逃亡
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(あまり頼りたくはないけど……フェンリルの傷が治るまでは彼処に隠れさせて貰うか…………)
クロロ達の仮宿から脱出したナマエは、そんな事を思いながら霧の立ち籠める山林を人型に戻ったフェンリルを担ぎながら歩いていた。
暫く歩いていると、前方から木々が揺れる音が聞こえ大きな影がナマエとフェンリルに覆い被さった。
ナマエが視線を上げると、そこには狼になった時のフェンリルよりもさらに巨大な犬がいた。
「ミケ……久しぶりだね」
そう言いながら見上げているナマエに、ミケは体勢を低くしナマエに顔をすり寄せた。
そんなミケの頭を撫でてやると、今度は背後から声が掛かった。
「侵入者かと思ったら――なんだ、ナマエか」
「久しぶり。イルミ」
「久しぶりだね。どうしたの?いきなり来て。それに、彼の怪我……」
「ちょっと厄介な事になってね……フェンリルの傷が癒えるまで、お邪魔してもいいかな?」
「うん。いいよ。ナマエの頼みは断れないからね」
言い終わると、イルミと呼ばれた黒髪ロングの青年はナマエからフェンリルを受け取り頷いた。
「それにしても、彼をここまで傷つけられる奴なんていたんだね」
「私もビックリしてる。けど、それ以上に許せない。いつか絶対に殺してやる!」
「ナマエにしては珍しく物騒な事言うね」
「場所が悪かったにせよ、フェンリルがこんな事になるのは初めてだから……尚更許せないんだよ。“家族”を傷つけられて『いいですよ』って言える性分じゃ無いしね」
迷う事無く山林を進んでいく2人は、より一層霧が立ち籠めている事を気にもかけなかった。
「でもナマエが来た事、確実に母さんは喜ぶだろうね」
「そう?キキョウ小母様達は元気にしてる?」
「生きてるから元気なんじゃない?」
「いやいやいや……」
「?」
イルミがナマエの言っている事を理解出来ないでいる内に、2人は大きな屋敷の前に辿り着いていた。
「お帰りなさいませ、イルミ様。ナマエ様もお久しぶりにございます」
「お久しぶり、ゴトーさん。暫くの間厄介になるから、またよろしくね」
「かしこまりました。それにしても……随分と酷いお怪我をされているようですね」
ゴトーと呼ばれた執事服の男は、眉を顰めながらフェンリルを見た。
「ちょっと厄介な事になっててね……その時に私を護ろうとしてこうなったんだ」
「至急医師の手配を致しましょう」
「お願いね」
ゴトーに医師の手配を任せ、ナマエとイルミは屋敷の中へと足を踏み入れた。
「ナマエ達の部屋はそのままにしてあるから」
「ありがとう」
「今はお礼よりも、彼の処置をした方がいいと思うよ」
そう言いながら、イルミはフェンリルを担いで廊下を進んでいった。
その姿をボーッと眺めていると、背後が騒がしくなっていた。
「まぁまぁ、ナマエちゃん!来るなら来るって言ってくれればいいのに!」
「ご無沙汰しております、キキョウ小母様」
「“小母様”なんて他人行儀な言い方は止めてちょうだい!私の事は“お母様”って呼んでちょうだいってあれ程言ってるじゃないの!」
「はぁ……」
「それにしても、そんな血塗れの格好をしてどうしたの?まさか……誰かに虐められたの?!」
わなわなと震えながら、イルミの母であるキキョウは今にもその手に持っている扇子を折りそうになっていた。
「虐められたというか……フェンリルがこっ酷くヤられたんです」
「なんですって!?キーッ!許せないわ!!」
「そうがなり立てるな、キキョウ」
「……お邪魔してます、シルバ小父様」
キキョウの後ろから、ナマエがよく知っている巨大なオーラの持ち主が姿を現した。
クロロ達の仮宿から脱出したナマエは、そんな事を思いながら霧の立ち籠める山林を人型に戻ったフェンリルを担ぎながら歩いていた。
暫く歩いていると、前方から木々が揺れる音が聞こえ大きな影がナマエとフェンリルに覆い被さった。
ナマエが視線を上げると、そこには狼になった時のフェンリルよりもさらに巨大な犬がいた。
「ミケ……久しぶりだね」
そう言いながら見上げているナマエに、ミケは体勢を低くしナマエに顔をすり寄せた。
そんなミケの頭を撫でてやると、今度は背後から声が掛かった。
「侵入者かと思ったら――なんだ、ナマエか」
「久しぶり。イルミ」
「久しぶりだね。どうしたの?いきなり来て。それに、彼の怪我……」
「ちょっと厄介な事になってね……フェンリルの傷が癒えるまで、お邪魔してもいいかな?」
「うん。いいよ。ナマエの頼みは断れないからね」
言い終わると、イルミと呼ばれた黒髪ロングの青年はナマエからフェンリルを受け取り頷いた。
「それにしても、彼をここまで傷つけられる奴なんていたんだね」
「私もビックリしてる。けど、それ以上に許せない。いつか絶対に殺してやる!」
「ナマエにしては珍しく物騒な事言うね」
「場所が悪かったにせよ、フェンリルがこんな事になるのは初めてだから……尚更許せないんだよ。“家族”を傷つけられて『いいですよ』って言える性分じゃ無いしね」
迷う事無く山林を進んでいく2人は、より一層霧が立ち籠めている事を気にもかけなかった。
「でもナマエが来た事、確実に母さんは喜ぶだろうね」
「そう?キキョウ小母様達は元気にしてる?」
「生きてるから元気なんじゃない?」
「いやいやいや……」
「?」
イルミがナマエの言っている事を理解出来ないでいる内に、2人は大きな屋敷の前に辿り着いていた。
「お帰りなさいませ、イルミ様。ナマエ様もお久しぶりにございます」
「お久しぶり、ゴトーさん。暫くの間厄介になるから、またよろしくね」
「かしこまりました。それにしても……随分と酷いお怪我をされているようですね」
ゴトーと呼ばれた執事服の男は、眉を顰めながらフェンリルを見た。
「ちょっと厄介な事になっててね……その時に私を護ろうとしてこうなったんだ」
「至急医師の手配を致しましょう」
「お願いね」
ゴトーに医師の手配を任せ、ナマエとイルミは屋敷の中へと足を踏み入れた。
「ナマエ達の部屋はそのままにしてあるから」
「ありがとう」
「今はお礼よりも、彼の処置をした方がいいと思うよ」
そう言いながら、イルミはフェンリルを担いで廊下を進んでいった。
その姿をボーッと眺めていると、背後が騒がしくなっていた。
「まぁまぁ、ナマエちゃん!来るなら来るって言ってくれればいいのに!」
「ご無沙汰しております、キキョウ小母様」
「“小母様”なんて他人行儀な言い方は止めてちょうだい!私の事は“お母様”って呼んでちょうだいってあれ程言ってるじゃないの!」
「はぁ……」
「それにしても、そんな血塗れの格好をしてどうしたの?まさか……誰かに虐められたの?!」
わなわなと震えながら、イルミの母であるキキョウは今にもその手に持っている扇子を折りそうになっていた。
「虐められたというか……フェンリルがこっ酷くヤられたんです」
「なんですって!?キーッ!許せないわ!!」
「そうがなり立てるな、キキョウ」
「……お邪魔してます、シルバ小父様」
キキョウの後ろから、ナマエがよく知っている巨大なオーラの持ち主が姿を現した。