YOUTH

3年目2月上旬 ウエストビーチの解体
琉夏side


 俺たちは町を抜けて海岸線を走るバスに乗った。
 バスの窓からは、陸からの風邪で白波を立てた海が、西日を受けてギラギラ輝いているのが見えた。

 West Beachの手前の停留所で降りて、俺たちはすぐにいつもと違う景色に気が付いた。

 きれいサッパリ、俺たちの住処は跡形もなくなっていた。掘り起こされた砂地がまだ湿気を残していて生々しい。
 Diner West Beachは、正真正銘、ただのWest Beach西の浜に戻っていた。

 「決まってからは早かったねぇ」

 カエデは隣でしみじみと言った。

 「何もなくなっちゃったね」

 砂に生まれかけたビニール袋を拾ってみると、それは有名なホットケーキミックスのパッケージだった。
 胸の奥が、少し疼いた。

 引き上げられるものだけは引き上げていた俺たちは、何もなくなった景色を眺めていた。

 俺達は三人で荷物を運び出した。特にコウのヴィンテージを運ぶのが大変だった。

 お礼にって一度桜井家に呼んだ時には、父さんも母さんも俺たちに友達ができたことを大層喜んでいた。
 日ごろから飯食わしてもらったり、洗濯してもらったりともう頭が上がらないと母さんは、たくさんのフルーツをカエデに持たせ、父さんは「困ったことがあったらいつでも相談しなさい」と何度も伝えていた。

 母さんはとくに、カエデのイケメン具合にノックアウトしてて、それ以来俺によく連絡がくるようになった。
 話題は全部カエデのことだけど、俺達は前よりずっと話すようになった。

 図らずもカエデは、俺の今の家族と俺の潤滑油になったんだ。

 「俺らの城、閉店だな?」

 俺がそういうと、コウはにやっと笑った。

 「もーいらねぇだろうが」

 「それもそーだ」

 俺たちはにやにやしながら、浜辺で波を眺めた。
 カエデは俺らを不思議そうな目で見ながら「なんだよ二人して」ってそれでも楽しそうに笑った。
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