恋は甘く煮詰めて
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あれからというもの、相変わらず俺のスケジュールは真っ黒でなかなか彼女に会いに行けない日々が続いた。それでも前と違うことは、連絡を取りあっているということ。スマホを覗いて彼女からのメッセージが届いていれば、その日はずっとハッピーでいられる。今日も朝9時に届いた “仕事行ってきます”に『行ってらっしゃい』と呟いた。
仕事の休憩中、俺は何気なく近くのコンビニに立ち寄って雑誌コーナーを眺めた。後輩グループが表紙になっているものをサッと目を通し本棚に返すと、その隣に置かれていた本に目が止まる。表紙には大きく書かれた “理想のデート特集”。…デートかぁ
仕事柄デートなんて大々的にできるわけはない。そもそもスケジュールが空いてないし。なんて思いながら気づいたらその雑誌を買って控え室に戻ってはスケジュールアプリを立ち上げて、隅々までオフを探した。
仕事が終わったのは夜11時。もう寝ちゃったかな、そう思いながらもダメ元で “終わったよ”とメッセージを送ってみるとすぐに既読の文字が出た。それだけでも嬉しくなってしまうのは重症だな。彼女がまだ起きてるこのチャンスを逃したくなくて、俺は通話の発信ボタンを押した。
3回、4回と呼出音が鳴る。それと一緒にソワソワとしだす俺の心。5回目の呼出音で、大好きな彼女の声が聞こえた。
「…こんばんは」
あー、好き。一気に語彙力をなくして、ただその言葉だけが頭をいっぱいにする。久々に聞いた彼女の声は、電話越しだと少し高く聞こえた。
『○○ちゃん、こんばんは。こんな遅くにごめんね』
「いえ…お仕事終わりですか?」
『うん、ちょっと○○ちゃんの声聞きたくなって』
そう言えば、彼女は少しだけ黙った。その沈黙がなんだか恥ずかしいことを言ってしまった気になって顔が熱くなってくる。
気を紛らわすように、先程コップに注いだお茶を1口含んだ。
「…私もちょうど、山田さんの声が聞きたいと思ってました」
思わずお茶を吹き出しそうになった。彼女がそんなことを思ってくれてたなんて夢にも思わず、一気にテンションが上がってしまう。なんでこんなに可愛いの?ね、なんでそんな可愛いこと言うの??無理ぃ…
わぁっと暴れている心が気づかれないように、俺は平然を保った声色で『嬉しい』なんて返してみる。コップで反射して見えた俺の顔はなんともだらしなく緩んでいた。
すごく会いたい、今すぐにでも。…そうは言っても山田涼介、夜遅くに女の子の家に押しかけるとは紳士じゃないだろう。
『もう遅いからまた今度ゆっくり電話してもいい?』
かけてすぐに切るとか何用だよ、マジで。そう自分にツッコミを入れながらも、だって声聞きたかったんだもん。と素直な自分が答えた。
「…そうですね」
心做しか彼女の声が小さくなった気がして、心がキュッとなった。そんな声されたら俺だってもっと話したい。なんなら顔みて話したい。そう思って、俺は口を開いた。
『ね、次の休みデートしよ』
仕事の休憩中、俺は何気なく近くのコンビニに立ち寄って雑誌コーナーを眺めた。後輩グループが表紙になっているものをサッと目を通し本棚に返すと、その隣に置かれていた本に目が止まる。表紙には大きく書かれた “理想のデート特集”。…デートかぁ
仕事柄デートなんて大々的にできるわけはない。そもそもスケジュールが空いてないし。なんて思いながら気づいたらその雑誌を買って控え室に戻ってはスケジュールアプリを立ち上げて、隅々までオフを探した。
仕事が終わったのは夜11時。もう寝ちゃったかな、そう思いながらもダメ元で “終わったよ”とメッセージを送ってみるとすぐに既読の文字が出た。それだけでも嬉しくなってしまうのは重症だな。彼女がまだ起きてるこのチャンスを逃したくなくて、俺は通話の発信ボタンを押した。
3回、4回と呼出音が鳴る。それと一緒にソワソワとしだす俺の心。5回目の呼出音で、大好きな彼女の声が聞こえた。
「…こんばんは」
あー、好き。一気に語彙力をなくして、ただその言葉だけが頭をいっぱいにする。久々に聞いた彼女の声は、電話越しだと少し高く聞こえた。
『○○ちゃん、こんばんは。こんな遅くにごめんね』
「いえ…お仕事終わりですか?」
『うん、ちょっと○○ちゃんの声聞きたくなって』
そう言えば、彼女は少しだけ黙った。その沈黙がなんだか恥ずかしいことを言ってしまった気になって顔が熱くなってくる。
気を紛らわすように、先程コップに注いだお茶を1口含んだ。
「…私もちょうど、山田さんの声が聞きたいと思ってました」
思わずお茶を吹き出しそうになった。彼女がそんなことを思ってくれてたなんて夢にも思わず、一気にテンションが上がってしまう。なんでこんなに可愛いの?ね、なんでそんな可愛いこと言うの??無理ぃ…
わぁっと暴れている心が気づかれないように、俺は平然を保った声色で『嬉しい』なんて返してみる。コップで反射して見えた俺の顔はなんともだらしなく緩んでいた。
すごく会いたい、今すぐにでも。…そうは言っても山田涼介、夜遅くに女の子の家に押しかけるとは紳士じゃないだろう。
『もう遅いからまた今度ゆっくり電話してもいい?』
かけてすぐに切るとか何用だよ、マジで。そう自分にツッコミを入れながらも、だって声聞きたかったんだもん。と素直な自分が答えた。
「…そうですね」
心做しか彼女の声が小さくなった気がして、心がキュッとなった。そんな声されたら俺だってもっと話したい。なんなら顔みて話したい。そう思って、俺は口を開いた。
『ね、次の休みデートしよ』
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