私は規格外【陸遜】
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○は極度の緊張の糸が切れたことと、矢傷からの破傷風を危惧するほどの炎症により、急激な高熱にうなされた。
船に同乗していた軍医が手際よく処置を施し、落ち着くまで様子を見る事となり、陸遜がそれを志願した。
深夜。
陸遜が○の枕元に座っていると、船の揺れで○の手元から布包みが滑り落ちた。
それは陸遜がかつて渡した小言だらけの書簡と、○がなにやら趙雲に差し出していた書簡だった。
そこには、血の気が引くような内容が綴られていた。
○と趙雲の夜の生活の頻度などが書かれている。
読んではいけない、と陸遜はそれをすぐに畳んだ。
(……あの男。どの口で愛だのなんだのと)
あんなにも堂々と、自分こそが○の理解者であるかのように振る舞いながら、その裏では彼女の最も無防備で純粋な部分を「戦果」として数値化し、報告していたとは。
陸遜は眠る○の青白い顔を見つめる。
彼女がどれほどの衝撃を受け、どれほど惨めな思いであの男を振り切ってここに来たのか。
「だからあれほど言ったでしょうに」
陸遜は書簡をバラバラにすると、長江に捨てた。
こんなもの、誰の目に触れてもいけない。
彼女が”誰かに見られたかも”とも考えてはいけない。
あの騒ぎの中で、○の持ち物は全て長江に落ちたということにした。
それから一週間たっても、○の体調は良くならなかった。
微熱が続いている。
「通常なら二、三日で引くはずなのですが…これだけ長期間、熱が出るというのは…足の中に矢の破片などが残っているのかもしれません。もしくは矢傷だけではなく、慣れぬ地での心労、そして急激な環境の変化……。とにかくまずは呉に戻り、心身ともに休ませてあげることが最優先です」
その軍医の言葉に、船員たちは孫尚香の指示のもと、少しでも早く建業に着くように昼夜を問わず船を動かした。
「…なんか、ごめんね。ずっと身体が重くて…」
○は布団から顔を出して、枕元に座る陸遜に言った。
陸遜は椅子に座りながら「本当に。この程度で倒れられたらキリがありません」と相変わらずの憎まれ口をたたく。
しかし○は、それを穏やかな表情で聞いていた。
*****
呉の港に船が着岸すると、そこには今か今かと待ち構えていた凌統と甘寧の姿があった。
二人は医師の指示を受けるやいなや、○を担架に乗せ医務室へと駆け出す。
一方、船から降りる孫尚香の表情は険しい。
彼女は、呉の軍師たちが○に対し「阿斗の誘拐」という非情な密命を下していたことに激しい憤りを感じていた。
そのせいで、帰還までの二週間、陸遜とは必要最低限の言葉しか交わしていない。
しかしそれでも、陸遜がわざわざ迎えの船に乗船し、不眠不休に近い状態で○の寝所に詰めていたことも知っていた。
毒舌を吐きながらも、○がうなされれば誰よりも早く駆け寄り、その額を濡れた布で冷やし続けていたことを。
陸遜は孫尚香の視線に気づくと、居住まいを正して深々と一礼した。
「姫様。……○は、しばらく養生させます。後のことは、私にお任せください」
「……分かってるわ。貴方のやり方は気に食わないけれど、この二週間、彼女を繋ぎ止めてくれたことだけは、感謝してるから」
「感謝など。私はただ、無能な部下の管理をしていたに過ぎません」
陸遜は淡々と答えたが、その視線は遠ざかっていく○の担架を追っていた。
○はぼんやりとした視界の中で、すぐ傍から聞こえる書簡の擦れる音と、墨の匂いを感じていた。
(……ここ、呉だよね)
ゆっくりと視線を動かすと、すぐ隣に置かれた机で、一心不乱に筆を動かしている陸遜の横顔。
その眉間に刻まれた深い皺が、どこか酷く疲れているようにも見えて、○は思わず見入ってしまった。
その時、入り口の戸が開き凌統が足早に入ってきた。
「陸遜、例の件だが……って、うわっ! ○、お前起きてんじゃねえか!」
凌統の大きな声に、陸遜の手がびくりと止まった。
彼は弾かれたようにこちらを向き、○と目が合うと目を見開いた。
けれど、すぐにいつもの険しい表情に戻って筆を置くいて、バン、と机をたたく。
「……起きているなら早く言いなさい!いつから起きていたのですか!」
「いや、今さっき…あ~なんか久しぶりにスッキリした」
○が掠れた声で言い返すと、陸遜は「ふん」と鼻を鳴らし、そのまま「医師を呼んできます」と言い捨てて、逃げるように部屋を飛び出していった。
残された凌統は、呆れたように笑いながら○の枕元に腰を下ろす。
「あんな態度してるが、あの軍師様、お前が運ばれてからずっとここで仕事してたんだぜ」
「……え、ここで?」
「ああ。自分の執務室の方が仕事が捗るだろうに、『お前をここまで追い込んだ責任がある』とか何とか理屈を並べてな。結局、ほとんど寝てないんじゃないか?」
凌統の言葉に、○は胸の奥がじんわりと熱くなる。
公安での自分はどこか浮ついていて、甘い言葉に流されるだけの女だったのかもしれない。
けれど陸遜は、そんな自分の無様さを誰よりも厳しく叱り、そしてボロボロになった自分を、こうして元の場所へ引き戻してくれた。
「ほんと、可愛くないわねぇ」
「全くだ。まあ、あいつなりに責任感じてんだろ。……おかえり、○」
「……ただいま、凌統」
やがて、医師を連れて戻ってきた陸遜の目は、心なしか少し赤く充血していた。
しかし相変わらず不機嫌そうに、「診断が終わったら、山のような報告書が待っていますからね」と言った。
医務室の静寂をぶち破ったのは、豪快な足音と、およそ病人には似つかわしくない酒の匂い。
「○!目ぇ覚ましたって!?さあ、迎え酒だ!これを飲んで景気付けに暴れようぜ!」
甘寧が大きな酒瓶を抱えて飛び込んできた。
「……甘寧。気持ちは嬉しいけど、私まだ、まともに目ぇ覚めたばかりだから。そんなの飲んだら、今度こそ本当に死んじゃうって……」
「大丈夫だ!お前はこういうので元気になるタチで…」
と言いながら、寝台に片足を乗せてグイグイ酒を勧める甘寧。
すると廊下から凄まじい勢いで陸遜が飛び込んできた。
「やめなさい! 医務室に酒を持ち込むなど言語道断です!! それに、○は本当に飲むかもしれません!」
「流石に飲まんわ」
「いいえ、あなたならありえる!」
「俺も、なんやかんやで飲むだろうと思って持ってきたんだぜ」
自分より二回りも体格のいい甘寧の腕を引きはがそうとする陸遜と、平然と酒を注ごうとする甘寧。
そこに淩統が割って入った。
「お前らなぁ…病人の前で騒ぐなよ。甘寧、その酒は俺が預かってやるから、○が元気になったら飲もう。…あと陸遜も。あんまり○を馬鹿扱いすんな。……一応、さっきまで本気で心配してたんだろ?素直になんなって」
「心配など! 私はただ、管理責任を……!」
顔を真っ赤にして言い返す陸遜と、ブツブツ言いながら酒を淩統に渡す甘寧。
○はニコニコしている。
「いやぁ、やっぱり我が家が一番ねえ」
そう言った○に三人はふと笑う。
陸遜が何か得意げに鼻を鳴らした。
「……当然です。ここ以外に貴方の居場所などありません。早く体力を戻しなさい。大量の仕事を用意してありますからね」
その不器用な言葉に、○は「はいはい」と笑った。
「それで?大丈夫だったのですか?」
甘寧や淩統がいなくなった医務室。
陸遜は○が目を覚ましたので、もうここで仕事をする必要もなくなり、執務室に戻る準備をしながら○に声をかける。
「うん。一瞬ドキッとしたけど」
○は布団の中で応える。
船の中で、○は陸遜に打ち明けていたことがあった。
ー月のモノが来ていないー
あの時、体調不良も重なったのもあり、もしかしたら…と思った○。
しかしここで目を覚ました時には再開していたと医師に言われたのだ。
精神的に追い詰められていたり、緊張状態が続くと遅れることもあるとは聞いていたが、二カ月近く遅れていたので内心気が気でなかった。
「…残念でしたね、と言うべきなのか」
「いやいや、良かったじゃない。出来てたらアンタ…」
○は困った様に笑う。
「しかし…よく男の私にその様な話をしましたね。あの時は緊急事態で気にもなりませんでしたが、今思うととんでもないことですよ」
「ははは…ほんとね。私も焦ってて。…大喬様に怒られなきゃいいけど」
「なんの話です?」
○は公安にいる間にも、淩統と手紙で近況を聞いていた。
その中に、『近頃の陸遜は、大喬様とよくお茶をしている』『仲がよさそうだ』とあったのだ。
その話をすると、陸遜は呆れたように鼻で笑った。
「軍務ではない振りをしながら連絡を取れとは言っていましたが、本当に関係のないやり取りをしていたのですか」
「だってそういうネタが一番、尚香と盛り上がるんだもん。仕入れなきゃ」
「全く…とりあえず、私と大喬様はなんともありません」
「そうなの!?」
○は身体を起こす。
「それどころか、拒絶に近い事も言われました」
「え…なんて言われたの?なに?なに?」
陸遜は興味津々の○を軽く睨む。
ー陸遜殿は、○殿のことが大切なのですー
と言われたなどとは、とてもじゃないが言えない。
黙り込んだ陸遜に、○は不思議そうな顔をした。
船に同乗していた軍医が手際よく処置を施し、落ち着くまで様子を見る事となり、陸遜がそれを志願した。
深夜。
陸遜が○の枕元に座っていると、船の揺れで○の手元から布包みが滑り落ちた。
それは陸遜がかつて渡した小言だらけの書簡と、○がなにやら趙雲に差し出していた書簡だった。
そこには、血の気が引くような内容が綴られていた。
○と趙雲の夜の生活の頻度などが書かれている。
読んではいけない、と陸遜はそれをすぐに畳んだ。
(……あの男。どの口で愛だのなんだのと)
あんなにも堂々と、自分こそが○の理解者であるかのように振る舞いながら、その裏では彼女の最も無防備で純粋な部分を「戦果」として数値化し、報告していたとは。
陸遜は眠る○の青白い顔を見つめる。
彼女がどれほどの衝撃を受け、どれほど惨めな思いであの男を振り切ってここに来たのか。
「だからあれほど言ったでしょうに」
陸遜は書簡をバラバラにすると、長江に捨てた。
こんなもの、誰の目に触れてもいけない。
彼女が”誰かに見られたかも”とも考えてはいけない。
あの騒ぎの中で、○の持ち物は全て長江に落ちたということにした。
それから一週間たっても、○の体調は良くならなかった。
微熱が続いている。
「通常なら二、三日で引くはずなのですが…これだけ長期間、熱が出るというのは…足の中に矢の破片などが残っているのかもしれません。もしくは矢傷だけではなく、慣れぬ地での心労、そして急激な環境の変化……。とにかくまずは呉に戻り、心身ともに休ませてあげることが最優先です」
その軍医の言葉に、船員たちは孫尚香の指示のもと、少しでも早く建業に着くように昼夜を問わず船を動かした。
「…なんか、ごめんね。ずっと身体が重くて…」
○は布団から顔を出して、枕元に座る陸遜に言った。
陸遜は椅子に座りながら「本当に。この程度で倒れられたらキリがありません」と相変わらずの憎まれ口をたたく。
しかし○は、それを穏やかな表情で聞いていた。
*****
呉の港に船が着岸すると、そこには今か今かと待ち構えていた凌統と甘寧の姿があった。
二人は医師の指示を受けるやいなや、○を担架に乗せ医務室へと駆け出す。
一方、船から降りる孫尚香の表情は険しい。
彼女は、呉の軍師たちが○に対し「阿斗の誘拐」という非情な密命を下していたことに激しい憤りを感じていた。
そのせいで、帰還までの二週間、陸遜とは必要最低限の言葉しか交わしていない。
しかしそれでも、陸遜がわざわざ迎えの船に乗船し、不眠不休に近い状態で○の寝所に詰めていたことも知っていた。
毒舌を吐きながらも、○がうなされれば誰よりも早く駆け寄り、その額を濡れた布で冷やし続けていたことを。
陸遜は孫尚香の視線に気づくと、居住まいを正して深々と一礼した。
「姫様。……○は、しばらく養生させます。後のことは、私にお任せください」
「……分かってるわ。貴方のやり方は気に食わないけれど、この二週間、彼女を繋ぎ止めてくれたことだけは、感謝してるから」
「感謝など。私はただ、無能な部下の管理をしていたに過ぎません」
陸遜は淡々と答えたが、その視線は遠ざかっていく○の担架を追っていた。
○はぼんやりとした視界の中で、すぐ傍から聞こえる書簡の擦れる音と、墨の匂いを感じていた。
(……ここ、呉だよね)
ゆっくりと視線を動かすと、すぐ隣に置かれた机で、一心不乱に筆を動かしている陸遜の横顔。
その眉間に刻まれた深い皺が、どこか酷く疲れているようにも見えて、○は思わず見入ってしまった。
その時、入り口の戸が開き凌統が足早に入ってきた。
「陸遜、例の件だが……って、うわっ! ○、お前起きてんじゃねえか!」
凌統の大きな声に、陸遜の手がびくりと止まった。
彼は弾かれたようにこちらを向き、○と目が合うと目を見開いた。
けれど、すぐにいつもの険しい表情に戻って筆を置くいて、バン、と机をたたく。
「……起きているなら早く言いなさい!いつから起きていたのですか!」
「いや、今さっき…あ~なんか久しぶりにスッキリした」
○が掠れた声で言い返すと、陸遜は「ふん」と鼻を鳴らし、そのまま「医師を呼んできます」と言い捨てて、逃げるように部屋を飛び出していった。
残された凌統は、呆れたように笑いながら○の枕元に腰を下ろす。
「あんな態度してるが、あの軍師様、お前が運ばれてからずっとここで仕事してたんだぜ」
「……え、ここで?」
「ああ。自分の執務室の方が仕事が捗るだろうに、『お前をここまで追い込んだ責任がある』とか何とか理屈を並べてな。結局、ほとんど寝てないんじゃないか?」
凌統の言葉に、○は胸の奥がじんわりと熱くなる。
公安での自分はどこか浮ついていて、甘い言葉に流されるだけの女だったのかもしれない。
けれど陸遜は、そんな自分の無様さを誰よりも厳しく叱り、そしてボロボロになった自分を、こうして元の場所へ引き戻してくれた。
「ほんと、可愛くないわねぇ」
「全くだ。まあ、あいつなりに責任感じてんだろ。……おかえり、○」
「……ただいま、凌統」
やがて、医師を連れて戻ってきた陸遜の目は、心なしか少し赤く充血していた。
しかし相変わらず不機嫌そうに、「診断が終わったら、山のような報告書が待っていますからね」と言った。
医務室の静寂をぶち破ったのは、豪快な足音と、およそ病人には似つかわしくない酒の匂い。
「○!目ぇ覚ましたって!?さあ、迎え酒だ!これを飲んで景気付けに暴れようぜ!」
甘寧が大きな酒瓶を抱えて飛び込んできた。
「……甘寧。気持ちは嬉しいけど、私まだ、まともに目ぇ覚めたばかりだから。そんなの飲んだら、今度こそ本当に死んじゃうって……」
「大丈夫だ!お前はこういうので元気になるタチで…」
と言いながら、寝台に片足を乗せてグイグイ酒を勧める甘寧。
すると廊下から凄まじい勢いで陸遜が飛び込んできた。
「やめなさい! 医務室に酒を持ち込むなど言語道断です!! それに、○は本当に飲むかもしれません!」
「流石に飲まんわ」
「いいえ、あなたならありえる!」
「俺も、なんやかんやで飲むだろうと思って持ってきたんだぜ」
自分より二回りも体格のいい甘寧の腕を引きはがそうとする陸遜と、平然と酒を注ごうとする甘寧。
そこに淩統が割って入った。
「お前らなぁ…病人の前で騒ぐなよ。甘寧、その酒は俺が預かってやるから、○が元気になったら飲もう。…あと陸遜も。あんまり○を馬鹿扱いすんな。……一応、さっきまで本気で心配してたんだろ?素直になんなって」
「心配など! 私はただ、管理責任を……!」
顔を真っ赤にして言い返す陸遜と、ブツブツ言いながら酒を淩統に渡す甘寧。
○はニコニコしている。
「いやぁ、やっぱり我が家が一番ねえ」
そう言った○に三人はふと笑う。
陸遜が何か得意げに鼻を鳴らした。
「……当然です。ここ以外に貴方の居場所などありません。早く体力を戻しなさい。大量の仕事を用意してありますからね」
その不器用な言葉に、○は「はいはい」と笑った。
「それで?大丈夫だったのですか?」
甘寧や淩統がいなくなった医務室。
陸遜は○が目を覚ましたので、もうここで仕事をする必要もなくなり、執務室に戻る準備をしながら○に声をかける。
「うん。一瞬ドキッとしたけど」
○は布団の中で応える。
船の中で、○は陸遜に打ち明けていたことがあった。
ー月のモノが来ていないー
あの時、体調不良も重なったのもあり、もしかしたら…と思った○。
しかしここで目を覚ました時には再開していたと医師に言われたのだ。
精神的に追い詰められていたり、緊張状態が続くと遅れることもあるとは聞いていたが、二カ月近く遅れていたので内心気が気でなかった。
「…残念でしたね、と言うべきなのか」
「いやいや、良かったじゃない。出来てたらアンタ…」
○は困った様に笑う。
「しかし…よく男の私にその様な話をしましたね。あの時は緊急事態で気にもなりませんでしたが、今思うととんでもないことですよ」
「ははは…ほんとね。私も焦ってて。…大喬様に怒られなきゃいいけど」
「なんの話です?」
○は公安にいる間にも、淩統と手紙で近況を聞いていた。
その中に、『近頃の陸遜は、大喬様とよくお茶をしている』『仲がよさそうだ』とあったのだ。
その話をすると、陸遜は呆れたように鼻で笑った。
「軍務ではない振りをしながら連絡を取れとは言っていましたが、本当に関係のないやり取りをしていたのですか」
「だってそういうネタが一番、尚香と盛り上がるんだもん。仕入れなきゃ」
「全く…とりあえず、私と大喬様はなんともありません」
「そうなの!?」
○は身体を起こす。
「それどころか、拒絶に近い事も言われました」
「え…なんて言われたの?なに?なに?」
陸遜は興味津々の○を軽く睨む。
ー陸遜殿は、○殿のことが大切なのですー
と言われたなどとは、とてもじゃないが言えない。
黙り込んだ陸遜に、○は不思議そうな顔をした。