担当の推し
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煌びやかなステージが幕を閉じる。最後まで客席に笑顔を振りまいて、最高の歓声を浴びる。完璧なアイドル、それが俺。
舞台袖にはたくさんのスタッフが終演を拍手で祝っている。その一人一人に挨拶をして軽くシャワーを浴びると、マネージャーが回してきた車に乗り込んだ。
まだ体はライブ後の熱を帯びていて、それと対照的に脳みそが疲弊してる。ぐぐっと背伸びをして、適当にSNSを見ていれば俺の名前が当たり前のようにトレンド入りしていた。
あの曲が良かった、あのパフォーマンスが良かった、神席だった。ファンの思い思いのライブの感想がズラリと見て取れる。
その中には俺が前から見ていたアカウントがあった。シンプルなアイコンの○○という子。気持ち悪がられるかもしれないけど、この子のSNSは俺にとって見てて気持ちがいい。細かい感想と全肯定。ちょこちょこ私生活が垣間見えるつぶやきから察するに俺の家と近いんじゃないかと思ったり、思わなかったり。
“ライブ最高だった!トロッコ回ってきた時マジ神存在した。自分消滅するかと思た”
大興奮オタク口調にふっと笑ってしまう。
…今日ライブ来てくれてたんだ。良かった、満足してくれたんだ。と心をなで下ろしていると、あっという間に家に着いた。
『お疲れ様でした』
軽い挨拶をして車を見送ると、そのまま俺はカフェインを求めて近くのカフェへと向かった。
時間は夜11時。人も少なくゆっくりとした店内BGMがよく聞こえる。その中で1番奥の席に座ってコーヒーを片手にボーとしていた時だった。
「店長、聞いてくださいよ。今日神のライブ行ってきたんです!」
静かな店内だからか、小声すらよく聞こえる。声の方向を見ると、レジ前に立つ女の子と、お店の店長らしき男性。男性は「休みなのになんで来たんだよ」なんて若干嫌そうな顔をしてる。
女の子は綺麗な横顔で、赤いリボンでまとめられたポニーテールがよく似合ってた。
…ライブ、神、赤いリボン。まさかね。
ははっと自分を笑いながら、片手にスマホを持ってさっきのアカウントを調べる。つぶやきを遡れば会場前でうちわと撮っている後ろ姿の写真がアップされていた。
『え。』
その写真は赤いリボンのポニーテール。背格好もおそらく一緒。
不思議とドキドキと鼓動を早めていく自分になんだか焦った。
ずっと気になっていたアカウントの子がすぐそこにいる。
彼女はふわふわとした笑顔で、ライブの感想を述べていた。
「トロッコ!が!!回ってきてですね。あーもうほんと後光で前見えんですわ!自発光すぎですよ!」
自発光、その言葉に反応する俺の耳。…完全に俺のことだ。
ついニヤける口をコーヒーで隠した。
「他にお客さんいるからもう帰れ」なんて呆れた男性の声がして、まだ聞いていたいのに。なんて思ってしまう。
「え!…あ、ほんとだ」
そう小さく呟いた彼女は俺の方を見て軽く頭を下げた。
『…いえ、大丈夫ですよ』
迂闊に返事をしてしまったけど、バレただろうか。彼女は俺を数秒見つめたあと、「じゃあまた明日!」と男性に会釈をしてカフェを出ていった。…バレなかった…?窓から見えなくなるまで彼女を目で追っていると、自然と手に汗が滲んだ。
『…あの、さっきの子って』
隣のテーブルを拭きに来た男性に声をかければ「さっきはすみません。うちで働いてる子なんです。」なんて教えてくれる。
-「じゃあまた明日」
その彼女の言葉が浮かんで、また明日ここに来れば彼女に会えるのかも。そんな淡い期待をしてしまった。
舞台袖にはたくさんのスタッフが終演を拍手で祝っている。その一人一人に挨拶をして軽くシャワーを浴びると、マネージャーが回してきた車に乗り込んだ。
まだ体はライブ後の熱を帯びていて、それと対照的に脳みそが疲弊してる。ぐぐっと背伸びをして、適当にSNSを見ていれば俺の名前が当たり前のようにトレンド入りしていた。
あの曲が良かった、あのパフォーマンスが良かった、神席だった。ファンの思い思いのライブの感想がズラリと見て取れる。
その中には俺が前から見ていたアカウントがあった。シンプルなアイコンの○○という子。気持ち悪がられるかもしれないけど、この子のSNSは俺にとって見てて気持ちがいい。細かい感想と全肯定。ちょこちょこ私生活が垣間見えるつぶやきから察するに俺の家と近いんじゃないかと思ったり、思わなかったり。
“ライブ最高だった!トロッコ回ってきた時マジ神存在した。自分消滅するかと思た”
大興奮オタク口調にふっと笑ってしまう。
…今日ライブ来てくれてたんだ。良かった、満足してくれたんだ。と心をなで下ろしていると、あっという間に家に着いた。
『お疲れ様でした』
軽い挨拶をして車を見送ると、そのまま俺はカフェインを求めて近くのカフェへと向かった。
時間は夜11時。人も少なくゆっくりとした店内BGMがよく聞こえる。その中で1番奥の席に座ってコーヒーを片手にボーとしていた時だった。
「店長、聞いてくださいよ。今日神のライブ行ってきたんです!」
静かな店内だからか、小声すらよく聞こえる。声の方向を見ると、レジ前に立つ女の子と、お店の店長らしき男性。男性は「休みなのになんで来たんだよ」なんて若干嫌そうな顔をしてる。
女の子は綺麗な横顔で、赤いリボンでまとめられたポニーテールがよく似合ってた。
…ライブ、神、赤いリボン。まさかね。
ははっと自分を笑いながら、片手にスマホを持ってさっきのアカウントを調べる。つぶやきを遡れば会場前でうちわと撮っている後ろ姿の写真がアップされていた。
『え。』
その写真は赤いリボンのポニーテール。背格好もおそらく一緒。
不思議とドキドキと鼓動を早めていく自分になんだか焦った。
ずっと気になっていたアカウントの子がすぐそこにいる。
彼女はふわふわとした笑顔で、ライブの感想を述べていた。
「トロッコ!が!!回ってきてですね。あーもうほんと後光で前見えんですわ!自発光すぎですよ!」
自発光、その言葉に反応する俺の耳。…完全に俺のことだ。
ついニヤける口をコーヒーで隠した。
「他にお客さんいるからもう帰れ」なんて呆れた男性の声がして、まだ聞いていたいのに。なんて思ってしまう。
「え!…あ、ほんとだ」
そう小さく呟いた彼女は俺の方を見て軽く頭を下げた。
『…いえ、大丈夫ですよ』
迂闊に返事をしてしまったけど、バレただろうか。彼女は俺を数秒見つめたあと、「じゃあまた明日!」と男性に会釈をしてカフェを出ていった。…バレなかった…?窓から見えなくなるまで彼女を目で追っていると、自然と手に汗が滲んだ。
『…あの、さっきの子って』
隣のテーブルを拭きに来た男性に声をかければ「さっきはすみません。うちで働いてる子なんです。」なんて教えてくれる。
-「じゃあまた明日」
その彼女の言葉が浮かんで、また明日ここに来れば彼女に会えるのかも。そんな淡い期待をしてしまった。
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