趙雲/馬超ルート【共通の16話続き】
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
昨夜の喧騒が嘘のような、静かな朝が訪れた。
一番に目を覚ました趙雲は、ひどい頭痛をこらえながらも、持ち前の几帳面さで荒れ果てた部屋の片付けを始めていた。
いくら馬超の部屋でも、このまま帰る事はしたくなかったからだ。
昨夜の告白や口付けの記憶が脳裏をよぎり、耳の付け根が熱くなるのを感じつつも、表情には一切出さずに片付ける。
ふと視線を向ければ、あまりにも無防備な三人の姿があった。
誰も目を覚まさない。
○はあの後、夜中に寒くなったのか、絨毯を頭までかぶって掛け布団にして床で寝ていた。
部屋の主である馬超は床に大の字になって寝ており、馬岱に至っては椅子に上半身を預けて寝ている。
趙雲が散らばった酒器を拾い集めていると、床の馬超が目を覚ました。
「おはようございます。ひどい有様ですよ」
馬超が起きたのを皮切りに、○も絨毯から寝癖だらけの頭を出し、馬岱も椅子から顔をあげた。
「ほら、仕事の時間になりますから! ○殿も馬岱殿も、早く自分の部屋に戻って着替えてきてください」
趙雲の容赦ない声が響き渡る。
その声に絨毯から這い出したばかりの○と眠い目をこする馬岱は、反論する隙も与えられないまま部屋を追い出された。
扉が閉まる。
部屋に残されたのは薄衣のまま寝台に座り込む馬超と、眉一つ動かさずテキパキと酒器を片付け、床に散らばった書物を揃え始めた趙雲だけだった。
放蕩息子の部屋を片付ける母親のようでもある。
馬超は無造作に髪を掻き上げながら、忙しなく立ち働く趙雲の背中をじっと見つめていた。
「……お前は残るのか」
「私の性分ですので気にしないでください。部屋をお借りしてこのまま帰る事などできません」
趙雲は振り返りもせず事務的な口調で答える。
掃き掃除まで始めた。
「すぐに今朝の軍議が始まります。劉備殿の前に酒臭い顔をして並ばせるわけにはいきません。さあ、そこの脱ぎ捨てた衣も貸してください。畳んでおきます」
趙雲は手際よく馬超の脱ぎ散らかした衣を回収していく。
そのあまりの母親のような手際良さに、馬超は呆れたように鼻で笑った。
「……ふん。相変わらず堅苦しい男だ。その母親だか姑の様な心意気で○に説教するのも大概にしておけよ」
馬超は○と打ち解けた事を思い出し、どこか満足げに笑っている。
趙雲が昨夜、彼女にどんな言葉をかけその唇に触れたかなど、この奔放な男は露ほども疑っていない。
馬超の衣をきっちりと折り畳みながら、趙雲はチラリと馬超を見た。
廊下を足早に歩く○の背中に趙雲が駆け寄る。
「○殿」
その声に、○はビクッと飛び跳ねる。
振り返ると、いつも通り涼しげな顔をした趙雲が立っていた。
「……っ、な、何ですか、趙雲殿。急に声をかけないでください」
○は視線を左右に彷徨わせ、趙雲の顔を直視できない。
昨夜、自分の唇に触れた男と、今朝の母親のように片付けをしていた男が同一人物だとは、到底信じがたかった。
「ああ…すみません。馬超殿の部屋に忘れ物をしてはいけないと思い、追いかけました」
趙雲はそう言うと、懐から○の耳飾りを差し出した。
その態度は昨夜の情熱的な告白などなかったかのように、あまりにもいつも通りだった。
「あ……わざわざ、すみません」
受け取ろうとして指先が触れそうになると、○は慌てて手を引くようにしてそれを掴んだ。
その極端な動揺を趙雲は見逃さなかったが、あえて追及することもしない。
「馬超の部屋も片付けてくださって……その、馬超には何か言われませんでしたか?」
「いえ。馬超殿は何も」
趙雲はわずかに目を細める。
「○殿。昨夜、お話しした通りです。あれは酒の力を借りた部分もありますが、本気です。あまり馬超殿の奔放な振る舞いに毒されないようにしてください」
「毒されてるなんて……っ」
「ふふ…また、軍議にて」
趙雲は楽しそうにそう言うと、一礼して真っ赤な顔の○の横を通り抜けていった。
軍議の広間へ向かう道すがら、趙雲の脳裏にふとした疑念がよぎった。
ここ最近、諸葛亮の影が○の周囲から消えている。
一時期、彼は何かと理由をつけては○を呼び出していた。
中庭で抱きしめもしていた。
軍議の準備で人払いが済んだあと、趙雲は書状を整理する諸葛亮に、さりげなくそのことを問いかけた。
「諸葛亮殿。近頃は○殿を呼び出されることも少なくなりましたね。もう懸念はなくなったのですか」
諸葛亮は羽扇を動かす手を止め、ふっと笑みを浮かべた。
「……昏く、叶わぬ復讐に絶望するあの目に、一時魅入られていたのです。知的好奇心か、あるいはもっと俗な欲か」
さらりと恐ろしいことを口にする諸葛亮。
趙雲の聞きたい事などとっくに理解している様だ。
「……正直に申し上げましょう。月英を捨ててでも○を抱き寄せ、傍に置こうとまで考えていましたよ。……ですが、あなたと馬超殿に、見事に邪魔をされました」
趙雲はその場で固まる。
あの清廉潔白なはずの諸葛亮から零れたとんでもない言葉に驚いた。
「……それは…諦めた、と受け取っても?」
「ええ。残念です。おそらく馬超殿も気づいているのでしょう。あれだけ二人がかりで目を光らせられては、私が介入する余地はありません。……彼女の瞳に光が宿ったのは喜ばしいことですから。同じ軍に身を置く身としては、ですがね」
諸葛亮はそれだけ言うと、何事もなかったかのように軍議の地図を広げた。
趙雲は一礼して背を向けたが、内心、諸葛亮が恐ろしかった。
一番に目を覚ました趙雲は、ひどい頭痛をこらえながらも、持ち前の几帳面さで荒れ果てた部屋の片付けを始めていた。
いくら馬超の部屋でも、このまま帰る事はしたくなかったからだ。
昨夜の告白や口付けの記憶が脳裏をよぎり、耳の付け根が熱くなるのを感じつつも、表情には一切出さずに片付ける。
ふと視線を向ければ、あまりにも無防備な三人の姿があった。
誰も目を覚まさない。
○はあの後、夜中に寒くなったのか、絨毯を頭までかぶって掛け布団にして床で寝ていた。
部屋の主である馬超は床に大の字になって寝ており、馬岱に至っては椅子に上半身を預けて寝ている。
趙雲が散らばった酒器を拾い集めていると、床の馬超が目を覚ました。
「おはようございます。ひどい有様ですよ」
馬超が起きたのを皮切りに、○も絨毯から寝癖だらけの頭を出し、馬岱も椅子から顔をあげた。
「ほら、仕事の時間になりますから! ○殿も馬岱殿も、早く自分の部屋に戻って着替えてきてください」
趙雲の容赦ない声が響き渡る。
その声に絨毯から這い出したばかりの○と眠い目をこする馬岱は、反論する隙も与えられないまま部屋を追い出された。
扉が閉まる。
部屋に残されたのは薄衣のまま寝台に座り込む馬超と、眉一つ動かさずテキパキと酒器を片付け、床に散らばった書物を揃え始めた趙雲だけだった。
放蕩息子の部屋を片付ける母親のようでもある。
馬超は無造作に髪を掻き上げながら、忙しなく立ち働く趙雲の背中をじっと見つめていた。
「……お前は残るのか」
「私の性分ですので気にしないでください。部屋をお借りしてこのまま帰る事などできません」
趙雲は振り返りもせず事務的な口調で答える。
掃き掃除まで始めた。
「すぐに今朝の軍議が始まります。劉備殿の前に酒臭い顔をして並ばせるわけにはいきません。さあ、そこの脱ぎ捨てた衣も貸してください。畳んでおきます」
趙雲は手際よく馬超の脱ぎ散らかした衣を回収していく。
そのあまりの母親のような手際良さに、馬超は呆れたように鼻で笑った。
「……ふん。相変わらず堅苦しい男だ。その母親だか姑の様な心意気で○に説教するのも大概にしておけよ」
馬超は○と打ち解けた事を思い出し、どこか満足げに笑っている。
趙雲が昨夜、彼女にどんな言葉をかけその唇に触れたかなど、この奔放な男は露ほども疑っていない。
馬超の衣をきっちりと折り畳みながら、趙雲はチラリと馬超を見た。
廊下を足早に歩く○の背中に趙雲が駆け寄る。
「○殿」
その声に、○はビクッと飛び跳ねる。
振り返ると、いつも通り涼しげな顔をした趙雲が立っていた。
「……っ、な、何ですか、趙雲殿。急に声をかけないでください」
○は視線を左右に彷徨わせ、趙雲の顔を直視できない。
昨夜、自分の唇に触れた男と、今朝の母親のように片付けをしていた男が同一人物だとは、到底信じがたかった。
「ああ…すみません。馬超殿の部屋に忘れ物をしてはいけないと思い、追いかけました」
趙雲はそう言うと、懐から○の耳飾りを差し出した。
その態度は昨夜の情熱的な告白などなかったかのように、あまりにもいつも通りだった。
「あ……わざわざ、すみません」
受け取ろうとして指先が触れそうになると、○は慌てて手を引くようにしてそれを掴んだ。
その極端な動揺を趙雲は見逃さなかったが、あえて追及することもしない。
「馬超の部屋も片付けてくださって……その、馬超には何か言われませんでしたか?」
「いえ。馬超殿は何も」
趙雲はわずかに目を細める。
「○殿。昨夜、お話しした通りです。あれは酒の力を借りた部分もありますが、本気です。あまり馬超殿の奔放な振る舞いに毒されないようにしてください」
「毒されてるなんて……っ」
「ふふ…また、軍議にて」
趙雲は楽しそうにそう言うと、一礼して真っ赤な顔の○の横を通り抜けていった。
軍議の広間へ向かう道すがら、趙雲の脳裏にふとした疑念がよぎった。
ここ最近、諸葛亮の影が○の周囲から消えている。
一時期、彼は何かと理由をつけては○を呼び出していた。
中庭で抱きしめもしていた。
軍議の準備で人払いが済んだあと、趙雲は書状を整理する諸葛亮に、さりげなくそのことを問いかけた。
「諸葛亮殿。近頃は○殿を呼び出されることも少なくなりましたね。もう懸念はなくなったのですか」
諸葛亮は羽扇を動かす手を止め、ふっと笑みを浮かべた。
「……昏く、叶わぬ復讐に絶望するあの目に、一時魅入られていたのです。知的好奇心か、あるいはもっと俗な欲か」
さらりと恐ろしいことを口にする諸葛亮。
趙雲の聞きたい事などとっくに理解している様だ。
「……正直に申し上げましょう。月英を捨ててでも○を抱き寄せ、傍に置こうとまで考えていましたよ。……ですが、あなたと馬超殿に、見事に邪魔をされました」
趙雲はその場で固まる。
あの清廉潔白なはずの諸葛亮から零れたとんでもない言葉に驚いた。
「……それは…諦めた、と受け取っても?」
「ええ。残念です。おそらく馬超殿も気づいているのでしょう。あれだけ二人がかりで目を光らせられては、私が介入する余地はありません。……彼女の瞳に光が宿ったのは喜ばしいことですから。同じ軍に身を置く身としては、ですがね」
諸葛亮はそれだけ言うと、何事もなかったかのように軍議の地図を広げた。
趙雲は一礼して背を向けたが、内心、諸葛亮が恐ろしかった。