私は規格外【陸遜】
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会食の次の日から、○は同僚達にからかわれるようになった。
正確にはからかわれていない。
女性として見られるようになっただけだ。
しかし生まれてこの方その様な経験が皆無に近かった為、皆がバカにしている様に感じていた。
でもそれよりも、今の彼女には重要な事がある。
(昨晩、趙雲殿とお話をした!夢ではないのね!)
もう頭の中はこれで一杯だった。
○はお酒のお代わりを取りに行った時、趙雲に声をかけられた。
手伝う為に追いかけてきたのだという。
誰と間違われたのか、と思い目を伏せると、「○殿ですね」と向こうから言われた。
「え!?えっと…どうして私の名前を」
「戦でお会いしましたよね。暴走した馬で敵陣に突っ込んでいくお姿、拝見していました」
そう言われて、顔から火が出そうになり思い切り俯いたが、趙雲は笑う。
「それにしても、今日は少し雰囲気が違う様だ」
「こ、この格好ですか?あ…そう!そうです!何故私だと分かったのですか?」
趙雲は不思議そうな顔をする。
男性を見上げる機会も少ない○には新鮮な目線だ。
正面から見る趙雲はますます格好いい。
彼は今日初めてこの国に来たというのに、すでに呉の女官から黄色い声援を浴びていた。
なるほど、男前だ。
思わず目をそらす。
「その。呉の人間でも、私だと気付かない者がいたものですから。普段はこういう感じではなくて…」
「普段というのは、戦場にいた様な感じですか?」
「は、はい。恥ずかしながら。こういったことに無頓着で」
いらないことをペラペラ言ってしまう自分の口が憎らしい。
趙雲に良いように見られたいのに、口から出るのは自分に不利なことばかり。
いたたまれなくなった○は、話をそらしてその場を離れてしまった。
結局一人で酒を取りに行く途中、庭を挟んだ向こう側の縁側に陸遜と大喬を見つけた。
見たことが無いくらいに穏やかな顔で話す陸遜に気付かれてはお邪魔になると思い、忍び足で廊下を横切った。
と、昨晩の事を思い出しながら食堂でボーッとしていると、コン、と頭を小突かれた。
振り向くと陸遜がいる。
「何をニタニタしているんです?気色の悪い」
「ニコニコと言ってよ」
「先程の顔を見れば、誰でもニタニタという表現をしますよ。まあとにかく、少し来ていただいていいですか?周瑜殿がお待ちです」
凌統もいると言われて、周瑜の執務室に呼ばれた。
そこにはすでに凌統と周瑜がいた。
「で?なんだい?軍師殿が俺ら2人を一緒に呼びつけるなんて珍しい」
「ね。いつもは甘寧と揃えて悪ふざけ3人組だとか言って目の敵にするのに」
バン!と机を叩いて2人の会話を制する陸遜。
周瑜は一瞥すると声を小さくして話し出した。
「これはまだ、限られた人間しか知らぬことだ。多言はしないでくれ」
その言葉に○達は息を飲んだ。
「劉備殿は荊州南部を確保したばかりだ。これ以上の勢力拡大を防ぐべく、荊州から遠ざけたい。姫様との婚姻にかこつけて、この地に滞在していただく予定だ」
淩統と○は顔を見合わせる。
劉備が荊州に戻ると、独立政権化するのは明白。
だから厚遇して長期滞在のまま動けなくする予定だという。
「それは分かりましたが…なぜ俺達にそれを?」
「○は姫様の副官で友人関係だ。うまく調整してほしい」
「調整…?」
この話は劉備の動向を知るためにも、孫尚香には通さないらしい。
だから彼女と劉備の間に何かあった場合は知らせてほしいと言われた。
淩統は○と家族ぐるみの付き合いがあり、○個人とも互いに信頼関係がある。
だからうまく補佐してやってほしいとの事だ。
しかしやはりそんな事より、○は趙雲が劉備と同じく長期滞在することになる点に気持ちが向いていた。
周瑜の部屋を出た○と淩統は、小さくため息をつく。
「なんか…巻き込まれちゃったね」
「そうだな。…しかし、アンタとしちゃあ嬉しい知らせだったんじゃないの?」
「え?」
淩統は、○が趙雲を好きになった事を知っている。
彼の長期滞在の事を言っているのだろう。
「まあでも、どうにもならないってば。国が違うんだから」
「○が趙雲殿と婚姻すりゃ、姫様は結婚しなくてすんだりしてな」
「いやぁ、無理無理」
からかう淩統に、「やめてよ」と言いながらも目じりの下がる○だった。
正確にはからかわれていない。
女性として見られるようになっただけだ。
しかし生まれてこの方その様な経験が皆無に近かった為、皆がバカにしている様に感じていた。
でもそれよりも、今の彼女には重要な事がある。
(昨晩、趙雲殿とお話をした!夢ではないのね!)
もう頭の中はこれで一杯だった。
○はお酒のお代わりを取りに行った時、趙雲に声をかけられた。
手伝う為に追いかけてきたのだという。
誰と間違われたのか、と思い目を伏せると、「○殿ですね」と向こうから言われた。
「え!?えっと…どうして私の名前を」
「戦でお会いしましたよね。暴走した馬で敵陣に突っ込んでいくお姿、拝見していました」
そう言われて、顔から火が出そうになり思い切り俯いたが、趙雲は笑う。
「それにしても、今日は少し雰囲気が違う様だ」
「こ、この格好ですか?あ…そう!そうです!何故私だと分かったのですか?」
趙雲は不思議そうな顔をする。
男性を見上げる機会も少ない○には新鮮な目線だ。
正面から見る趙雲はますます格好いい。
彼は今日初めてこの国に来たというのに、すでに呉の女官から黄色い声援を浴びていた。
なるほど、男前だ。
思わず目をそらす。
「その。呉の人間でも、私だと気付かない者がいたものですから。普段はこういう感じではなくて…」
「普段というのは、戦場にいた様な感じですか?」
「は、はい。恥ずかしながら。こういったことに無頓着で」
いらないことをペラペラ言ってしまう自分の口が憎らしい。
趙雲に良いように見られたいのに、口から出るのは自分に不利なことばかり。
いたたまれなくなった○は、話をそらしてその場を離れてしまった。
結局一人で酒を取りに行く途中、庭を挟んだ向こう側の縁側に陸遜と大喬を見つけた。
見たことが無いくらいに穏やかな顔で話す陸遜に気付かれてはお邪魔になると思い、忍び足で廊下を横切った。
と、昨晩の事を思い出しながら食堂でボーッとしていると、コン、と頭を小突かれた。
振り向くと陸遜がいる。
「何をニタニタしているんです?気色の悪い」
「ニコニコと言ってよ」
「先程の顔を見れば、誰でもニタニタという表現をしますよ。まあとにかく、少し来ていただいていいですか?周瑜殿がお待ちです」
凌統もいると言われて、周瑜の執務室に呼ばれた。
そこにはすでに凌統と周瑜がいた。
「で?なんだい?軍師殿が俺ら2人を一緒に呼びつけるなんて珍しい」
「ね。いつもは甘寧と揃えて悪ふざけ3人組だとか言って目の敵にするのに」
バン!と机を叩いて2人の会話を制する陸遜。
周瑜は一瞥すると声を小さくして話し出した。
「これはまだ、限られた人間しか知らぬことだ。多言はしないでくれ」
その言葉に○達は息を飲んだ。
「劉備殿は荊州南部を確保したばかりだ。これ以上の勢力拡大を防ぐべく、荊州から遠ざけたい。姫様との婚姻にかこつけて、この地に滞在していただく予定だ」
淩統と○は顔を見合わせる。
劉備が荊州に戻ると、独立政権化するのは明白。
だから厚遇して長期滞在のまま動けなくする予定だという。
「それは分かりましたが…なぜ俺達にそれを?」
「○は姫様の副官で友人関係だ。うまく調整してほしい」
「調整…?」
この話は劉備の動向を知るためにも、孫尚香には通さないらしい。
だから彼女と劉備の間に何かあった場合は知らせてほしいと言われた。
淩統は○と家族ぐるみの付き合いがあり、○個人とも互いに信頼関係がある。
だからうまく補佐してやってほしいとの事だ。
しかしやはりそんな事より、○は趙雲が劉備と同じく長期滞在することになる点に気持ちが向いていた。
周瑜の部屋を出た○と淩統は、小さくため息をつく。
「なんか…巻き込まれちゃったね」
「そうだな。…しかし、アンタとしちゃあ嬉しい知らせだったんじゃないの?」
「え?」
淩統は、○が趙雲を好きになった事を知っている。
彼の長期滞在の事を言っているのだろう。
「まあでも、どうにもならないってば。国が違うんだから」
「○が趙雲殿と婚姻すりゃ、姫様は結婚しなくてすんだりしてな」
「いやぁ、無理無理」
からかう淩統に、「やめてよ」と言いながらも目じりの下がる○だった。