二十二の夏
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無理をし過ぎた掌から流れる血。
上がる呼吸を抑え込み、インカムを耳に押さえつけた。
「……は、っ、……轟、敵お願い。気絶しているのを確認した。私も余裕なくて、結構負傷させちゃったかも」
「おい、お前どこにいるんだ? おい、お」
ぶつりと電話を切った。
「ごめん、それは、言えない」
なんとか引きずる身体で、人目のつかないところまで来ることが出来た。
遠くから聞こえる歓声に、ぐらりと傾く身体が全て終わったのだと知らせてくれた。
私が塗りつぶしたあの日は無駄ではなかった。
砂混じりの酸素を吸ったことに気付きながら、落ちていった瞼に、最後まで他人事だった。
ああ、やっと終わったのか。
少しの間、眠っていたことに気が付いた。
身体が重い。
もう、動かない。動けない。
そう言う身体の命令とは関係なしに、頭で送る命令には、酷くゆっくりと身体は従順だった。
幸い瓦礫などを被ってない。
なんとか仰向けになると、もう本当にこれ以上は動けないと悟った。
腹に置いた指先を僅かに持ち上げるとわかる。
べったりと生々しい赤が、命の時間を告げていた。
どくりと、流れていくのを感じる。
相打ちした時にやられたのだろう。
痛いところが多すぎてもうどこが痛いのかわからない。
瞼が、重たい。
歓声の声は聞こえない。
今は、救助活動に勤しんでいる頃だろう。
「いずく、」
出久は、生きているだろうか。
怪我を、しててもいい。
生きてさえ、いてくれれば。
それで、それだけでいい。
「ごほ、っ、は、」
内臓がやられている。
当たり前か。
満足に呼吸ができない。
穴の空いた袋に懸命に空気をため込もうとしているかのように呼吸をしても、当たり前に逃げていく酸素が、私を蝕む。
苦し紛れに見上げた青い空。
目を細める眩しい輝き。
取り戻せた。取り戻せたんだ。
ほ、と息をつくこともままならず、酷使し過ぎた心臓が派手に暴れた。
「づ、あ……」
プレゼント。
最後の、プレゼント、渡せないなあ。
何個目になったのだろう。
私が五歳の時から送り続けたプレゼント。
単純な計算が出来ない。
駄目だ、頭が回らない。
段々とゆっくりになる鼓動と呼吸が、眠気を誘う。
でも、まだ死ねない。
出久が、出久が生きていることを確認しないと。
お願い、誰か。
教えて下さい。
誕生日おめでとうと、言えないことが酷く残念だった。
上がる呼吸を抑え込み、インカムを耳に押さえつけた。
「……は、っ、……轟、敵お願い。気絶しているのを確認した。私も余裕なくて、結構負傷させちゃったかも」
「おい、お前どこにいるんだ? おい、お」
ぶつりと電話を切った。
「ごめん、それは、言えない」
なんとか引きずる身体で、人目のつかないところまで来ることが出来た。
遠くから聞こえる歓声に、ぐらりと傾く身体が全て終わったのだと知らせてくれた。
私が塗りつぶしたあの日は無駄ではなかった。
砂混じりの酸素を吸ったことに気付きながら、落ちていった瞼に、最後まで他人事だった。
ああ、やっと終わったのか。
少しの間、眠っていたことに気が付いた。
身体が重い。
もう、動かない。動けない。
そう言う身体の命令とは関係なしに、頭で送る命令には、酷くゆっくりと身体は従順だった。
幸い瓦礫などを被ってない。
なんとか仰向けになると、もう本当にこれ以上は動けないと悟った。
腹に置いた指先を僅かに持ち上げるとわかる。
べったりと生々しい赤が、命の時間を告げていた。
どくりと、流れていくのを感じる。
相打ちした時にやられたのだろう。
痛いところが多すぎてもうどこが痛いのかわからない。
瞼が、重たい。
歓声の声は聞こえない。
今は、救助活動に勤しんでいる頃だろう。
「いずく、」
出久は、生きているだろうか。
怪我を、しててもいい。
生きてさえ、いてくれれば。
それで、それだけでいい。
「ごほ、っ、は、」
内臓がやられている。
当たり前か。
満足に呼吸ができない。
穴の空いた袋に懸命に空気をため込もうとしているかのように呼吸をしても、当たり前に逃げていく酸素が、私を蝕む。
苦し紛れに見上げた青い空。
目を細める眩しい輝き。
取り戻せた。取り戻せたんだ。
ほ、と息をつくこともままならず、酷使し過ぎた心臓が派手に暴れた。
「づ、あ……」
プレゼント。
最後の、プレゼント、渡せないなあ。
何個目になったのだろう。
私が五歳の時から送り続けたプレゼント。
単純な計算が出来ない。
駄目だ、頭が回らない。
段々とゆっくりになる鼓動と呼吸が、眠気を誘う。
でも、まだ死ねない。
出久が、出久が生きていることを確認しないと。
お願い、誰か。
教えて下さい。
誕生日おめでとうと、言えないことが酷く残念だった。
