獲物
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「団長を放しな」
「……」
「放せばこの犬コロ放すね」
「吾輩の事は考えるな!」
「…………」
「ナマエ!吾輩よりも自身の生命(いのち)を優先するんだ!!」
「犬コロは黙るね」
「ガハッ……」
男が持っている刃をフェンリルに突き刺した。
「……ろ」
「聞こえないね」
「止めろつってんだ!!」
男に対し怒りを露わにするナマエ。そんな一瞬の隙きに、クロロは動いた。
頭がボーっとする。そんな感覚で重い瞼を開けたナマエの目には、見慣れない天井が映った。
「やっと起きたか」
不意に掛けられた声に視線を移し、ナマエは勢いよく起き上がり構えた。
「そう警戒するな。別に取って食おうって訳じゃないんだ」
「……どこだ」
「ん?」
「フェンリルはどこだ?!クロロ!!」
いきなり起き上がった事で多少の目眩を感じつつも、ナマエは敵意を隠そうとしなかった。
「こんな状況でもアイツの心配をするのか?」
「こんな状況だからこそだ!フェンリルに何かしてみろ!!その時は――今度こそ貴様を殺す!!!」
「まるで手負いの野生動物だな」
「何とでも言え!貴様の狙いは私だろ!?フェンリルは関係ないはずだ!!」
威嚇するかのように声を荒らげるナマエ。
しかし、クロロはそんな彼女を見ても眉一つ動かさなかった。
「オレの狙いは【Fate】だ」
「?」
「【Fate】は――お前とアイツの事を指すんじゃないのか?」
「!?」
「どうやら図星のようだな」
クロロの口から出た言葉に、ナマエの表情が一変した。
その事でクロロの疑念は確信へと変わった。
「おかしいと思ったんだ。お前がアイツを犠牲にする事を拒んだ時にな……【Fate】とは“不可避な運命”を意味する。なのに――お前はアイツを守ろうとした」
「……」
「それは何故か?【Fate】の正体がお前達2人を指すのであれば、答えは見えてくる。お前達は何らかの“誓約”で縛られているのだとな」
「……そこまで解ったなら、フェンリルを開放しろ。【Fate】は実質私1人だ。フェンリルは“誓約”で私に仕えているに過ぎない」
「嫌だ、と言ったら?」
「刺し違えてでも貴様を殺す!!」
「物騒な話はそこまでよ」
今にもクロロに向かって攻撃しそうなナマエを止めたのは、長身の女の声だった。
「……パクか。何の用だ?」
「“彼”の意識が戻ったわ」
「分かった。ナマエ」
「……何?」
「アイツに会わせてやる。オレは先に行く。パク、ナマエを連れて来い」
「分かったわ」
クロロにパクと呼ばれた女は了承し、彼が部屋を出て行くのを黙って見送った。
「さて……私はパクノダよ。貴女のことは何て呼べばいいのかしら?」
パクノダと名乗った女は、ナマエを真っ直ぐに見据えながら問うてきた。
「……好きに呼べばいい」
「そう。確か……“ナマエ”だったわよね。私の事はパクでいいわ。私も貴女の事はナマエって呼ぶから」
言い切ると、パクノダはナマエに手を差し出した。
その様を怪訝な目で見ていると、手を取るように促された。
「貴女のお友達の所に案内してあげるわ」
「……無事なのか?」
「?」
「フェンリルは無事なのかって訊いてるんだよ!」
声を荒げるナマエを何ともない様に見返しながら、パクノダは告げた。
「貴女が大人しくしているなら、団長もこれ以上彼に危害を加えないと思うわ」
「…………本当だな?」
「えぇ。こんな事で嘘を吐くのはヒソカ位よ」
苦笑しながら言うパクノダの言葉に、ヒソカの様なあからさまな嘘は見受けられなかった。
意を決し、パクノダの手を取ったナマエ。そんな彼女の行動にどこか安心感を覚えながら、パクノダはナマエをフェンリルの元へと導いた。
「……」
「放せばこの犬コロ放すね」
「吾輩の事は考えるな!」
「…………」
「ナマエ!吾輩よりも自身の生命(いのち)を優先するんだ!!」
「犬コロは黙るね」
「ガハッ……」
男が持っている刃をフェンリルに突き刺した。
「……ろ」
「聞こえないね」
「止めろつってんだ!!」
男に対し怒りを露わにするナマエ。そんな一瞬の隙きに、クロロは動いた。
頭がボーっとする。そんな感覚で重い瞼を開けたナマエの目には、見慣れない天井が映った。
「やっと起きたか」
不意に掛けられた声に視線を移し、ナマエは勢いよく起き上がり構えた。
「そう警戒するな。別に取って食おうって訳じゃないんだ」
「……どこだ」
「ん?」
「フェンリルはどこだ?!クロロ!!」
いきなり起き上がった事で多少の目眩を感じつつも、ナマエは敵意を隠そうとしなかった。
「こんな状況でもアイツの心配をするのか?」
「こんな状況だからこそだ!フェンリルに何かしてみろ!!その時は――今度こそ貴様を殺す!!!」
「まるで手負いの野生動物だな」
「何とでも言え!貴様の狙いは私だろ!?フェンリルは関係ないはずだ!!」
威嚇するかのように声を荒らげるナマエ。
しかし、クロロはそんな彼女を見ても眉一つ動かさなかった。
「オレの狙いは【Fate】だ」
「?」
「【Fate】は――お前とアイツの事を指すんじゃないのか?」
「!?」
「どうやら図星のようだな」
クロロの口から出た言葉に、ナマエの表情が一変した。
その事でクロロの疑念は確信へと変わった。
「おかしいと思ったんだ。お前がアイツを犠牲にする事を拒んだ時にな……【Fate】とは“不可避な運命”を意味する。なのに――お前はアイツを守ろうとした」
「……」
「それは何故か?【Fate】の正体がお前達2人を指すのであれば、答えは見えてくる。お前達は何らかの“誓約”で縛られているのだとな」
「……そこまで解ったなら、フェンリルを開放しろ。【Fate】は実質私1人だ。フェンリルは“誓約”で私に仕えているに過ぎない」
「嫌だ、と言ったら?」
「刺し違えてでも貴様を殺す!!」
「物騒な話はそこまでよ」
今にもクロロに向かって攻撃しそうなナマエを止めたのは、長身の女の声だった。
「……パクか。何の用だ?」
「“彼”の意識が戻ったわ」
「分かった。ナマエ」
「……何?」
「アイツに会わせてやる。オレは先に行く。パク、ナマエを連れて来い」
「分かったわ」
クロロにパクと呼ばれた女は了承し、彼が部屋を出て行くのを黙って見送った。
「さて……私はパクノダよ。貴女のことは何て呼べばいいのかしら?」
パクノダと名乗った女は、ナマエを真っ直ぐに見据えながら問うてきた。
「……好きに呼べばいい」
「そう。確か……“ナマエ”だったわよね。私の事はパクでいいわ。私も貴女の事はナマエって呼ぶから」
言い切ると、パクノダはナマエに手を差し出した。
その様を怪訝な目で見ていると、手を取るように促された。
「貴女のお友達の所に案内してあげるわ」
「……無事なのか?」
「?」
「フェンリルは無事なのかって訊いてるんだよ!」
声を荒げるナマエを何ともない様に見返しながら、パクノダは告げた。
「貴女が大人しくしているなら、団長もこれ以上彼に危害を加えないと思うわ」
「…………本当だな?」
「えぇ。こんな事で嘘を吐くのはヒソカ位よ」
苦笑しながら言うパクノダの言葉に、ヒソカの様なあからさまな嘘は見受けられなかった。
意を決し、パクノダの手を取ったナマエ。そんな彼女の行動にどこか安心感を覚えながら、パクノダはナマエをフェンリルの元へと導いた。