呪術
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「虎杖」
「んあ?……あ!?お前また勝手に!」
「飯、作って」
「お前さあ……まあいいけど」
「やった〜、お前の飯美味いからな」
飯を作れと言うくせに、ベッドの上で起き上がって座る俺の太腿に頭を乗せて、腰に抱きついてくる。
膝枕をするのが、晦は好きらしい。二人で部屋にいる時は、大体この体勢。
真っ白な髪に、真っ白な目。真っ白な制服を着るクラスメイトである晦名前。今は普段着だけど。
晦って、黒を意味する漢字らしい。本人は真っ白なのに、名は体を表すってのと噛み合ってなくて、晦という意味を知った時笑ってしまったのだ。
そんな晦は、俺の作る飯が好きらしい。嬉しいことだけど、たまあに、本当にたまにこうやって時間関係なしに、どうやっているのかは知らないけど部屋の鍵を開けて入ってきて、飯をねだることがある。
別にいいけど、こちとら思春期真っ盛りの男子高校生だ。同意なしのあれこれなんてやるつもりはないけれど、好きな子が、それも付き合ってる子が無防備に、安心し切った顔で自分の作るモノを食べるって、本当に本当になんか、なあ。
真っ白な頬にでかい絆創膏と、あちこちに貼ってある絆創膏の痛々しさが任務終わりだということを、聞いてもいないのに教えてくれて、頬に触れた指先が熱くて仕方がない。
突然触られたことに対して、驚くことなく、腹に埋めていた顔を離し晦は首をかしげた。
「虎杖?どうした?」
「んや、……晦が来てくれて嬉しいなあって」
「は、何だそれ」
「っ、え、」
晦に触れていた掌の上に、彼女の手が乗っかってもっと熱くなる。
すり寄ってきた体温。幸せそうに細められた瞳がとろりと溶けて、たまらなくなった。
多分それは、目の前のこの可愛い恋人も同じ。
起き上がって膝の上に乗っかると、晦は何の遠慮もなく体を押し付けて、俺の首に手を回す。
「虎杖、今日、晩御飯いいや。くっつこ」
「ん、」
膝の上に乗っかる晦の腰を抱き寄せて、横に倒れた。絡めた足と、胸元に埋まる顔。くふくふ笑う晦が、顔を上げて首を懸命に伸ばすから上半身を丸めて、唇にキスを落とした。
「ん、もっと」
「晦が可愛すぎる」
上に引き上げる為に腰に回した腕が、柔らかくて温かな熱に触れ合って体温が上がる。いつのまにか上に乗っかる形になっていたのか分からないほど、熱を交わし、晦が首に回した手によってより近くなった距離に、欲が止まらない。
「する?ん、」
「……したい」
「正直でよろしい」
頬にある大きな絆創膏にキスをして、借りパクされた自分のものだった服の裾から忍び込ませた手を、鍛えられた腹の上を行き来させる。すべすべだなあ。
くすぐったそうに身を捩る晦は、下に服を引っ張り露出した鎖骨の下らへんに強く吸い付き笑う。
こういうところが、堪らなくさせる。
「もー、跡つけるなって言ったじゃん。伏黒にすごい目で見られるんだよ」
「いーじゃん。普段見えないとこだし」
「ええー?結構見えるよ、そこ」
「それは自分で気をつけて。ていうか、虎杖も、太腿とかつけるじゃん。ミニスカート履くの好きなのに」
「……ごめん」
「ふふ。嫌じゃないけん、別にいいよ」
再度起き上がり、太腿の上に乗っからせた晦は少しだけ目線が高くて、俺の額に柔らかい唇を触れさせる。
好きにさせたまま、緩い服の下、肌の上を直接撫でると耳元で楽しそうに笑う声が可愛くて堪らない。
ぷちりと取ったホック。
首筋に落としたキスが合図。
熱くなっていく空気に、たまらないこの気持ちが目の前の愛しい女に伝わればいいと強く、優しく、柔らかくて美味しそうな身体に噛みついた。
「虎杖、明日任務ある?」
「ねえけど、どした?」
「この前さ、私の任務入って遊びに行けなかったから、明日どうかなって思ったんだけど」
「まじ!?行く!」
凄い勢いで返事をした俺に、きょとりと目を丸めた後、晦は目を細めて口角を上げる。
俺の好きな笑い方だ。
胸が苦しくなる。
好きだなあ、可愛いなあ。多分、顔に出ているのだと思う。とろりと溶ける彼女の瞳の奥が、同じ色を滲ませているから。
何も着ていないまま抱き合うのが好きで、布団の中で分け合う体温がこの上なく心地よい。
頬を包む柔い掌が、優しい。
「もー、虎杖はかわいいなあ」
「嬉しいけど、絶対晦のが可愛い!」
ガタイのいい俺を晦は可愛い可愛いと言う。
悪い気はしない。
かっこいいも、好きも、全部そこに含まれているのを知っているから。
少しだけ汗ばんでいる晦の額にキスをして、長い睫毛に覆われている瞳の奥が、柔く色づくのを見届けると彼女の柔らかい唇に噛みついた。
「あん時さあ、強がったけど本当はめっちゃ寂しかった」
「知ってる、ごめんな。明日は、絶対絶対、邪魔させん。朝から夜までずっと虎杖と一緒」
「へへ、嬉しい」
「私も、虎杖と一緒にいれて嬉しい」
じゃあ、明日は早く起きて、一緒にお風呂入って準備しないとね。
鎖骨の下、晦が噛み付いた。
いつどうなるか分からない世界で、死刑が決まっているこの身で、大切な人がたくさんできた。
嘲笑うこの身体の中に巣食う呪いごと、ちゃんと死んでみせる。
確かめるようになぞる鎖骨の下。
首筋に寄せた晦の表情は見えないけれど、どんな顔をしているのか分からなくてもいいと思った。
死にゆく身で、それでも誰にも渡したくないと掴んだこの女を、死んでもなお想い続けると誓った。
「晦、好きだよ」
首筋が冷たいのは、彼女からの愛だと俺は知っている。
