掌編
あの雨の日は自分は無我夢中で、先輩ははじめから終わりまでテンパッていて、何がどうよかったとかとうとう一つにとか、クラスメートがコソコソ喋っているようなことはなに一つ感じられなかった。
もちろん初めて見た先輩のマッパは興奮したし全身で感じるその肌はめちゃくちゃ気持ちよかった。でもそこまでだった。終わると急き立てられるように着て来た洋服を投げつけられて、追い出されるように先輩の部屋から出た。先輩の家は大きくて、階段を降りると玄関がわからなくて、もう一度先輩の部屋に戻ると、顔を真っ赤にしてまだ裸のままでベッドの上でちんこを握っていた先輩が飛び上がった。
「なっ!? おまえっ!」
「玄関どこ? あ」
そういえば先輩は達していなかった。でもそれならどうして。
ずかずか部屋に入っていくと、立ち上がった先輩に胸倉をつかまれてベッドに引き戻されて、結局いつもと同じように擦り合いっこしたのだった。
今日も雨が降っている。
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