しあわせな世界
この国には、王にすら意見できるほどの地位を持つ魔法使いがいる。
若くして圧倒的な力と知識で敵をねじ伏せ、数々の功績をたった一人で上げ続けた。
彼一人で戦況が変わると言っても過言ではないほどの存在に、本来なら国は手に余ると頭を悩ませるはずだった。
だがこの男は、そうしたことには全く興味を示さない。もっぱら研究室に籠り、外に出ることは稀で、戦略会議よりも魔法の実験や書物に没頭していた。
そんな彼がある日、何の気まぐれか――英雄と称えられた騎士を自分の護衛にと引き抜いた。
「君に護衛なぞいらんだろう」と王は言ったが、彼はその一切を無視した。騎士に雑用を命じ、共に戦場へ赴いた。
かくして彼らとそのノウハウが守り抜いたこの国は、数百年の間負けなしと言われるほどの大都市にまで成長を果たした。
”始まりの二人”として、国の守り神のように崇められる魔法使いと騎士のコンビだ。
だが、遠目で一度でも彼らの姿を見た者は、必ず口をそろえて笑っていた。
「あいつらはひと様が言う高潔で孤高の守り神なんかじゃねぇ」
そう口にするその声には、愛おしさと呆れが混じる。
そう、彼らは守り神ではない。
ただの普通の、どこにでもいる人間だ。
普通の人間が、互い愛し、ただそれだけで一緒にいた。
世界が集まるような存在も、二人の目にはいつも相手が世界の中心だった。
それが二人の、幸せな世界だった。
若くして圧倒的な力と知識で敵をねじ伏せ、数々の功績をたった一人で上げ続けた。
彼一人で戦況が変わると言っても過言ではないほどの存在に、本来なら国は手に余ると頭を悩ませるはずだった。
だがこの男は、そうしたことには全く興味を示さない。もっぱら研究室に籠り、外に出ることは稀で、戦略会議よりも魔法の実験や書物に没頭していた。
そんな彼がある日、何の気まぐれか――英雄と称えられた騎士を自分の護衛にと引き抜いた。
「君に護衛なぞいらんだろう」と王は言ったが、彼はその一切を無視した。騎士に雑用を命じ、共に戦場へ赴いた。
かくして彼らとそのノウハウが守り抜いたこの国は、数百年の間負けなしと言われるほどの大都市にまで成長を果たした。
”始まりの二人”として、国の守り神のように崇められる魔法使いと騎士のコンビだ。
だが、遠目で一度でも彼らの姿を見た者は、必ず口をそろえて笑っていた。
「あいつらはひと様が言う高潔で孤高の守り神なんかじゃねぇ」
そう口にするその声には、愛おしさと呆れが混じる。
そう、彼らは守り神ではない。
ただの普通の、どこにでもいる人間だ。
普通の人間が、互い愛し、ただそれだけで一緒にいた。
世界が集まるような存在も、二人の目にはいつも相手が世界の中心だった。
それが二人の、幸せな世界だった。
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