YOUTH
3年目12月中旬 期末テスト
琉夏side
期末テストが終わった。
例によって、カエデは首席で。俺も上位に食い込めたらしい。
廊下に張り出された順位表を前に、1位を取ったカエデは自分の順位よりもずっと喜んでいた。俺を抱っこして、「流石琉夏!!頑張ったね」なんて笑いながら回るもんだから、周りの視線が痛かった。
褒められるのに慣れてないせいか、こういうの、まだちょっとむずがゆい。
ウエストビーチのリビングに、冬の日差しが斜めに差し込んでいる。
いつもより少しだけ暖かい空気は、きっと“ご褒美”ってやつだ。
「やっぱお前はすげぇんだって」
キッチンから出てきたコウが、上機嫌でカエデの頭をわしゃわしゃ撫でて、ぐいぐい肩を引き寄せてもみくちゃにしている。
ガラにもなくるんっるんで。笑うしかないくらい。
俺はそれを、ソファの肘に寄りかかって眺めてた。
ずっと見ていたくなる光景だ。
コウは俺をちらっと横目に見て、「お前は昔から何やらしてもすぐ一番になっちまうな」って口角を緩めた。
思わず出た言葉に、俺は「一番じゃないよ」って笑って首を振る。
「一番みてぇなもんだろ」
吐き捨てるみたいに言うコウの声も、聞いててちょっと照れくさい。
カウンター越しに、コウがエプロンのままフライパンを片付けながら振り返って、「おらよ」って、オムライスの皿をひょいと三枚並べた。
湯気の立つ黄色いふわふわ。
「ケチャップはセルフサービスな」
そう言って、ケチャップのボトルをテーブルに無造作に投げる。
キャップの音が軽く響いて、俺はすぐに手を伸ばした。
ちょっとした悪戯心で、ハートをでかでかと。
それから、同じ形をカエデの皿にも描く。ケチャップの赤が温かい黄色に滲んで、なんだかちょっと照れくさい。
皿を戻すと、カエデが目を丸くして俺を見る。
「すごい。琉夏、上手だね」
気持ちは届いてない。でも、その言葉が嬉しかった。
口の端が、勝手にゆるむ。
「特別。ラブサービス」っておどけて言うと、カエデは「ありがとう」って俺の額にキスをした。
「え”」
びっくりして固まる俺に、カエデは吹き出している。
「なにやってんだオマエら」
コウが呆れたように言って、赤い革張りのソファにどかっと腰を下ろした。
「作ってくれてありがとう」
「おうよ。」
「いただきます!」
カエデがスプーンを手に取って、俺の描いたハートにそっと切れ目を入れる。
俺はそれを眺めながら、自分のハートもスプーンで崩した。
