琥空 珀冬と珀雫の夏祭り

10年前

浴衣を着た珀冬と珀雫は手──は繋がず、二人で神社で行われている夏祭りに来ていた。
首からはそれぞれがま口の財布をぶら下げて出店を回る。

「珀雫!!!何食べる!!!?」
「俺はタコ焼き食べたいな~。珀冬は?」
「俺は!!たい焼き!!!りんご飴!!チョコバナナ!!!」
「甘いもんばっかじゃん。じゃ、さっさと買ってあっちのベンチに座ろ」
「そっこーで買ってくる!!!!!」
「待て待て一人で行くなよ!」

はたから見れば珀冬は大声で喋る元気な少年
珀雫は少し落ち着いた少年だった。

二人はそれぞれ貰ったお小遣いからここに食べたい物を買い、袋をぶら下げてベンチのある林の方へと向かう。

神社の周りは林で囲まれており、林の方へ行けば休むことができるベンチが置いてある。
日中であればベンチで休む人は幾人か見るが
夜であれば祭り会場が近くにあれど割と暗い。
遠くの出店の明かりで辺りがぼんやり見えるくらい落ち着いた場所だ。
二人は誰もいないベンチに座り、祭で買ったものを食べる。

「食べたらどうする?」
「ボール掬いしよう!!あとは輪投げや縄引き!!!!!」
「そんなにお金貰ってないって……小遣い足りるかな…」
珀雫は財布を見る。財布の中は残り500円位だ。
「俺は500円位だけど、珀冬は後いくらある?」
「……」

珀冬に質問をするが返事が返ってこない。
シン…としている。
「珀冬?もしかしてもう残ってないとか……」
財布を見ていた顔を上げ、珀冬を見る。

──が、珀冬が居た場所には誰もいなかった。

「……は?珀冬?こんな暗い所でかくれんぼなんて俺嫌だよ??」

珀冬が座っていた場所には食べかけのたい焼きが落ちている。
いつから落ちていたのだろうか?

何故かたい焼きには蟻が群がっている。
他の食べ物が入った袋は椅子の上に置いてあるが木の葉や土が入っている。
まるで何日も放置されていたかのように。
椅子に触れると、温もり等微塵も感じ取る事が出来なかった。

「珀………冬?」
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