松川一静の色気の始まりはえっちなお姉さんだといい
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注意:高校生と小学生、お姉ちゃんの恋人と。
歳の離れた姉がよく家に連れてくる人がいる。
今日も、ほら。
玄関を開ければ、この家では少しだけ浮く靴が一組、端に置いてあった。
また、来てる。
ランドセルの肩の部分をぎゅう、と握り高鳴る心臓を無視した。
震える指先を叱咤して、リビングの扉を開けるためにドアノブへ手を伸ばした。が、一静の手がドアノブにかかる前にガチャリと扉が開き、「わ、」姉が最近家に連れてくる人、と目が合う。
今から2階に行こうとしていたのか、びっくりした心臓がばくばくと少しだけ動きを早める。
「一静くんだ、おかえんなさい」
「一静おかえり。母さんがおやつ用意してくれてたよ。あと、名前が一静にって」
「抹茶食べれる?」
「うん」
「期間限定でね、抹茶のお菓子あったから。良かったら食べて。学校からお疲れ様」
頭をワシワシ撫でられながら、初めて会った時のことを一静は思い出した。
お姉ちゃんよりも小さくて、可愛い。
けれど、大きな口を開けて笑うし意外にも力が強い。遠慮がなくて、初対面だというのに一静は名前に抱き上げられて頬を撫でくりまわされたことをしっかり覚えている。
「お手手出して?」「うん」「ちっちゃい手…かわいい…」「いいから、早くあげなよ」「ごめんごめん」一静の両手から少し溢れる大きさのお菓子が、そっと置かれた。
「ありがとう」
「どういたしまして」
可愛いね、と頬を突かれる。
好きなようにさせとくか、と一静がもらったお菓子を落とさないように大切にしているのをみて名前が笑う。
「小学生ってこんな落ち着いてたっけ?」
「あんた見てたら嫌でも落ち着くんじゃない?」
「失礼すぎる」
「いいから、行くよ」
「はあい」
よいしょ、と立ち上がった名前は、当然だが一静よりも身長が高い。
リビングに行って、母親が用意してくれているというお菓子でも食べに行こうかと足を踏み出した一静の名前を、名前が呼んだ。
「一静くん」
「?」
「またね」
ひらひら揺れる手のひら、指先。
艶々の唇が、またねとゆっくり動く。
二階に行ってしまった二人。もう、そこに名前はいないというのに、一静は床に縫い付けられたように動けなかった。
まただ。また、行かないといけない。
貰ったお菓子の袋の端を握りしめ、一静はランドセルを置くために今度こそリビングのへと向かった。
この後のことを想像して、高ぶる自分がいることを自覚しながら。
あの時は、偶然だった。
決してわざとなんかではない。
だって、一静はまだ小学一年生だ。
「っ、あ……」
聞こえる声も、音も、理解なんてできなかった。出来なかったけれど、一静は気になる声の正体へ、音の正体へ近付いてしまった。
だって、好奇心旺盛な小学生だったから。
そろりと姉の部屋へと近づき、少しだけ、扉が開いていることに気がついた。
なんとなく息をひそめ、そうっと扉の隙間におでこと目を押し当てる。
「ぁ、っ」
「しぃー、静かにしないと。一静くんにバレちゃうよ」
「ぅ゛あ、〜〜」
「じょーずだね」
一静くん。
名前を呼ばれ、ぎくりと体が跳ねた。
口腔内に溜まった唾液を飲み込み、息を殺してそっと覗く。
服が乱れたお姉ちゃんと、ボタンひとつ開いてない名前ちゃんがベットの上にいた。
足を伸ばして座る名前を跨ぐように膝立ちになっている一静の姉。
よしよしと宥めるように剥き出しになった背中をさすりながら首元に舌を這わす名前のその、真っ赤な色に一静は頭がくらくらした。
ナニをしているのか、幼い一静には分からない。
けれど、ドキドキと心臓が高鳴り血の巡りが良くなっていくのを確かに感じた。
「かわいいね」
ふふ、と艶々の唇がまあるく歪む。
先ほど聞いたばかりの、自分に宛てた言葉と同じはずなのに、何もかもが違う。
「かわいい、私の女の子」
一静の姉の耳元で、名前の重たくて甘い声がふわふわと浮かぶ。
「声、我慢できないんだったらちゅーしようよ」
「する、したいっ」
「ん、おいで」
背中を撫でていた手が、するすると下に落ちていく。
一静は幼かったけれど、キスというものは男と女でするものだと知っていた。同性愛というものは、まだ知らなかったのだ。
だから、姉と名前が唇をくっつけている様子は一静に大きな衝撃を与えた。
ずくずくと、下腹部が痛む。
短いスカートを巻き込みながら、名前の手が姉の臀部を優しく撫でる。見たことのある下着だったが、もう、一静には何が何だかわからなくなっていた。
視界がふわふわ滲む。経験したことのない、身体を蝕む熱に涙がじわじわ溜まるせいで視界が滲んでいく。
お熱、出たのかな。
頬に手をやり、一静ははふはふ熱い息をこぼす。
「名前っ」
「ごめんね、意地悪するつもりはないんだよ」
姉の、聞いたことのない声。
姉の、剥き出しになった太腿を辿る白い手のひら。指先。
「あは、」
気が付けば、少しだけ身を乗り出していた。
甘い匂い。
知らない世界。
「悪い子だ」
目が合ったのは、きっと勘違いじゃない。
弾かれたように、一静はその場から逃げ出した。
感じたことのない下腹部の痛みは、名前の顔を思い出すたびに疼いてどうしようもなかった。
「あ、一静くん入ってきて良いよ」
「……」
「一回寝たら全然起きないし、って一静くんのが知ってるか」
「……知らない、あんまり、会わないし」
「そうなの?まあ、高校生と小学生だしね」
よし、とベットの上で眠る一静の姉の前髪を優しく優しく整えた名前は立ち上がり、「お部屋、行こっか?」と微笑む。
艶々の唇が、まあるく歪む。
首元に、赤い色。
それらはすべて、自分の姉が付けたものだと一静は知っている。
「……ん」
「可愛いね、抱っこしよっか?」
「いい」
「そー?」
やっぱり、自分に対する可愛いと姉に対するかわいいは全然違う。
それがなんだか、悔しかった。
がちゃん、と開けた部屋。
次いで、バタンと閉まる扉。
「一静くん」とろりと甘い声が上から降ってくる。
「今日は、何をして欲しい?」
しゃがみ込んで、名前は一静と同じ目線になった。
「キス、上手になった?」
一静の前で、名前はちゅーとは言わない。
「……確かめる?」
名前の首元の赤色に伸ばした指先で、一静はかり、と引っ掻いた。
艶々の唇が、まあるく歪む。
「かわいいね」
この時だけ、一静と一静の姉に対するかわいいは重なる。
それを分かっていて、一静は引っ掻く。
名前の首元に咲く、赤色を。
────
一静と名前の関係は、長らく続いていた。
ぱったりと家に来なくなった時、それとなく姉に聞けば大学が違うから時間が合わないのだと教えてくれ、なるほどそうなのかとぼんやりした大学生の事情を知ることとなった。
たとえ家に名前が来たとしても、彼女と会うことはなかった。ただ、玄関に置かれてある靴にどっ、と身体が反応し、いつのまにか無くなっている靴に歯噛みする日々が続いた。
今日も、会えないのだろうか。
家にはいるのに、同じ屋根の下にいるのに、会えないなんて耐えられない。
どうにかして会えないものだろうかと頭を悩ませながら重たい鞄を背負い直し、帰路に着いた。
時だった。
「あれ?一静くんだ」
懐かしい、声。
ぱ、っと顔を上げれば姉はおらず一人だけの名前がそこにいた。
高校生の時よりも大人びていて、耳にかけられた髪がさらさらと揺れる。初めて見た私服は、大人のお姉さんという印象を抱き無意識に嚥下した欲が腹の中で暴れる。
首元の開いたトップスのおかげで首筋が良く見える。
白い鎖骨が肌を押し上げていて、窪んでいる溝を美味しそうだと思った。
「……名前、さん」
「大きくなったね。誰かわかんなかったよ」
「俺は、名前さん見かけたらすぐ分かると思います」
「ふふ、私の方が先に一静くんに気がついたのに?」
「はい」
合わない間に一静は名前の身長を追い越していた。
「名前さん」
「ん?」
あの時は、化粧してたのかな。
朧げな記憶を呼び起こそうとしてもあまりうまくはいかなかったけれど、ただいつもうまそうだなと思っていた柔らかな唇に鮮やかな色が乗っかりうまそう、ではなく食いたいという欲に塗り替えられる。
思わず伸ばした指先は、なんなく名前の頬にたどり着く。
拒まれることのない接触に心が浮き立ち、もっと、と腹の底から湧き立つ欲が口渇感を一静に与えた。
頬から耳の裏にまでかかる一静の手のひら、指先に名前は一静の目を見つめながら、すりと擦り寄る。手のひらに柔らかな唇が当たり、ぱちんと理性を振り切った熱に魘されたまま、一静さ会えなかった時間を示す身長差を埋めるために背中を丸めた。
ふ、と名前の目が弛む。
軽く開けられた唇に、誘われるがまま重ねた。
「……俺、キス上手になりましたよ」
焦点がブレるほどの距離で、相手の吐息が唇にかかるほどの距離で、一静は下腹部にあつまる熱の意味を冷静に受け止めていた。
あの時はわからなかったことが、今では全て理解できる。
頬を包んでいた手のひらを首筋へ、首筋から鎖骨へ移し、うまそうなその窪みを指の腹でなぞる。
名前の赤くなった目尻にふ、と熱がこぼれ落ちてもう片方の手で名前の唇を撫でる。
「確かめて、くれないんですか?」
愉悦に浸る熱は、口腔内に招かれた舌ごと温度を増す。
「いいよ。いっせえくん、おいで?」
ぱたん、と閉まった扉の向こう。
あの日とは違うのは、一静の姉を乗っけていた名前を一静が膝に乗せたことだけ。
「じょーずだね。……かわいいね、一静くん」
姉に向けていたかわいいと今自分に向けられるかわいいが重なり、一静は口を弛ませる。
あの時はつくり方がわからなくて引っ掻くだけだった首筋の赤色を、今ではつくることができる。
名前の首筋に寄せた唇、咲いた赤に一静はうっとりと笑った。
