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ここはくものうえです。
くものうえにいるのです。
ふかふかで、まっしろなくも。
よこには、みどりいろのかみのかわいいおとこのこと、くりーむいろのかみのけのおとこのこがいます。
わたしたちは、なにをさがしているのかわかりませんが、なにかをさがさなければと、それだけのおもいであたりをきょろきょろとみわたしています。
さがさないと。みつけないと。ただ、それだけのおもいで。
「あ! おれのかあさんだ!」
え、とこえがでました。
とつぜんさけんだかとおもうとそんなことをいうからしかたありません。
どこだろう、とみどりいろのこと、くりーむいろのこがゆびさすほうこうをみて、みどりいろのことふたりでこえをあげました。
「あ!! 」
わたしのおかあさんだ。
ぼくのおかあさんがいる。
かぶったこえに、めをあわせてわらいあいました。
「おまえらのかあちゃんどこだよ。 なあ、……おれ、おまえとかあちゃんおなじきがする」
「ええ! わたしもそうおもってた!!」
「えー! そうなの!? すごーい!!」
みどりいろのこがおかあさん、とゆびをさしたひととわたしのおかあさんはとてもちかいところにいました。
おとうとか、あにかはわからないけれどきょうだいになるくりーむいろのこ。これからがたのしみで、ふたりとつないだてとてはとてもあったかいのです。
ぱ、と画面が切り替わって、漸く気が付いた。
これは夢か、と。
今よりも何歳か若い彼女たちから少しだけ離れたところで、ぼんやりとその様子を眺めた。
「よろしくね。名前ちゃん、勝己くん。出久っていうのよ」
「名前、勝己。出久くんだよ」
あー、と手を伸ばした私の先に出久がいた。
ちっさくて、まるくて、柔らかい。
私はどうやら他の人には見えないようなので、近寄ってそっと出久に触った。
その瞬間。
[その子は二十二歳になる誕生日に死ぬでしょう]
[凶悪な敵に殺されるでしょう]
[その子はヒーローとして立派に戦います]
[市民を守ります]
[平和を守ります]
[ヒーローとしての役割を果たします]
なんだ、それ。
どういうことだ。
柔く温かなこの子が?
突然現れた十二人の魔女が、次々に出久を呪う。
どこからか現れたのか、十三人の魔女がぐるりと手を繋いで回る。そして、やがて止まると一人の魔女が私を見た。
[しかし、強い想いがあれば変わるでしょう]
「っは、……は、」
飛び起きて、まず気づいたのは、真夏でも無いのに汗でパジャマを濡らす自分だった。
私と勝己を挟んで寝る両親の姿に、起こさなくてよかったと、冷え始めた汗に奪われる体温の中で、心のどこが一部が安堵した。
ぶるりと震える心臓は壊れそうなほどに震えるのに、今にも止まりそうだった。
暗闇に目が慣れ、少しだけ周りの状況が判断できるようになると、頭と首を動かして、思い出せない跨った日付を確かめようとする。
今、何日だろうか。
七月十五日が怖い。
柔らかくて、温かい、出久の手の感触を己のそれから拭い去ることが出来ずにまた、爆音を鳴らして走り回る心臓が、おかしなことに止まりそうだと私に訴えかけるのだ。
夢だと、笑い飛ばせばいいのに。
ぐるぐると際限なく回る魔女たちの声が、それを許してくれない。
強い想いがあれば変わる。
変わるのか。変えられるのか。
ぎゅっと勝己の手を握った。
柔らかい。温かい。
涙が出た。少し我慢するだけで、簡単に止まるような涙が。
私は、緑谷出久が二十二歳の誕生日に死ぬことを知りました。
くものうえにいるのです。
ふかふかで、まっしろなくも。
よこには、みどりいろのかみのかわいいおとこのこと、くりーむいろのかみのけのおとこのこがいます。
わたしたちは、なにをさがしているのかわかりませんが、なにかをさがさなければと、それだけのおもいであたりをきょろきょろとみわたしています。
さがさないと。みつけないと。ただ、それだけのおもいで。
「あ! おれのかあさんだ!」
え、とこえがでました。
とつぜんさけんだかとおもうとそんなことをいうからしかたありません。
どこだろう、とみどりいろのこと、くりーむいろのこがゆびさすほうこうをみて、みどりいろのことふたりでこえをあげました。
「あ!! 」
わたしのおかあさんだ。
ぼくのおかあさんがいる。
かぶったこえに、めをあわせてわらいあいました。
「おまえらのかあちゃんどこだよ。 なあ、……おれ、おまえとかあちゃんおなじきがする」
「ええ! わたしもそうおもってた!!」
「えー! そうなの!? すごーい!!」
みどりいろのこがおかあさん、とゆびをさしたひととわたしのおかあさんはとてもちかいところにいました。
おとうとか、あにかはわからないけれどきょうだいになるくりーむいろのこ。これからがたのしみで、ふたりとつないだてとてはとてもあったかいのです。
ぱ、と画面が切り替わって、漸く気が付いた。
これは夢か、と。
今よりも何歳か若い彼女たちから少しだけ離れたところで、ぼんやりとその様子を眺めた。
「よろしくね。名前ちゃん、勝己くん。出久っていうのよ」
「名前、勝己。出久くんだよ」
あー、と手を伸ばした私の先に出久がいた。
ちっさくて、まるくて、柔らかい。
私はどうやら他の人には見えないようなので、近寄ってそっと出久に触った。
その瞬間。
[その子は二十二歳になる誕生日に死ぬでしょう]
[凶悪な敵に殺されるでしょう]
[その子はヒーローとして立派に戦います]
[市民を守ります]
[平和を守ります]
[ヒーローとしての役割を果たします]
なんだ、それ。
どういうことだ。
柔く温かなこの子が?
突然現れた十二人の魔女が、次々に出久を呪う。
どこからか現れたのか、十三人の魔女がぐるりと手を繋いで回る。そして、やがて止まると一人の魔女が私を見た。
[しかし、強い想いがあれば変わるでしょう]
「っは、……は、」
飛び起きて、まず気づいたのは、真夏でも無いのに汗でパジャマを濡らす自分だった。
私と勝己を挟んで寝る両親の姿に、起こさなくてよかったと、冷え始めた汗に奪われる体温の中で、心のどこが一部が安堵した。
ぶるりと震える心臓は壊れそうなほどに震えるのに、今にも止まりそうだった。
暗闇に目が慣れ、少しだけ周りの状況が判断できるようになると、頭と首を動かして、思い出せない跨った日付を確かめようとする。
今、何日だろうか。
七月十五日が怖い。
柔らかくて、温かい、出久の手の感触を己のそれから拭い去ることが出来ずにまた、爆音を鳴らして走り回る心臓が、おかしなことに止まりそうだと私に訴えかけるのだ。
夢だと、笑い飛ばせばいいのに。
ぐるぐると際限なく回る魔女たちの声が、それを許してくれない。
強い想いがあれば変わる。
変わるのか。変えられるのか。
ぎゅっと勝己の手を握った。
柔らかい。温かい。
涙が出た。少し我慢するだけで、簡単に止まるような涙が。
私は、緑谷出久が二十二歳の誕生日に死ぬことを知りました。
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