恋は甘く煮詰めて
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テーブルに雑に並べたご飯たちを目の前に、2人でいただきますと手を合わせた。お互いに選んだお酒を開けて乾杯すると、彼女はそっと喉に流し込んだ。
『よく飲むの?』
「たまにです。すぐ酔っちゃうから」
少し恥ずかしそうに言う彼女に胸がきゅーんと締め付けられる。
すぐ酔うとか言いつつ、彼女が持っているお酒はアルコール度数7%。…酔うじゃん!俺は慌てて冷蔵庫から3%の缶チュウハイを出すと彼女に渡した。
『…ね、ちょっと。飲むならこっち』
ひょいっと彼女が飲んでいるお酒を没収すれば「えぇ…」と悲しい声を出して、目の前にあったおつまみを食べ始めた。
それからくだらない話をして盛り上がって、気づけば彼女は顔が火照って鼻歌なんか歌い出してる。…酔った…?3%で?なんて思って彼女の隣にあった空き缶を覗けばその中に9%が紛れ込んでる。俺も気持ちよく飲んでいたから、彼女が度数の高いお酒を飲んでいたことに気づけなかった。
彼女はバッグからスマホを取りだして、待ち受けを見ると「神〜…大好きだよ〜」なんて言って悶えてる。
いや、それ俺だよね。俺に言えばいいのに。若干待ち受けの俺に嫉妬してしまう。
『○○ちゃん、そろそろ帰ろ?』
時間は22時。もうすっかりいい時間。楽しい時間はあっという間に過ぎるもので、まだ一緒にいたい気持ちは沢山あるけど女の子をこんな時間まで連れ出すのは良くないと思った。
彼女はスマホから俺に目を向けると、プクッと頬を膨らませてみせた。
『え、なに…』
「嫌です。まだ帰りたくないです」
えっっっ、何それ。や、え?かわ…え??
一気に俺のIQが1桁まで下がった気がした。酔ったせいか彼女の目はキラキラと潤っていて、なんだか色っぽく感じる。
ごくりと喉を鳴らして彼女の頬に手を添えれば、火照りがじんわりと伝わった。
『○○ちゃん』
重なった視線が離れない。もうこれってキスのチャンスだよね。
そっと彼女の唇を親指でなぞった。
「…!?帰ります!」
急にハッとした彼女はすくっと立ち上がった。
『えぁ…』
「こんな遅くまですみません!」
ものすごく俊敏に帰る準備をする彼女は、すっかり酔いが覚めてるみたいで。そんな彼女を見て俺は少し笑ってしまった。
『ねえ、○○ちゃん待って』
そっと振り返った彼女は酔っている以上に真っ赤な顔をしていて。そんな彼女の頬にもう一度手を添えると、ゆらゆらと揺れる彼女の目が見えた。
1度したいと思ったことはしたい性分なんだよね、俺。
「あ、の」
『ん?』
「これ以上は、もう…っ」
彼女が何か言いたいことは分かっていたけど、お構い無しにキスをした。だってもう止められなかったんだもん。彼女の唇は柔らかくて、理性がぐらついて仕方なかった。目を丸くして俺を見る彼女が愛おしくて、そっと抱き締めれば微かに感じる彼女の鼓動。
『送ってく』
「…ありがとうございます」
外に出れば、少し風が吹いていて夏の香りが鼻を掠めた。
帽子を目深く被って当たりを確認してから、彼女の手を取ると歩き始めた。特に何かを話す訳でもなく、ただ静かに二人で夜の道を歩いて、たまに目が合って。そうして俺は1つの疑問が思い浮かんだ。
…あれ、結局俺、まだ○○ちゃんと付き合ったわけじゃない…?
未だに苗字で呼ばれてるし。…えっ、俺キスしちゃったよ?!
ど、どうしよう、遊びとか思われてたら…
急にバクバクと心臓が動き出して冷や汗が出てくる。
視界には彼女のマンションが見えてきてあと少しでお別れ。
確認しなきゃ…いや、告白しなきゃ!
『あっと…○○ちゃん』
「はい?」
んんん、改めて告白するとなると直視できないよ!なにこれ、この感覚。え?可愛すぎない?あとネックレス似合いすぎ、ずるい
脳内で色んな言葉が交差する中、俺は小さく咳払いをして彼女を見た。キョトン、とした顔で俺を見つめる彼女に心臓が持ちそうにない。
ここは男、山田涼介を見せろ…!
『○○ちゃん、好き。…俺と付き合ってください』
彼女は少しびっくりした顔をしてから、繋いでいる手に空いた手をそっと重ねて微笑んだ。
「私でよければ」
謙虚に答える彼女に俺は思った。○○ちゃんじゃないとダメなんだよって。なんだかそれを伝えるのは恥ずかしくて、俺は彼女の手をキュッと握った。
マンションの前に着いて、この手を離すのがすごく惜しい。でもお互いに明日も仕事があるから。そう割り切って俺は彼女の手を離した。
「山田さん、今日はありがとうございました。」
『ん。こちらこそありがとう』
告白して付き合えて1歩前進。だけど俺はまだ1歩を踏みたい。
俺に頭を下げてお礼を言う彼女に今日最後のわがままを言ってみた。
『あのさ、名前…呼んで欲しい』
彼女は戸惑った様子で「恐れ多いです」なんて小さく言ってる。
『普段なんて呼んでるの?』
「…神」
『いやっ、はは。それだけじゃないでしょ』
どこまで彼女の中で俺は神なんだよ、と思いながら少し詰めてみると、彼女は観念したように呟いた。
「…涼介くん」
聞いといて威力がすごい。たくさんのファンに名前を呼ばれることがあっても別格。こんなに嬉しいことは無い。やっと呼んでくれた。愛しいあまり抱きしめそうになったけど、外だしと苦し紛れに彼女の頭をポンポンと撫でた。
『…おやすみ、○○ちゃん』
「おやすみなさい、涼介くん」
マンションに入っていく彼女に見えなくなるまで手を振って、俺は自分の家へと足を進めた。足取りは軽く、まるで背中に羽が生えてるみたいな。帰りがけに寄ったコンビニでお祝いだーなんて小さなロールケーキを買って口に運んでみれば、いつもよりとても甘く感じた。
おわり
『よく飲むの?』
「たまにです。すぐ酔っちゃうから」
少し恥ずかしそうに言う彼女に胸がきゅーんと締め付けられる。
すぐ酔うとか言いつつ、彼女が持っているお酒はアルコール度数7%。…酔うじゃん!俺は慌てて冷蔵庫から3%の缶チュウハイを出すと彼女に渡した。
『…ね、ちょっと。飲むならこっち』
ひょいっと彼女が飲んでいるお酒を没収すれば「えぇ…」と悲しい声を出して、目の前にあったおつまみを食べ始めた。
それからくだらない話をして盛り上がって、気づけば彼女は顔が火照って鼻歌なんか歌い出してる。…酔った…?3%で?なんて思って彼女の隣にあった空き缶を覗けばその中に9%が紛れ込んでる。俺も気持ちよく飲んでいたから、彼女が度数の高いお酒を飲んでいたことに気づけなかった。
彼女はバッグからスマホを取りだして、待ち受けを見ると「神〜…大好きだよ〜」なんて言って悶えてる。
いや、それ俺だよね。俺に言えばいいのに。若干待ち受けの俺に嫉妬してしまう。
『○○ちゃん、そろそろ帰ろ?』
時間は22時。もうすっかりいい時間。楽しい時間はあっという間に過ぎるもので、まだ一緒にいたい気持ちは沢山あるけど女の子をこんな時間まで連れ出すのは良くないと思った。
彼女はスマホから俺に目を向けると、プクッと頬を膨らませてみせた。
『え、なに…』
「嫌です。まだ帰りたくないです」
えっっっ、何それ。や、え?かわ…え??
一気に俺のIQが1桁まで下がった気がした。酔ったせいか彼女の目はキラキラと潤っていて、なんだか色っぽく感じる。
ごくりと喉を鳴らして彼女の頬に手を添えれば、火照りがじんわりと伝わった。
『○○ちゃん』
重なった視線が離れない。もうこれってキスのチャンスだよね。
そっと彼女の唇を親指でなぞった。
「…!?帰ります!」
急にハッとした彼女はすくっと立ち上がった。
『えぁ…』
「こんな遅くまですみません!」
ものすごく俊敏に帰る準備をする彼女は、すっかり酔いが覚めてるみたいで。そんな彼女を見て俺は少し笑ってしまった。
『ねえ、○○ちゃん待って』
そっと振り返った彼女は酔っている以上に真っ赤な顔をしていて。そんな彼女の頬にもう一度手を添えると、ゆらゆらと揺れる彼女の目が見えた。
1度したいと思ったことはしたい性分なんだよね、俺。
「あ、の」
『ん?』
「これ以上は、もう…っ」
彼女が何か言いたいことは分かっていたけど、お構い無しにキスをした。だってもう止められなかったんだもん。彼女の唇は柔らかくて、理性がぐらついて仕方なかった。目を丸くして俺を見る彼女が愛おしくて、そっと抱き締めれば微かに感じる彼女の鼓動。
『送ってく』
「…ありがとうございます」
外に出れば、少し風が吹いていて夏の香りが鼻を掠めた。
帽子を目深く被って当たりを確認してから、彼女の手を取ると歩き始めた。特に何かを話す訳でもなく、ただ静かに二人で夜の道を歩いて、たまに目が合って。そうして俺は1つの疑問が思い浮かんだ。
…あれ、結局俺、まだ○○ちゃんと付き合ったわけじゃない…?
未だに苗字で呼ばれてるし。…えっ、俺キスしちゃったよ?!
ど、どうしよう、遊びとか思われてたら…
急にバクバクと心臓が動き出して冷や汗が出てくる。
視界には彼女のマンションが見えてきてあと少しでお別れ。
確認しなきゃ…いや、告白しなきゃ!
『あっと…○○ちゃん』
「はい?」
んんん、改めて告白するとなると直視できないよ!なにこれ、この感覚。え?可愛すぎない?あとネックレス似合いすぎ、ずるい
脳内で色んな言葉が交差する中、俺は小さく咳払いをして彼女を見た。キョトン、とした顔で俺を見つめる彼女に心臓が持ちそうにない。
ここは男、山田涼介を見せろ…!
『○○ちゃん、好き。…俺と付き合ってください』
彼女は少しびっくりした顔をしてから、繋いでいる手に空いた手をそっと重ねて微笑んだ。
「私でよければ」
謙虚に答える彼女に俺は思った。○○ちゃんじゃないとダメなんだよって。なんだかそれを伝えるのは恥ずかしくて、俺は彼女の手をキュッと握った。
マンションの前に着いて、この手を離すのがすごく惜しい。でもお互いに明日も仕事があるから。そう割り切って俺は彼女の手を離した。
「山田さん、今日はありがとうございました。」
『ん。こちらこそありがとう』
告白して付き合えて1歩前進。だけど俺はまだ1歩を踏みたい。
俺に頭を下げてお礼を言う彼女に今日最後のわがままを言ってみた。
『あのさ、名前…呼んで欲しい』
彼女は戸惑った様子で「恐れ多いです」なんて小さく言ってる。
『普段なんて呼んでるの?』
「…神」
『いやっ、はは。それだけじゃないでしょ』
どこまで彼女の中で俺は神なんだよ、と思いながら少し詰めてみると、彼女は観念したように呟いた。
「…涼介くん」
聞いといて威力がすごい。たくさんのファンに名前を呼ばれることがあっても別格。こんなに嬉しいことは無い。やっと呼んでくれた。愛しいあまり抱きしめそうになったけど、外だしと苦し紛れに彼女の頭をポンポンと撫でた。
『…おやすみ、○○ちゃん』
「おやすみなさい、涼介くん」
マンションに入っていく彼女に見えなくなるまで手を振って、俺は自分の家へと足を進めた。足取りは軽く、まるで背中に羽が生えてるみたいな。帰りがけに寄ったコンビニでお祝いだーなんて小さなロールケーキを買って口に運んでみれば、いつもよりとても甘く感じた。
おわり
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