嗚呼、素晴らしき哉、人生!
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原田左之助 狼の巣
それはおよそ一ヶ月に渡る大阪出張から、伊織が帰った日のことだった。
門前にて彼女を待つ赤髪の大男は、そわそわと落ち着かない様子で腕を組む。角の向こうにその姿を捉え、走り出したその姿は主人を待つ犬のようで。彼女の横にいた山南が、思わず笑いを漏らすほどだった。
「伊織!」
「原田さん!」
同じように駆け寄り飛びついてくるその身体を受け止め、時間の隙間を埋めるように身を寄せる。あまりに幸せそうなその微笑みに、やれやれと山南は先に屯所に上がってしまった。
「あーいくらこうしてたってお前が足らねぇ。」
「それは私もです。もっとぎゅってしてください。」
「もちろん、言われなくたって離さねぇよ。」
天下の往来で抱き合う二人は、もっぱら注目の的だ。その仲睦まじい様子に行き征く人は眉を下げ、瞳を細めて噂する。
「なんだか見られてますね。」
「そうだな…上がるか。」
「はい。」
よっと声をあげ伊織を抱き上げた原田は、鼻歌交じりに屯所に上がる。伊織は足を洗ってから、その逞しい腕にしがみついた。
満足げに眉尻を下げ、その頭を撫でる彼の口元がだらしなく緩む。茶と菓子を用意し部屋に戻ってから二人は、片時も離れぬというように体を寄せた。
「大阪はどうだったんだよ。」
「美味しいものたくさんあって、食べきれなかったんです。」
あぐらの上に彼女を抱き、抱えるようにして座らせる。どうにもこの男は、伊織の前だとひどく甘えたになるらしい。先程から肩口から耳元にかけて鼻を擦り付け、もどかしいそうに息を吸っている。恥ずかしそうに伊織は身をよじった。
「ねぇ、汗かいてるからやめてください。」
恥ずかしそうに胸を押し返すその様子に、暫し固まって原田は吹き出した。ひとしきり笑ったあと、その身体が傾く。次の瞬間には、畳を背にして伊織は彼を見上げていた。驚きの面持ちを見下ろして、原田はなおも笑みを消さない。しかしその笑みのには、色が浮かんでいた。
「そんなん言われたら、たまらねえよな?」
「え…」
器用に帯がほどかれる。あまりの手早さに伊織は声を上げた。
「ちょっと原田さん!まだお昼っ」
「いつだって関係ねぇだろ?」
笑いを含んで原田は、その首元に口を寄せる。最早言葉は無粋だった。ため息を吐いて伊織はその太い首に手を回す。
許可を得た狼は、その首筋に噛み付いた。
それはおよそ一ヶ月に渡る大阪出張から、伊織が帰った日のことだった。
門前にて彼女を待つ赤髪の大男は、そわそわと落ち着かない様子で腕を組む。角の向こうにその姿を捉え、走り出したその姿は主人を待つ犬のようで。彼女の横にいた山南が、思わず笑いを漏らすほどだった。
「伊織!」
「原田さん!」
同じように駆け寄り飛びついてくるその身体を受け止め、時間の隙間を埋めるように身を寄せる。あまりに幸せそうなその微笑みに、やれやれと山南は先に屯所に上がってしまった。
「あーいくらこうしてたってお前が足らねぇ。」
「それは私もです。もっとぎゅってしてください。」
「もちろん、言われなくたって離さねぇよ。」
天下の往来で抱き合う二人は、もっぱら注目の的だ。その仲睦まじい様子に行き征く人は眉を下げ、瞳を細めて噂する。
「なんだか見られてますね。」
「そうだな…上がるか。」
「はい。」
よっと声をあげ伊織を抱き上げた原田は、鼻歌交じりに屯所に上がる。伊織は足を洗ってから、その逞しい腕にしがみついた。
満足げに眉尻を下げ、その頭を撫でる彼の口元がだらしなく緩む。茶と菓子を用意し部屋に戻ってから二人は、片時も離れぬというように体を寄せた。
「大阪はどうだったんだよ。」
「美味しいものたくさんあって、食べきれなかったんです。」
あぐらの上に彼女を抱き、抱えるようにして座らせる。どうにもこの男は、伊織の前だとひどく甘えたになるらしい。先程から肩口から耳元にかけて鼻を擦り付け、もどかしいそうに息を吸っている。恥ずかしそうに伊織は身をよじった。
「ねぇ、汗かいてるからやめてください。」
恥ずかしそうに胸を押し返すその様子に、暫し固まって原田は吹き出した。ひとしきり笑ったあと、その身体が傾く。次の瞬間には、畳を背にして伊織は彼を見上げていた。驚きの面持ちを見下ろして、原田はなおも笑みを消さない。しかしその笑みのには、色が浮かんでいた。
「そんなん言われたら、たまらねえよな?」
「え…」
器用に帯がほどかれる。あまりの手早さに伊織は声を上げた。
「ちょっと原田さん!まだお昼っ」
「いつだって関係ねぇだろ?」
笑いを含んで原田は、その首元に口を寄せる。最早言葉は無粋だった。ため息を吐いて伊織はその太い首に手を回す。
許可を得た狼は、その首筋に噛み付いた。
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