YOUTH
1年目9月中旬 ピアスの穴
主人公side
二人のピアスがかっこよくて、ピアッサーを買ってきた。
琥一君にお願いして、開けてもらうことにする。ちょっと嫌がってるのは、意外と針とかそういうのが苦手なのかもしれない。
「両耳に1個ずつでいーか?」
「うん。ヒトオモイにお願いします…」
「ククッ。苦しくないよう逝かせてやるよ」
琥一君はそう笑いながら、僕の耳たぶをそっと指先でつまんだ。ピアッサーがあてがわれて、息を飲む。
怖くて、手が震える。心臓がドキドキ言って、口から飛び出しそうだ。
「行くぞ。腹くくれ」
低い声が響いて、カシャン、と乾いた音が耳元で鳴る。
びくっと身体が跳ねて、「ん…」と声が漏れた。少し遅れて、軽い鈍痛がやってくる。
力んで閉じていた目を開けると、生理的な涙が出た。ださい。
顔を上げると、何とも言えない顔をした琥一君がこちらを見ている。目が合うと、ふいと逸らされた。
「?」
琥一君、って呼ぼうとして、扉が開いた。
琉夏君が入ってきて「何してんの」って歩み寄ってくる。
「え、コウ泣かせた?」
僕の目元を親指でなぞりながら、琉夏君は琥一君を睨んだ。
「ちげぇ。ピアスん穴開けてんだよ」
「え、ピアス?なんで?」
琉夏君が僕を見る。
「あの…二人のピアスかっこいいなって。僕も開けたくなっちゃったから、琥一君に頼んだんだ」
顔が熱い。
憧れを、本人に説明するなんて。なんてプレーだ。
絶対からかわれると思って、琉夏君を見上げる。
「…あれ」
なんだか思ったより嬉しそうな琉夏君が、「じゃあもう片っぽは俺が開けたげる」ってピアッサーを構えた。
「え」
何の準備もしないまま、カシャン、とまた耳元で音がした。
ちくっと耳たぶに微かな痛み。思わず掴んだ琥一君の手首。
「バカお前。急にやっからコイツがビビってんだろが」
たしなめる低い声に、「ごめん。でもホラ。気づいたら終わってたろ?」って琉夏君は悪びれもなく言った。
持ってきてた鏡を出して、じっくり見る。
そこには、少しだけ違う自分が映っている。鈍い痛みも、我慢できなくはない。
少し赤くなった耳たぶに、ファーストピアスの銀色が光っている。
「すご…」
思わず漏れた声に、ハッとして二人を見る。
「…何その顔」
ちょっと赤くなった二人が、口元を緩ませて僕をニヨニヨと見ていた。
「いやぁ…俺らに憧れるカッちゃん可愛いなぁと思って」
「似合ってんぞ。いくらでも開けてやるから、また言ってこい」
琉夏君も琥一君も交互に僕を撫でながら、なんだか幸せそうにそう言った。
もしかしたら、と思う。
もしかしたらこの二人も、少なからず僕を友達だと思ってくれているのかもしれない。
髪ごしに伝わる二人の固い手のひらが、そのぬくもりを伝えていた。
