逃亡
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言いたい事を言い終えたのか、イルミはナマエ達に背を向けた。
そしてドアの前で立ち止まると、振り返りながら言った。
「そうそう、親父怒ってたから。多分後で呼び出されると思うよ」
「……分かった」
イルミが完全に立ち去った後、ナマエはカゲロウを見つめて呟いた。
「あの頃に戻りたいよ……」
「気持ちは解かるが……【Fate】となったからには遣り遂げねばならん。それが我輩達の“宿命”だ」
あれから直ぐに、ナマエはシルバの部屋へと呼び出された。
「何故呼ばれたかは解っているな?」
「……はい」
「まずはお前の言い分を訊こう」
「今更言い訳なんかしません。“枷”がないと暴走するのはいつもの事ですから」
「ほぅ……お前はフェンリルがいないだけで暴走すると言うのか?違うだろう?」
「違いません。フェンリル――カゲロウがいないと“力”の制御が出来ないんです。あの時からそれは変わっていません」
真っ直ぐにシルバの目を見つめながら、ナマエが続けた。
「この【指環】を託されたあの時から……私は自分の“力”が制御出来なくなったんです」
「それはただの“甘え”だな」
「そう……かもしれません」
「オレはお前に“無茶はするな”と言った。そしてお前はそれに了承した」
「……はい」
「しかし、お前は結果的にオレの言葉に逆らった」
「ごめん……なさい」
「謝って済む問題じゃない事は解っているんだろう?オレが止めなければ、お前は最悪死んでいた。アイツの持っていたベンズナイフにはそれだけの殺傷能力があった」
諭すように言っているシルバだが、その言葉からは威圧感しか感じられない。
「お前が死んだら、間違いなくフェンリルは暴走する。それでどれだけの犠牲者が出るか、理解出来ているのか?少なくとも何百人単位の犠牲者が出るんだぞ?」
「それは――」
「お前が【指環】の“守り人”になったのと同時に、フェンリルはお前の“護衛”になったと聞いている。“人間”には決して付くはずのない“精霊”のフェンリルが自我を失えばどうなるか――お前なら解かるだろ?お前達は互いの“枷”となっているんだ。それを忘れたのか?」
「……ッ」
「お前の本来の“力”は底知れぬモノだ。確かに“枷”がなければ、幻影旅団相手でも死ぬ事はないだろう。が、ソレは【指環】に“飲まれる”事になる。【指環】に“飲まれた”らどうなるか、それは目の当たりにしているお前なら嫌でも判っているはずだ」
「確かに……【指環】に“飲まれた”らどうなるかは判っています。けど、私には“家族”を護る事の方が大事なんです」
自らの拳を握りしめ、そこから血を滴らせるナマエ。そんな彼女を見て、シルバは溜息を漏らした。
「まったく……先代に負けず劣らずの頑固者だな。短気で直ぐに怒る所まで似るとは――血は争えない物だ」
「でも、そんな私でもシルバ小父様達は受け入れてくれるんでしょう?だからこそ、こんな事になっても追い出そうとしない」
「お前を追い出したら、後始末が大変だからな」
クツリと笑うシルバに、ナマエは安堵した。こんな自分でも、必要としてくれる人達がいる。【指環】の“力”ではなく、1人の“人間”として必要とされている事を実感した。
「何を笑っているんだ?」
「いえ……なんだか嬉しくて」
「嬉しい?」
「はい。こんな忌まわしい“力”を持っているのに、それでも私を“人間”として扱ってくれるシルバ小父様達に拾って頂けた事が嬉しいんです」
「ふっ……先代との約束でもあるしな」
「先代は……お母さんは何故【指環】の“力”に飲まれたんでしょうか?」
「それは……お前達を護る為だ」
「私達を?」
「そうだ。お前とお前の母親には、ほんの僅かだが“神”と呼ばれているモノの“血”が受け継がれている。それ故に【Fate】の名を引き継いでいるんだ」
そしてドアの前で立ち止まると、振り返りながら言った。
「そうそう、親父怒ってたから。多分後で呼び出されると思うよ」
「……分かった」
イルミが完全に立ち去った後、ナマエはカゲロウを見つめて呟いた。
「あの頃に戻りたいよ……」
「気持ちは解かるが……【Fate】となったからには遣り遂げねばならん。それが我輩達の“宿命”だ」
あれから直ぐに、ナマエはシルバの部屋へと呼び出された。
「何故呼ばれたかは解っているな?」
「……はい」
「まずはお前の言い分を訊こう」
「今更言い訳なんかしません。“枷”がないと暴走するのはいつもの事ですから」
「ほぅ……お前はフェンリルがいないだけで暴走すると言うのか?違うだろう?」
「違いません。フェンリル――カゲロウがいないと“力”の制御が出来ないんです。あの時からそれは変わっていません」
真っ直ぐにシルバの目を見つめながら、ナマエが続けた。
「この【指環】を託されたあの時から……私は自分の“力”が制御出来なくなったんです」
「それはただの“甘え”だな」
「そう……かもしれません」
「オレはお前に“無茶はするな”と言った。そしてお前はそれに了承した」
「……はい」
「しかし、お前は結果的にオレの言葉に逆らった」
「ごめん……なさい」
「謝って済む問題じゃない事は解っているんだろう?オレが止めなければ、お前は最悪死んでいた。アイツの持っていたベンズナイフにはそれだけの殺傷能力があった」
諭すように言っているシルバだが、その言葉からは威圧感しか感じられない。
「お前が死んだら、間違いなくフェンリルは暴走する。それでどれだけの犠牲者が出るか、理解出来ているのか?少なくとも何百人単位の犠牲者が出るんだぞ?」
「それは――」
「お前が【指環】の“守り人”になったのと同時に、フェンリルはお前の“護衛”になったと聞いている。“人間”には決して付くはずのない“精霊”のフェンリルが自我を失えばどうなるか――お前なら解かるだろ?お前達は互いの“枷”となっているんだ。それを忘れたのか?」
「……ッ」
「お前の本来の“力”は底知れぬモノだ。確かに“枷”がなければ、幻影旅団相手でも死ぬ事はないだろう。が、ソレは【指環】に“飲まれる”事になる。【指環】に“飲まれた”らどうなるか、それは目の当たりにしているお前なら嫌でも判っているはずだ」
「確かに……【指環】に“飲まれた”らどうなるかは判っています。けど、私には“家族”を護る事の方が大事なんです」
自らの拳を握りしめ、そこから血を滴らせるナマエ。そんな彼女を見て、シルバは溜息を漏らした。
「まったく……先代に負けず劣らずの頑固者だな。短気で直ぐに怒る所まで似るとは――血は争えない物だ」
「でも、そんな私でもシルバ小父様達は受け入れてくれるんでしょう?だからこそ、こんな事になっても追い出そうとしない」
「お前を追い出したら、後始末が大変だからな」
クツリと笑うシルバに、ナマエは安堵した。こんな自分でも、必要としてくれる人達がいる。【指環】の“力”ではなく、1人の“人間”として必要とされている事を実感した。
「何を笑っているんだ?」
「いえ……なんだか嬉しくて」
「嬉しい?」
「はい。こんな忌まわしい“力”を持っているのに、それでも私を“人間”として扱ってくれるシルバ小父様達に拾って頂けた事が嬉しいんです」
「ふっ……先代との約束でもあるしな」
「先代は……お母さんは何故【指環】の“力”に飲まれたんでしょうか?」
「それは……お前達を護る為だ」
「私達を?」
「そうだ。お前とお前の母親には、ほんの僅かだが“神”と呼ばれているモノの“血”が受け継がれている。それ故に【Fate】の名を引き継いでいるんだ」