『★恋のきっかけ★《海堂ver》+α』

その頃、越前と菊丸はと言うとーーー
互いに桃城と海堂の様子をこっそり観察していた。

「「 まーったく、世話の掛かる」」

「先輩スね。」
「後輩だにゃ~。」

「「 ん?? 」」

互いに溜め息と共に呟いた言葉に、それぞれの姿を確認し、顔を見合わせた。

「菊丸先輩、何してんスか?」

「そう言う、おチビこそ。何してんだよ?」

「俺は桃先輩の応援スよ。」

「俺だって、海堂の応援だにゃ。」

「「 ん?? 」」

またまたお互いに顔を見合わせ、まじまじと見詰め合う。

「もしかして…告白とか?」

「そういう、先輩の方も…告白っスか?」

「「………………。」」

ジーっと互いと、目の前の2年コンビを見比べ、どちらともなく『ニヤ~ッ』と笑い合った。

『『…くっ付く方に、1000円っっ!!』』

「「………プッ。」」

「それじゃ、賭けになんないっスよ。」

「おチビもにゃ~。」

ケラケラッと笑い2人は、これからの展開を楽しんでいた。
大切な2人の仲間には、幸せになって貰いたいから…。
っと、考えていた2人の後ろから、どよ~んとした空気が近付いてくる。

『越前…。』

『英二…。』

「「 へ? 」」

重苦しい雰囲気と共に自分達の名前を呼ぶ、これまた冷気でもしそうな静かな物言い。
恐る恐る後ろを振り向くと…。
そこには、自分達を見下ろす2人の姿……。

「…ぶっ…部長…;」

「…お…大石…;」

顔はいつも通りなのだが、目が笑っていない2人に、越前と菊丸は後ろに下がった。

「さっきのは…どう言う事だ…。ちゃんと説明して貰おうか。」

「そうだな。英二…素直に言えば…怒らないからな…。さぁ、どう言う事なんだ?」

2人は、下がった分だけ詰め寄る部長・副部長コンビに冷や汗が流れ、思わず目の前の人物にしがみつく。

「「さっきの事って…? 何…;」」

そんな2人を引き剥がし、片方ずつ自分の側に座らすと、上から見下ろして同時に言い放つ。

「お前は、海堂の事が好きなのかっ!!」

「英二、桃の事が好きだったのかっ!!」

その言葉に呆気に取れ、思わず自分の想い人を見上げてしまった。
どうやら、さっきの会話を聞いて誤解したらしい。
そんな彼氏ズに、越前と菊丸は互いにぷっと笑ってしまった。
みんな相手を…誰にも渡したくないって気持ちは同じなのだ。

「…部長もまだまだだね。俺が好きなのは…。」

「…バカだな~大石☆ そんな事も分かんにゃいの~っ。俺が好きなのは…。」

2人同時に立ち上がると、越前は、手塚に。
菊丸は大石に。
思いっきり抱き付き、その耳元に唇を寄せるとそっと囁いた。

『 君だけだよ…。』

その言葉があの2人にも、早く言い合える様になればいいな…なんて思いながら、相手の温もりに、にっこりと笑う越前と菊丸であった。
恋は1人でするもんじゃない…相手が居てこそなのだ…。

END
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