と、いうわけで私の話し相手は居なくなったわけだ…
千鶴ちゃん…いいほうに転がるといいけど。

彼女と少し話しただけでわかる。彼女は素直でいいこだ。
そんないい子を殺してしまうのは惜しい。
それにもっと…

「仲良くなりたいし…」

まあ彼女が生きていたとしても私は殺されるかもしれない。

「逃げるなら今がチャンス…てね。」

それはそうだろう、だって今なら誰もいない。

「…逃げないけどね。どうせ誰かいるんでしょ？」

何かを察知する能力があるわけじゃないけど、あんなにさっきを放っていた人たちが私を野放しにするとは思えない。

「ねーーーーー顔見せて！ひまなんだけど！」

シー―――――――ン

だと思ったよ…もー…

「顔見せなくてもいいからさー！」

シュタッツ
「oh…japanese ninnjya…」
「じゃ、じゃぱ…」

布で口元が隠れてるけど横文字に戸惑ってるのが目に出てる。
萌える…

「まーま、忍者さん。お話ししましょうや！」
「…俺は余り話が得意じゃないがいいだろうか」
「ぜーんぜん良き良き！聞いててくれるだけでいいよ～ん」
「（よ、よき…？）では、聞こう。」

居住まいを正してこちらを向いてくれる。
よく見るとこの人もイケメンだな…

「うーん、そうね、ここの人って妙にみんなイケ…あー男前じゃない？」
「ふむ、そうだろうか。たしかに副長は美しいお顔ではあるが…」

そう忍者さんは首をかしげる。
美形…ふむ

「あのトシっていう人？」
「ト…まあそうだな。そのように軽々しく呼んでいい相手ではないが。」
「じゃあトシさん？」
「まあ…いいか。」

少し厭な溜息をつかれる。いやごめんて。いいじゃんちょっと軽く呼ぶくらい…

「ねーねー忍者君。新選組ってさ、どういうとこ？」
「そう…だな。新選組は…____

「へー…山崎君、医療関係のおうちの出なんだ。」
「ああ、まあそこそこに医療についても明るい」
「へーすごいじゃん！」

自己紹介も済んだけど、まだ呼ばれないのか

「今何時かな…」
[いまは10時31分、先ほどから1時間ほど経っています。]
「な、なんだこれは？」
「ああ、これはチートアイテ…

そう説明をしようとした時

「桜音さん！私…！」
「千鶴ちゃん！おかえり、どうだった？」

千鶴ちゃんはひどく興奮した様子で言った。

「私…っこ、ここで暮らすことになったんです！、私の探していた父さまを新選組も探していたみたいで…」
「そっか…！よかった、殺されるとかいわれたらどうしようかと…」

胸をそっとなでおろす。
…次は私だ。
……生きて帰ってこれるだろうか…
自信は一ミリもない、私を生かす利点なんて一個もない。
口先三寸でどうにかなるものでもない……
きっと死ぬ。覚悟しなくちゃいけない。

「じゃあ次は私かなー、行ってくるよ千鶴ちゃん！」
「はい！検討を祈ります！」

にっこりと微笑まれる。
もう二度と会わないかもしれないな。

「つー訳でまた抱えて―」

そう迎えに来た一君に手を広げると抵抗なく抱き上げてくれた。
どうやら歩けというのは諦めたようだ。
ひょいっと私を抱きかかえると広間まで連れていいてくれる。

すっと広間に入るとまたさっきの様に新選組のみんなが私を見つめる

「ありがとね一君！」

そういうと一君は静かに座った。
さ、ここからが正念場だ。