Fate
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諭すように言うカゲロウの口調に逆らえず、ミヤビの居る部屋を一瞥すると裏口から外へと走り出した。
「さぁ、招かれざるお客様のおもてなしを致しませねば」
クスリと笑うミヤビの顔を、この時はまだ誰も知らなかった。
鬱蒼と茂る森の中を、ナマエはカゲロウに導かれる様に只管走っていた。
ある程度走った所で、後方から爆音が聞こえてきた。
「!?」
「……ミヤビのテリトリーに侵入したようだな」
「なっ……ミヤビを助けなきゃ!!」
引き返そうとするナマエの腕を掴み、カゲロウは止めた。
「彼女なら大丈夫だ。侵入者は皆、彼女に追い出される。だからこそ、あの家は何があっても朽ち果てないんだ。今は一刻も早く離れるぞ」
「離れるって……一体何処に向かうつもりなの?!」
「……我輩達一族の里だ」
「フェンリル族の……里?」
「あぁ、そうだ」
「そこに……何かあるんだね?」
「先代達の遺物の一部だが、里に隠してある」
「…………分かった。行こう」
家のある方向から視線を戻すと、ナマエはカゲロウを見上げた。その目に迷いはなかった。
それから小一時間程走ったであろうか。見覚えのある洞窟がナマエの目に飛び込んできた。
「着いたぞ」
「ここって……」
「そうだ。“あの時”吾輩と共に身を隠した洞窟だ」
「そんな――ここが……ここにあるっていうの?」
「あぁ。この洞窟の奥にある。吾輩が生まれた里へと通じる道がな」
「どういう……事?」
「吾輩の一族が住んでいた里に古くから伝わる書物があってな。それに【指環】について記載されている物があると父上に聞いた事がある。過去の遺物としか思っていなかったが……今となっては唯一の希望になり得るかもしれぬな」
カゲロウはそう言いながらナマエの手を取り、洞窟へと足を踏み入れた。
洞窟内は入り口こそ月明かりで照らされているが、中に入るほど闇に包まれていく。
「……カゲロウ」
「なんだ?」
「こんなに暗いのに、道判るの?」
「あぁ、大丈夫だ。“匂い”で判るからな」
「“匂い”?」
「そうだ。たとえ滅んでいようと、同族の“匂い”は色濃く残っているモノだ」
クンッと鼻を鳴らしながら、カゲロウの足取りは迷うことがなかった。
やがて遙か前方に薄っすらと明かりが見えてきた。
「ここが……フェンリル族の里…………?」
「そう、吾輩の――フェンリル族の里だ」
月明かりに照らし出されたのは、無数の風化している家屋の跡地。焼き払われたであろう痕跡も見て取れた。
「酷い有様だろう?」
「うん……」
「“人間”共にヤられた」
「!?」
「安心しろ。吾輩は恨みなどとっくに忘れた。恨みは何も生み出さぬ。それ故に吾輩は恨む事を止めた」
「……ごめん」
「何故お前が謝る?」
「私も“人間”と同じだから……だから、ごめん」
「お前は“人間”じゃない。吾輩の“友”であり“家族”だ。謝られる筋合いはない」
「でもっ――」
「さぁ、着いたぞ」
何かを言いかけたナマエだが、カゲロウが立ち止まった事で言葉を飲み込んだ。
連れて来られたのは小さな洞穴の前だった。子供がやっと入れるような、そんな大きさだった。
「ここに……あるの?」
「そうだ。この穴の中に隠してあるらしい」
「どうやって見つけ出すのさ、こんな小さな穴なのに……」
「こうするのだ――【Run With Wolves(革命の血脈)】」
カゲロウが洞穴に向かって手を翳し呟くと、そこから淡い光が現れた。
やがてその光が収まると、目の前に現れたのはカゲロウがやっと入れる位の大きさの洞穴だった。
「さぁ、招かれざるお客様のおもてなしを致しませねば」
クスリと笑うミヤビの顔を、この時はまだ誰も知らなかった。
鬱蒼と茂る森の中を、ナマエはカゲロウに導かれる様に只管走っていた。
ある程度走った所で、後方から爆音が聞こえてきた。
「!?」
「……ミヤビのテリトリーに侵入したようだな」
「なっ……ミヤビを助けなきゃ!!」
引き返そうとするナマエの腕を掴み、カゲロウは止めた。
「彼女なら大丈夫だ。侵入者は皆、彼女に追い出される。だからこそ、あの家は何があっても朽ち果てないんだ。今は一刻も早く離れるぞ」
「離れるって……一体何処に向かうつもりなの?!」
「……我輩達一族の里だ」
「フェンリル族の……里?」
「あぁ、そうだ」
「そこに……何かあるんだね?」
「先代達の遺物の一部だが、里に隠してある」
「…………分かった。行こう」
家のある方向から視線を戻すと、ナマエはカゲロウを見上げた。その目に迷いはなかった。
それから小一時間程走ったであろうか。見覚えのある洞窟がナマエの目に飛び込んできた。
「着いたぞ」
「ここって……」
「そうだ。“あの時”吾輩と共に身を隠した洞窟だ」
「そんな――ここが……ここにあるっていうの?」
「あぁ。この洞窟の奥にある。吾輩が生まれた里へと通じる道がな」
「どういう……事?」
「吾輩の一族が住んでいた里に古くから伝わる書物があってな。それに【指環】について記載されている物があると父上に聞いた事がある。過去の遺物としか思っていなかったが……今となっては唯一の希望になり得るかもしれぬな」
カゲロウはそう言いながらナマエの手を取り、洞窟へと足を踏み入れた。
洞窟内は入り口こそ月明かりで照らされているが、中に入るほど闇に包まれていく。
「……カゲロウ」
「なんだ?」
「こんなに暗いのに、道判るの?」
「あぁ、大丈夫だ。“匂い”で判るからな」
「“匂い”?」
「そうだ。たとえ滅んでいようと、同族の“匂い”は色濃く残っているモノだ」
クンッと鼻を鳴らしながら、カゲロウの足取りは迷うことがなかった。
やがて遙か前方に薄っすらと明かりが見えてきた。
「ここが……フェンリル族の里…………?」
「そう、吾輩の――フェンリル族の里だ」
月明かりに照らし出されたのは、無数の風化している家屋の跡地。焼き払われたであろう痕跡も見て取れた。
「酷い有様だろう?」
「うん……」
「“人間”共にヤられた」
「!?」
「安心しろ。吾輩は恨みなどとっくに忘れた。恨みは何も生み出さぬ。それ故に吾輩は恨む事を止めた」
「……ごめん」
「何故お前が謝る?」
「私も“人間”と同じだから……だから、ごめん」
「お前は“人間”じゃない。吾輩の“友”であり“家族”だ。謝られる筋合いはない」
「でもっ――」
「さぁ、着いたぞ」
何かを言いかけたナマエだが、カゲロウが立ち止まった事で言葉を飲み込んだ。
連れて来られたのは小さな洞穴の前だった。子供がやっと入れるような、そんな大きさだった。
「ここに……あるの?」
「そうだ。この穴の中に隠してあるらしい」
「どうやって見つけ出すのさ、こんな小さな穴なのに……」
「こうするのだ――【Run With Wolves(革命の血脈)】」
カゲロウが洞穴に向かって手を翳し呟くと、そこから淡い光が現れた。
やがてその光が収まると、目の前に現れたのはカゲロウがやっと入れる位の大きさの洞穴だった。