「言うつもりなかったのに」

俺はとんでもない過ちを犯した気がする。
ここ最近、絶対おかしくなってるんだ、俺

蒼汰が言っていた。
「死体なんか見るな」と
多分ちょっと前の俺は、そんなもの興味が無かったと思うんだ。
手元にある虫の標本を撫でる。
落ち着く。
コレを買ったのも割と最近だ。でもざわつく気持ちが落ち着く様になった。


でも俺が今言いたいのはそこじゃない


『蒼汰、好き』


コレだ。


「言うつもりなかったのに」


「ううううううううううううう」
俺は今自宅の枕に顔をうずめている。

以前蒼汰と共にコンサートへと足を運んだ。
そこで、確実にやらかした
そのコンサート会場で色々あり、蒼汰の幼馴染と言う瀬戸と言う男にセクハラをされ
その後蒼汰にもセクハラをされた。
俺は二人からの謎のセクハラを振り払おうとしたが、あの時、確実に言ってはいけない発言をした。

『神宮寺じゃないと、嫌だな』

「俺何言ってるんだ?!?????」

何度思い出しても羞恥が凄い。
頭が真っ赤に染まり頭が暑い。熱中症ではない
あまりに恥ずかしい発言をした現実を直視できない。

しかも話はそこで終わらず、その後蒼汰からキスもされた。
『人前は…ちょっと…』

「人前はちょっとじゃないんだよ違うだろ俺!!!!!!」
絶対におかしい。
俺がおかしい、流石の俺でもわかる。
「そこはもっと動揺してくれよ俺!!!」
“今“の俺だったら確実に動揺する。想い人とキスだぞ?!


しかもおかしかったのはこの時だけじゃない
ついさっきまでだ。

つい先ほど、何故か鍋を囲んだ。
ほんとうに何でかはわからないが鍋を囲んだ。
そこには蒼汰の他に瀬戸、京極、望月、ヴェネリオがいた。
何だろうあのメンツ。

鍋は美味しかった。みんなで鍋を囲むのは楽しかった。
お酒も飲んだ。しかし酔い過ぎないようにカルピスサワーを飲んだ。
当然その1杯で酔う俺ではない。

が、酔っていたのではと言われてもおかしくない状況であった。

『蒼汰、好き』

先ほどの俺は
唐突に蒼汰に告白をした。皆の目の前で。
とても、連呼した気がする。
蒼汰が好きと
あの時は止められなかった。
蒼汰を見たら好きだという気持ちが溢れて止まらなくなった
瀬戸に取られるかもしれないと考えたら恐ろしかった。
蒼汰は俺のものだ誰にも渡さないって気持ちが大きかった。


本当は好きだなんて、そんな事
「言うつもり…無かったのに……迷惑かけて……」
でも、蒼汰も一回だけしか言わなかったけど俺の事好きって言わなかったか?
「……いや流石にそんな都合のいいアレは…」
「会いづらい…な…ちょっと…」

次行った時何事もなかったかのように振舞おうか
お前の事はいつでも好きだぜって肩でも叩こうか。
「アイツと疎遠になるのはいやだな…」
気まずくなるのは嫌なのだ
気まずくなるくらいなら告白なんてしなかった。



どうすればいいかわからず布団の上を転がる。



「…」

好き、と伝えたかったわけではない
でも実際蒼汰の事は好きなんだ。
ただ、一緒にいるのが楽しくて、気づいたら好きになってて

「俺何してるんだろうなぁ…」
仰向けになり天井を見る

「…さっき別れたばっかりだけど会いたいな、蒼汰」

次はいつ会えるだろうか。
やっぱり好きだ。

しばらく一人の部屋で延々と悩んでいたが
気がついたら意識は闇の中に溶けていった。
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