マイヒーロー
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
毎日覗くPCのブルーライト。
キーボードを叩く音。
時代遅れな紙の香り。
ひたすらに数字を眺めてデータ入力する日々は、私の性に合っていた。
「部長、先月のデータですが営業2課の数字が合いません。」
え、あぁ…とタジタジな部長は、さっきまで弄っていたスマホをデスクにしまった。
大手企業の経理部に務めて早2年。
ここの部長が使えないことがよくわかった。
『お疲れ様です。請求書の作成お願いします。』
冷ややかなオフィス内がパッと明るくなるのは、彼が来た時だけ。
「お疲れ様です、山田さん。内訳お預かりします。」
『ん、お願いね。』
柔らかい笑顔で私に資料を渡してくれるのは営業1課のエース、山田涼介さん。
…それでいて私の彼氏。
色白で綺麗な顔立ちと嫌味のない性格。それでいてシゴデキ。
いわゆるスパダリってやつ。
そんな彼と同棲してるのは夢みたいな話で…。
さっきまで死んだ魚のような目をしているほかの女性職員も目を輝かせて彼を見ていた。
〈やまださぁ〜ん、お疲れ様ですぅ〉
その中から一際彼にぶりぶりして寄っていくのが、△△さん。
私と彼が付き合ってることを知っていてもお構い無しに、猛アピールをしている。
〈今度呑み行きませんかぁ?〉
『あー…いや、大丈夫』
引きつった口元でやんわりとかわして、そそくさと営業課に戻る彼を〈もう!照れ屋さん〜!〉なんて言っている△△さんを女性職員達は呆れた目で見ていた。
「△△さん。先月の2課のデータ、作成したの△△さんですよね。数字合っていませんでしたけど」
彼が出ていく様を見届ける彼女に声をかけると、さっきまでの表情が嘘かのように声を低くした。
〈…えー?ほんとですかァ?じゃあ部長にお願いして修正してもらいますね。〉
「いや、そのくらい自分で…」
〈はいはいはい!眉間にシワよってますよ〜?は〜あ。そんなに真面目じゃ山田さんもたいへ〜ん〉
「はっ…」
はぁああぁ?!?!?
彼女の度々見せる仕事へのやる気のなさと、人への嫌味は天下一品と言ったところか。
無意識にキーボードを叩く力が強くなってしまった。
少しして、ブブッとスマホの通知バイブが揺れた。
それは、先程までシワ寄せしていた眉間を緩やかにする通知。
“6時上がり。一緒に帰ろ”
ふふっと周りにバレないようにニヤけて、時計を見ると6時まであと1時間。…よし、頑張ろう!
すぅっと大きく深呼吸をすると、残りの仕事を片付けた。
キーボードを叩く音。
時代遅れな紙の香り。
ひたすらに数字を眺めてデータ入力する日々は、私の性に合っていた。
「部長、先月のデータですが営業2課の数字が合いません。」
え、あぁ…とタジタジな部長は、さっきまで弄っていたスマホをデスクにしまった。
大手企業の経理部に務めて早2年。
ここの部長が使えないことがよくわかった。
『お疲れ様です。請求書の作成お願いします。』
冷ややかなオフィス内がパッと明るくなるのは、彼が来た時だけ。
「お疲れ様です、山田さん。内訳お預かりします。」
『ん、お願いね。』
柔らかい笑顔で私に資料を渡してくれるのは営業1課のエース、山田涼介さん。
…それでいて私の彼氏。
色白で綺麗な顔立ちと嫌味のない性格。それでいてシゴデキ。
いわゆるスパダリってやつ。
そんな彼と同棲してるのは夢みたいな話で…。
さっきまで死んだ魚のような目をしているほかの女性職員も目を輝かせて彼を見ていた。
〈やまださぁ〜ん、お疲れ様ですぅ〉
その中から一際彼にぶりぶりして寄っていくのが、△△さん。
私と彼が付き合ってることを知っていてもお構い無しに、猛アピールをしている。
〈今度呑み行きませんかぁ?〉
『あー…いや、大丈夫』
引きつった口元でやんわりとかわして、そそくさと営業課に戻る彼を〈もう!照れ屋さん〜!〉なんて言っている△△さんを女性職員達は呆れた目で見ていた。
「△△さん。先月の2課のデータ、作成したの△△さんですよね。数字合っていませんでしたけど」
彼が出ていく様を見届ける彼女に声をかけると、さっきまでの表情が嘘かのように声を低くした。
〈…えー?ほんとですかァ?じゃあ部長にお願いして修正してもらいますね。〉
「いや、そのくらい自分で…」
〈はいはいはい!眉間にシワよってますよ〜?は〜あ。そんなに真面目じゃ山田さんもたいへ〜ん〉
「はっ…」
はぁああぁ?!?!?
彼女の度々見せる仕事へのやる気のなさと、人への嫌味は天下一品と言ったところか。
無意識にキーボードを叩く力が強くなってしまった。
少しして、ブブッとスマホの通知バイブが揺れた。
それは、先程までシワ寄せしていた眉間を緩やかにする通知。
“6時上がり。一緒に帰ろ”
ふふっと周りにバレないようにニヤけて、時計を見ると6時まであと1時間。…よし、頑張ろう!
すぅっと大きく深呼吸をすると、残りの仕事を片付けた。
1/11ページ