マイヒーロー
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「おはようございまぁ……?」
週明け会社に向かう足取りは最近の中で一番軽快だったと思う。いつも通り挨拶をしようとしたところで異変に気がついた。2つのデスクが綺麗さっぱりになっていたから。
「あ、の…部長と△△さんって…」
隣にいる先輩に聞くと社内掲示板を指さした。
そこには部長は地方へ移動という名の左遷、△△さんは退職をしたという紙が貼られている。
うっそ…
彼は “任せて” と言っていたが、まさかこれのこと…?
ドッドッと心臓が重く脈打つ。彼がどこまで何をしたのか。きっと例のゴルフコンペがきっかけだったんだろう、と朝イチの頭をフル回転させて考えた。
『○○さん、ちょっといい?』
いつもより静かに安心して仕事をしていると、彼がやってきた。
「りょ、…山田さん、ちょうど私も聞きたいことがあって」
そう言う私に、彼は目を細めて笑うと『おいで』と第三会議室へと案内した。
『失礼します。』
「っ!おはようございます。」
会議室に入って彼の背中越しに見えたのは副社長と営業部長。
なかなかお目にかからない副社長に自然と背筋が伸びた。
目の前の席に座るよう促され、彼と並んで座る。それを見届けたあと、営業部長はこれまでの△△さんと部長の件について話を始めた。
話を聞けば、ゴルフコンペで重役を目の前に悪事を晒されこてんぱんに責められた部長は満場一致で地方への左遷を言い渡され、使い勝手の良かった駒がいなくなることで△△さんは逆上し速攻退職を希望したらしい。メンタルボロボロになった部長の口からは△△さんにまともに仕事を任せたことがなかったみたいで…会社としても仕事のできない人間はいらない、ということ。
一通り現状の報告を営業部長が話終えると、副社長は私に頭を下げた。「部下を守る立場の人間が私情を優先し、いじめに加担していた事を、会社を代表して謝罪します。」と。
本音を言えば本人からの謝罪が欲しいところだけど、副社長に頭まで下げられてしまえば何も言えない。でも本人を目の前にしたら、1発殴るかもしれないから、これでいいのかも。
そう思っていると、副社長はゆっくりと頭を上げた。「コンペの日、1番怒ってたの山田くんだったよね、殴り掛かりそうで止めるの大変だったんだよ」はっはっはっと軽快に笑う副社長と営業部長。
「え…?」
『あ、ちょ!それは言わない約束だったじゃ…!』
あまり大きく感情を顕にしない彼からは想像もできないような副社長の言葉に、思わず彼を見るとあたふたとしている。
「そのくらい○○さんのこと大切なんだねぇ、いいねぇ、若いねぇ」なんて続けて副社長は笑っていた。
横に座る彼は顔を真っ赤にしている。
それから通常業務に戻り、終業時間まであと1時間という時にスマホがブブッと震えた。
“6時上がり。一緒に帰ろ”
いつものメッセージに心から安堵するのがわかる。
今日はプチ祝い、なんて言って帰り道のコンビニによっておつまみとデザートを買って帰った。
カコン、とお互いの缶を合わせて乾杯をする。プルタブを上げればプシュッと炭酸が吹き出す音がしてアルコールの匂いが鼻を掠めた。
「…涼介、ありがとうね」
『ん、なぁによ急に』
照れくさそうに缶に口をつけて言う彼。そんな彼の肩にそっと頭を傾けると、優しく撫でてくれた。
「守ってくれてありがと」
『……好きなんだから当然でしょ』
臭いこと言った、なんて彼は顔を赤くしてるけど、私にとっては胸がいっぱいになるくらい嬉しかった。
『たくさ、辛いことあったら話してくれたっていいじゃない』
「うぅ。だって心配かけたくなくて…」
『○○のこと守りたいの!』
不貞腐れ顔で、私の頭を雑に撫でる彼にふふっと笑ってしまった。
「もしかして愛されてる?私って」
冗談交じりでそう言うと、彼は私の頬にそっと手を添えて顔を覗き込んだ。綺麗な顔と透き通るような瞳にドキッとする。
『ん、愛してる。』
触れるくらいのキスをして、目が合って、ぎゅっと抱きしめられて。胸がいっぱいになるほどの幸せを感じた。
「涼介は私のヒーローだね」
おつまみを頬張る彼の横顔を見ながら、気づかれないように呟いた。
また明日から仕事頑張ろう。
私の腰に回っている彼の手をキュッと握ってみた。
おわり
週明け会社に向かう足取りは最近の中で一番軽快だったと思う。いつも通り挨拶をしようとしたところで異変に気がついた。2つのデスクが綺麗さっぱりになっていたから。
「あ、の…部長と△△さんって…」
隣にいる先輩に聞くと社内掲示板を指さした。
そこには部長は地方へ移動という名の左遷、△△さんは退職をしたという紙が貼られている。
うっそ…
彼は “任せて” と言っていたが、まさかこれのこと…?
ドッドッと心臓が重く脈打つ。彼がどこまで何をしたのか。きっと例のゴルフコンペがきっかけだったんだろう、と朝イチの頭をフル回転させて考えた。
『○○さん、ちょっといい?』
いつもより静かに安心して仕事をしていると、彼がやってきた。
「りょ、…山田さん、ちょうど私も聞きたいことがあって」
そう言う私に、彼は目を細めて笑うと『おいで』と第三会議室へと案内した。
『失礼します。』
「っ!おはようございます。」
会議室に入って彼の背中越しに見えたのは副社長と営業部長。
なかなかお目にかからない副社長に自然と背筋が伸びた。
目の前の席に座るよう促され、彼と並んで座る。それを見届けたあと、営業部長はこれまでの△△さんと部長の件について話を始めた。
話を聞けば、ゴルフコンペで重役を目の前に悪事を晒されこてんぱんに責められた部長は満場一致で地方への左遷を言い渡され、使い勝手の良かった駒がいなくなることで△△さんは逆上し速攻退職を希望したらしい。メンタルボロボロになった部長の口からは△△さんにまともに仕事を任せたことがなかったみたいで…会社としても仕事のできない人間はいらない、ということ。
一通り現状の報告を営業部長が話終えると、副社長は私に頭を下げた。「部下を守る立場の人間が私情を優先し、いじめに加担していた事を、会社を代表して謝罪します。」と。
本音を言えば本人からの謝罪が欲しいところだけど、副社長に頭まで下げられてしまえば何も言えない。でも本人を目の前にしたら、1発殴るかもしれないから、これでいいのかも。
そう思っていると、副社長はゆっくりと頭を上げた。「コンペの日、1番怒ってたの山田くんだったよね、殴り掛かりそうで止めるの大変だったんだよ」はっはっはっと軽快に笑う副社長と営業部長。
「え…?」
『あ、ちょ!それは言わない約束だったじゃ…!』
あまり大きく感情を顕にしない彼からは想像もできないような副社長の言葉に、思わず彼を見るとあたふたとしている。
「そのくらい○○さんのこと大切なんだねぇ、いいねぇ、若いねぇ」なんて続けて副社長は笑っていた。
横に座る彼は顔を真っ赤にしている。
それから通常業務に戻り、終業時間まであと1時間という時にスマホがブブッと震えた。
“6時上がり。一緒に帰ろ”
いつものメッセージに心から安堵するのがわかる。
今日はプチ祝い、なんて言って帰り道のコンビニによっておつまみとデザートを買って帰った。
カコン、とお互いの缶を合わせて乾杯をする。プルタブを上げればプシュッと炭酸が吹き出す音がしてアルコールの匂いが鼻を掠めた。
「…涼介、ありがとうね」
『ん、なぁによ急に』
照れくさそうに缶に口をつけて言う彼。そんな彼の肩にそっと頭を傾けると、優しく撫でてくれた。
「守ってくれてありがと」
『……好きなんだから当然でしょ』
臭いこと言った、なんて彼は顔を赤くしてるけど、私にとっては胸がいっぱいになるくらい嬉しかった。
『たくさ、辛いことあったら話してくれたっていいじゃない』
「うぅ。だって心配かけたくなくて…」
『○○のこと守りたいの!』
不貞腐れ顔で、私の頭を雑に撫でる彼にふふっと笑ってしまった。
「もしかして愛されてる?私って」
冗談交じりでそう言うと、彼は私の頬にそっと手を添えて顔を覗き込んだ。綺麗な顔と透き通るような瞳にドキッとする。
『ん、愛してる。』
触れるくらいのキスをして、目が合って、ぎゅっと抱きしめられて。胸がいっぱいになるほどの幸せを感じた。
「涼介は私のヒーローだね」
おつまみを頬張る彼の横顔を見ながら、気づかれないように呟いた。
また明日から仕事頑張ろう。
私の腰に回っている彼の手をキュッと握ってみた。
おわり
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