本編【16話~30話】
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
翌日。
趙雲が目を覚ますと、○はまだ寝ていた。
起こさない様に身支度を整えていたが、その気配で目を覚ましたらしい○が身じろぎをする音がする。
「今日の鍛錬はいい」
衝立の向こうにそう投げかけると、「え?」と少し寝ぼけた様な声がした。
「流石に昨夜のあれを見て、今日もいつも通り過ごせなどとは言わん。朝餉をとったらゆっくり休め」
「ああ…そう。じゃ、お言葉に甘えて」
何も言い返さずにそれだけ言った○が静かになった。
朝餉のあと。
諸葛亮から新しい任務の概要を受け、諸葛亮と趙雲、×の三人は廊下を並んで歩いていた。
「……以上が偵察隊から得た情報です。趙雲殿には再度、○殿を連れて拠点の偵察をお願いしたく思います」
その言葉に×が少しうつ向く。
三人が廊下を歩いていると、どこからか小気味よい音が聞こえてきた。
コツ、コツ、と何かを削る音。
諸葛亮が、中庭を挟んだ向かいの廊下の縁側の何かに気付いて足を止める。
視線の先には、座り込んで作業をする○。
○は片膝を立て、細長い竹を器用に削っていた。
髪をまとめ、緻密な角度を調整し、穴を開けている。
近づいてきた諸葛亮たちを見上げた。
「あら?みんなどうしたの?そんな真面目な顔して。今日は鍛錬を休んでいいと言われてるんだけど」
趙雲に小言を言われるかと思ったのか、そう言った○に趙雲が尋ねた。
「ああ、それは許可した。…何を作っている」
「笛よ。竹の。この間、諸葛亮殿の部屋に来てた周瑜って美形が吹いてたでしょ?見てたら久しぶりに吹きたくなって。やっと手ごろな材料が手に入ったから作りたかったの。部屋で作ると木くずが出るし」
そう言って、竹を指で回して見せた。
諸葛亮が興味深そうにのぞき込む。
「もう仕上がっているのですか?」
「ええ。あとは調律だけ」
そう言って○が笛を唇に当てると、澄んだ音が中庭に響いた。
「……綺麗……」
×は思わず呟く。
「笛と踊りは人を呼ぶのよ。これで食べてたこともあるんだから」
「舞踊もできるのですか?」
「ああ…ええ、まあね」
○は少し言葉を濁した。
「見事ですね、○殿。人の趣味に興味を持つのは外交手段としても大変良いことでしょう。周瑜殿がまた来られたら、その笛を披露して差し上げてはいかがですか?」
「え、あの美形の?やだぁ、いいのかしら…」
「早まってはいけません。周瑜殿は既婚者ですよ」
「あら、愛し合ってしまったら、そんなの関係ありませんわ」
諸葛亮も案外○のこの手の冗談に乗れる様で、「これはこれは」と微笑んでいる。
趙雲と×はどういう顔をすればいいのか分からず黙っていた。
×は思う。
趙雲様と私は、何年も同じ戦と同じ苦難をくぐり抜けてきた。
机を並べて軍務をこなし、互いに言葉少なでも信頼を築いてきた。
それなのに。
○はたった数ヶ月で、私が築いてきた距離を軽々と越えてしまった。
理由もなく、努力もなく、ただ“彼女である”というだけで。
(……そんなの、あんまりじゃない)
心の奥がじわりと苦くなる。
笛を吹き終えた○が、竹をくるりと指先で回しながら三人の方を見た。
「ところで、任務か何か?この顔ぶれ…」
任務の気配を敏感に察知するのはさすがだ。
「ええ、新たな偵察任務を検討中です」
「また潜入?それとも“あの男を墜として来い”みたいな仕事?」
「ふざけるのはやめなさい」
×が少し声を尖らせて、○はキョトンとした顔をする。
「○。任務内容は諸葛亮殿から正式に伝えられるから、少し待て」
「ふぅん。……ねえ、諸葛亮殿。私、外の仕事がいいですわ。城の中に閉じこもっていたら体が鈍っちゃって」
そういうと伸びをする。
「○殿。次の任務は個人の判断で動かれると困ります。くれぐれも、趙雲殿の指示に従うように」
「まるでいつも聞いてないみたいな言い方ですわねぇ。趙雲、どんな報告入れてるのよ」
「…」
「まぁいいわ。大丈夫。趙雲の指示なら、今まで通りちゃんと聞くわ」
その言葉の軽さに×の眉がかすかに動いた。
諸葛亮も、何かを測るように○を見ていた。
○は軽い足取りで立ち去る。
「あの人は本当に……」
×がため息をつく。
「少し変わった人物ですが、趙雲殿…よくここまで手懐けていますね」
「手懐けてなど…」
趙雲は困った様に頭をかいた。
趙雲が目を覚ますと、○はまだ寝ていた。
起こさない様に身支度を整えていたが、その気配で目を覚ましたらしい○が身じろぎをする音がする。
「今日の鍛錬はいい」
衝立の向こうにそう投げかけると、「え?」と少し寝ぼけた様な声がした。
「流石に昨夜のあれを見て、今日もいつも通り過ごせなどとは言わん。朝餉をとったらゆっくり休め」
「ああ…そう。じゃ、お言葉に甘えて」
何も言い返さずにそれだけ言った○が静かになった。
朝餉のあと。
諸葛亮から新しい任務の概要を受け、諸葛亮と趙雲、×の三人は廊下を並んで歩いていた。
「……以上が偵察隊から得た情報です。趙雲殿には再度、○殿を連れて拠点の偵察をお願いしたく思います」
その言葉に×が少しうつ向く。
三人が廊下を歩いていると、どこからか小気味よい音が聞こえてきた。
コツ、コツ、と何かを削る音。
諸葛亮が、中庭を挟んだ向かいの廊下の縁側の何かに気付いて足を止める。
視線の先には、座り込んで作業をする○。
○は片膝を立て、細長い竹を器用に削っていた。
髪をまとめ、緻密な角度を調整し、穴を開けている。
近づいてきた諸葛亮たちを見上げた。
「あら?みんなどうしたの?そんな真面目な顔して。今日は鍛錬を休んでいいと言われてるんだけど」
趙雲に小言を言われるかと思ったのか、そう言った○に趙雲が尋ねた。
「ああ、それは許可した。…何を作っている」
「笛よ。竹の。この間、諸葛亮殿の部屋に来てた周瑜って美形が吹いてたでしょ?見てたら久しぶりに吹きたくなって。やっと手ごろな材料が手に入ったから作りたかったの。部屋で作ると木くずが出るし」
そう言って、竹を指で回して見せた。
諸葛亮が興味深そうにのぞき込む。
「もう仕上がっているのですか?」
「ええ。あとは調律だけ」
そう言って○が笛を唇に当てると、澄んだ音が中庭に響いた。
「……綺麗……」
×は思わず呟く。
「笛と踊りは人を呼ぶのよ。これで食べてたこともあるんだから」
「舞踊もできるのですか?」
「ああ…ええ、まあね」
○は少し言葉を濁した。
「見事ですね、○殿。人の趣味に興味を持つのは外交手段としても大変良いことでしょう。周瑜殿がまた来られたら、その笛を披露して差し上げてはいかがですか?」
「え、あの美形の?やだぁ、いいのかしら…」
「早まってはいけません。周瑜殿は既婚者ですよ」
「あら、愛し合ってしまったら、そんなの関係ありませんわ」
諸葛亮も案外○のこの手の冗談に乗れる様で、「これはこれは」と微笑んでいる。
趙雲と×はどういう顔をすればいいのか分からず黙っていた。
×は思う。
趙雲様と私は、何年も同じ戦と同じ苦難をくぐり抜けてきた。
机を並べて軍務をこなし、互いに言葉少なでも信頼を築いてきた。
それなのに。
○はたった数ヶ月で、私が築いてきた距離を軽々と越えてしまった。
理由もなく、努力もなく、ただ“彼女である”というだけで。
(……そんなの、あんまりじゃない)
心の奥がじわりと苦くなる。
笛を吹き終えた○が、竹をくるりと指先で回しながら三人の方を見た。
「ところで、任務か何か?この顔ぶれ…」
任務の気配を敏感に察知するのはさすがだ。
「ええ、新たな偵察任務を検討中です」
「また潜入?それとも“あの男を墜として来い”みたいな仕事?」
「ふざけるのはやめなさい」
×が少し声を尖らせて、○はキョトンとした顔をする。
「○。任務内容は諸葛亮殿から正式に伝えられるから、少し待て」
「ふぅん。……ねえ、諸葛亮殿。私、外の仕事がいいですわ。城の中に閉じこもっていたら体が鈍っちゃって」
そういうと伸びをする。
「○殿。次の任務は個人の判断で動かれると困ります。くれぐれも、趙雲殿の指示に従うように」
「まるでいつも聞いてないみたいな言い方ですわねぇ。趙雲、どんな報告入れてるのよ」
「…」
「まぁいいわ。大丈夫。趙雲の指示なら、今まで通りちゃんと聞くわ」
その言葉の軽さに×の眉がかすかに動いた。
諸葛亮も、何かを測るように○を見ていた。
○は軽い足取りで立ち去る。
「あの人は本当に……」
×がため息をつく。
「少し変わった人物ですが、趙雲殿…よくここまで手懐けていますね」
「手懐けてなど…」
趙雲は困った様に頭をかいた。