なドアの前で立ち止まった。
「この部屋だ」
言いながらドアに手をかけるカゲロウ。何の躊躇いも見せずにドアを開けると、そこは書庫になっていた。
「凄い……」
ナマエの眼前に広がるのは、小さな図書館と引けをとらない程の広さの空間だった。
所狭しと並べられた古書と巻物。その中に【指環】に関する物があると思うと、探すだけで一苦労だろう。
「さっさと探して帰るぞ。ミヤビを怒らせると厄介だからな」
心底嫌そうに表情を歪めるカゲロウを見て、ナマエはクスリと笑った。
「面白がっている場合か?いや、寧ろミヤビの本性を知らぬから笑えるのか……?」
「ミヤビの本性?」
「アイツは……ミヤビはシルキー族――即ち“家”を護るのが役目の“妖精”だ。あいつの【能力】は厄介なんだ……テリトリー内に入った侵入者は、尽く【能力】が使えないただの“人間”になる。そして……ただの“人間”が“妖精”に勝てるわけがないだろう?ただでさえ、あの近辺は【能力者】しか入れない空間になっているのだからな」
「じゃあ……」
「まぁ、死にはしなくとも綺麗に“掃除”されるだろうな。さて……確か父上が言っていたのはこの辺りだったハズ…………」
ガサゴソと巻物の山をかき分けるカゲロウ。ナマエは何をすればいいのか判らずにただ眺めていた。