本編【序章~15話】
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
成都の南門近くにある酒楼は、日々周囲で起きる戦に出向いた兵たちが押しかけて、夜更けまで騒がしい。
利益の匂いがする所へは、裏稼業の連中も自然と集まるので情報も集まりやすい。
○は賑わいの奥でひっそりと酒を飲む男に目を留めた。
兵士ではない。
そして彼の腰には印章袋。
(…あれが情報にあった、宝物庫の出入りを扱う文官ね)
○は酒盃を手にゆっくり近づいた。
誰ともつるまずにあんな端で一人飲む男は、女が楽しく会話をしてあげれば情報を漏らすと見た。
彼女が男の横に腰かけて、少しだけ顔を見せてやると、男は驚いたように背筋を伸ばした。
「な、なにか…?」
そう慌てて尋ねた男。
○が自身と男の椅子の間にわざと扇子を落とすと、男はそれを拾ってくれる。
屈んだ男の目線がこちらの胸元の高さに来た時に、ほんの少し胸元緩める動作をした。
男の目線が泳ぐのを確認する。
「前に、あなたと食事をした事があると思うのよね…立派なお仕事をされてたわ」
男は頬を赤らめ、慌てて否定した。
「い、いえ! 人違いです!私など、ただの下働きで…!もう蜀を出ようかと思っていますし…」
○は口元と、わずかに目が見える程度の角度で外套から顔を出して、ニッと微笑む。
「うふふ。重要なお仕事をしているのに、謙遜するなんて素敵だわ」
○は男の肩に頭を寄せると、片方の手を男の太ももに滑らせる。
ソコを触るか触らないかの場所を撫でる。
「成都の宝物庫って、古代蜀の遺宝が集まっているんでしょう?そんなだから、鍵も彫刻がすっごく綺麗だって聞いたの。私、彫刻の勉強をしてるから是非見てみたくってぇ…あなた、持ってなぁい?」
男に触れていない方の手で胸元を寄せると、酔っているのもあって男の目はあからさまに釘付けになる。
「か、鍵は…っ、私は持っておらず」
「あらぁ…残念だわ。誰が持っているのかしら」
「文官と武官の兼ね合いで…今は、陳氏と、武官の者が…誰だったか…」
手をそっと男の股に持っていく。
「あなたほど優秀な人なら、一人で管理しててもいいのに…みんな、なぁんにも分かってないのね」
ソコを服の上から優しく撫でてやると、男は饒舌になる。
「い、いえ…宝物庫はそもそも二重で見張る決まりなので…あ、でも、夜中の子時ごろは、夜間の交代もあって一人で見張りますよ」
慌てたように話す男のソコからそっと手を離すと、○は立ち上がり、裾を翻した。
「ありがとう。とても楽しかったわ」
「え、あ、あの…」
続きがあると思っていた男は呼び止める。
「また会えたら、ちゃんとしましょ?今日はあなた、酔ってるから出来ないでしょ?」
振り返らずに去っていくその後ろ姿は、夜の成都の闇に自然と溶けていった。
彼女の歩みは軽い。
宝物庫の鍵の所在…鍵を持っている武官の名前は聞けなかったが、そもそも武官から盗む気はないから知らなくてもいい。
見張り…夜中の子時が手薄。
文官と武官の連携の甘さ…鍵を持つ武官の名前すら出てこないのが良い例。
必要な情報はすべて揃った。
(さあ…次は実地調査ね)
******
翌日。
成都の昼は賑わっている。
だが城壁の北側──宝物庫のある一帯だけは、ひっそりと空気が張り詰めていた。
今日、城内に入る予定だった商人に混ぜてもらい堂々と入る。
宝物庫は一見、ただの倉庫のようだった。
だが門前には二重の見張りがあり、建物は周囲の物よりも明らかに堅牢な石材を使っている。
○は遠目に眺めた。
(槍を持った兵が門前に二人、影になる場所にもう二人…裏にはいないの?)
目を細め、視線だけで全員の癖を把握していく。
(一人だけ真面目そうなのがいて厄介ね。まあ…見つからなければ問題ないわ)
次に○はそっと宝物庫の裏に回る。
宝物庫の裏側には、蔦の絡まった古い塀と不自然に積まれた石段があった。
この石段のせいで警備がし辛いので死角になっているのだろう。
見上げると宝物庫のかなり高いところに窓が1つある。
しかしそこにたどり着く足場がないので、この高さなら侵入しないだろうと踏んでいるのかもしれない。
○は歩きながら、掌で壁を触る。
(この古い壁、ちょっと突けば崩せそうね。…窓の近くは壁が崩れて引っかけられそうな梁が一部見えてる。しかも夜なら木が多いから絶対に見えない)
そんな事を考えていると何やら声が聞こえる。
木陰から様子をうかがうと、見張りの兵士が話をしていた。
「知ってるか?陳氏の文官殿、また鍵をなくしたらしいぞ」
「え!じゃあしばらくは鍵一つでやるのか…」
「まあ、こんなガラクタが置いてあるだけの蔵だから、泥棒なんて入らないだろうさ」
これはいい機会だ。
鍵が一つしかないなら中に入って警備をする人間が一人だけになったということだ。
(よし、今夜決行ね)
そう決めて一度アジトに帰った。
利益の匂いがする所へは、裏稼業の連中も自然と集まるので情報も集まりやすい。
○は賑わいの奥でひっそりと酒を飲む男に目を留めた。
兵士ではない。
そして彼の腰には印章袋。
(…あれが情報にあった、宝物庫の出入りを扱う文官ね)
○は酒盃を手にゆっくり近づいた。
誰ともつるまずにあんな端で一人飲む男は、女が楽しく会話をしてあげれば情報を漏らすと見た。
彼女が男の横に腰かけて、少しだけ顔を見せてやると、男は驚いたように背筋を伸ばした。
「な、なにか…?」
そう慌てて尋ねた男。
○が自身と男の椅子の間にわざと扇子を落とすと、男はそれを拾ってくれる。
屈んだ男の目線がこちらの胸元の高さに来た時に、ほんの少し胸元緩める動作をした。
男の目線が泳ぐのを確認する。
「前に、あなたと食事をした事があると思うのよね…立派なお仕事をされてたわ」
男は頬を赤らめ、慌てて否定した。
「い、いえ! 人違いです!私など、ただの下働きで…!もう蜀を出ようかと思っていますし…」
○は口元と、わずかに目が見える程度の角度で外套から顔を出して、ニッと微笑む。
「うふふ。重要なお仕事をしているのに、謙遜するなんて素敵だわ」
○は男の肩に頭を寄せると、片方の手を男の太ももに滑らせる。
ソコを触るか触らないかの場所を撫でる。
「成都の宝物庫って、古代蜀の遺宝が集まっているんでしょう?そんなだから、鍵も彫刻がすっごく綺麗だって聞いたの。私、彫刻の勉強をしてるから是非見てみたくってぇ…あなた、持ってなぁい?」
男に触れていない方の手で胸元を寄せると、酔っているのもあって男の目はあからさまに釘付けになる。
「か、鍵は…っ、私は持っておらず」
「あらぁ…残念だわ。誰が持っているのかしら」
「文官と武官の兼ね合いで…今は、陳氏と、武官の者が…誰だったか…」
手をそっと男の股に持っていく。
「あなたほど優秀な人なら、一人で管理しててもいいのに…みんな、なぁんにも分かってないのね」
ソコを服の上から優しく撫でてやると、男は饒舌になる。
「い、いえ…宝物庫はそもそも二重で見張る決まりなので…あ、でも、夜中の子時ごろは、夜間の交代もあって一人で見張りますよ」
慌てたように話す男のソコからそっと手を離すと、○は立ち上がり、裾を翻した。
「ありがとう。とても楽しかったわ」
「え、あ、あの…」
続きがあると思っていた男は呼び止める。
「また会えたら、ちゃんとしましょ?今日はあなた、酔ってるから出来ないでしょ?」
振り返らずに去っていくその後ろ姿は、夜の成都の闇に自然と溶けていった。
彼女の歩みは軽い。
宝物庫の鍵の所在…鍵を持っている武官の名前は聞けなかったが、そもそも武官から盗む気はないから知らなくてもいい。
見張り…夜中の子時が手薄。
文官と武官の連携の甘さ…鍵を持つ武官の名前すら出てこないのが良い例。
必要な情報はすべて揃った。
(さあ…次は実地調査ね)
******
翌日。
成都の昼は賑わっている。
だが城壁の北側──宝物庫のある一帯だけは、ひっそりと空気が張り詰めていた。
今日、城内に入る予定だった商人に混ぜてもらい堂々と入る。
宝物庫は一見、ただの倉庫のようだった。
だが門前には二重の見張りがあり、建物は周囲の物よりも明らかに堅牢な石材を使っている。
○は遠目に眺めた。
(槍を持った兵が門前に二人、影になる場所にもう二人…裏にはいないの?)
目を細め、視線だけで全員の癖を把握していく。
(一人だけ真面目そうなのがいて厄介ね。まあ…見つからなければ問題ないわ)
次に○はそっと宝物庫の裏に回る。
宝物庫の裏側には、蔦の絡まった古い塀と不自然に積まれた石段があった。
この石段のせいで警備がし辛いので死角になっているのだろう。
見上げると宝物庫のかなり高いところに窓が1つある。
しかしそこにたどり着く足場がないので、この高さなら侵入しないだろうと踏んでいるのかもしれない。
○は歩きながら、掌で壁を触る。
(この古い壁、ちょっと突けば崩せそうね。…窓の近くは壁が崩れて引っかけられそうな梁が一部見えてる。しかも夜なら木が多いから絶対に見えない)
そんな事を考えていると何やら声が聞こえる。
木陰から様子をうかがうと、見張りの兵士が話をしていた。
「知ってるか?陳氏の文官殿、また鍵をなくしたらしいぞ」
「え!じゃあしばらくは鍵一つでやるのか…」
「まあ、こんなガラクタが置いてあるだけの蔵だから、泥棒なんて入らないだろうさ」
これはいい機会だ。
鍵が一つしかないなら中に入って警備をする人間が一人だけになったということだ。
(よし、今夜決行ね)
そう決めて一度アジトに帰った。