殺すのが愛
第3話
討伐ギルドの依頼はその名の通り、何者かの討伐が主だ。対象は盗賊や山賊などの犯罪集団だったりする。とはいっても、そんなに美味しい依頼が年中、入ってくるわけがない。依頼がない時には、大体、他のギルドの応援が多いのだ。
今日もドミナスは手元の巻き紙に目線を落としながら、依頼の説明をした。
「今回は魔術師ギルドからの依頼で、薬草の材料の調達だね」
昨晩、怪我人が出たと大騒ぎしていたから、この街の薬草の在庫が少ないのだろう。内容は地味なものの、緊急のため、依頼料ははずむはずだ。わたしとしても愛用の双剣が血で汚れないのは嬉しい。
しかし、相棒のロスはドミナスから巻き紙を受け取ると、まだ何もしていないのに疲れたようなため息を吐き出した。仕草が日に日におじさんっぽくなってきている。気のせいではないはずだ。
「ロス、何か不満でも?」
ドミナスがたずねると、「いや」と太い首を横に振る。
嘘だ。ロスの不満は顔に出ている。森に入り、せこせこ採集。薬草の材料の調達などやりたくはないのだ。剣を振るえない依頼にはいつもしぶしぶといった感じで受ける。あとは「メルに任せる」と面倒なことはわたしに押しつけるに違いない。
「まあ、メーベルがいれば大丈夫か」
ドミナスもそんなことを言う。悪の根元の顔を見やると、腕を組んでうたた寝していやがった。腹が立って、剣の持ち手の部分で頭を殴ってやる。
「いってえな!」
こんな野郎を殺せない自分に腹が立つ。ちゃんと依頼をこなして、明日こそはロスを亡き者にしてみせる。ついにはこのギルドから出てやる。それで大好きな人に出会い、戦いとは無縁の普通な家庭を作るのだ。
討伐ギルドの依頼はその名の通り、何者かの討伐が主だ。対象は盗賊や山賊などの犯罪集団だったりする。とはいっても、そんなに美味しい依頼が年中、入ってくるわけがない。依頼がない時には、大体、他のギルドの応援が多いのだ。
今日もドミナスは手元の巻き紙に目線を落としながら、依頼の説明をした。
「今回は魔術師ギルドからの依頼で、薬草の材料の調達だね」
昨晩、怪我人が出たと大騒ぎしていたから、この街の薬草の在庫が少ないのだろう。内容は地味なものの、緊急のため、依頼料ははずむはずだ。わたしとしても愛用の双剣が血で汚れないのは嬉しい。
しかし、相棒のロスはドミナスから巻き紙を受け取ると、まだ何もしていないのに疲れたようなため息を吐き出した。仕草が日に日におじさんっぽくなってきている。気のせいではないはずだ。
「ロス、何か不満でも?」
ドミナスがたずねると、「いや」と太い首を横に振る。
嘘だ。ロスの不満は顔に出ている。森に入り、せこせこ採集。薬草の材料の調達などやりたくはないのだ。剣を振るえない依頼にはいつもしぶしぶといった感じで受ける。あとは「メルに任せる」と面倒なことはわたしに押しつけるに違いない。
「まあ、メーベルがいれば大丈夫か」
ドミナスもそんなことを言う。悪の根元の顔を見やると、腕を組んでうたた寝していやがった。腹が立って、剣の持ち手の部分で頭を殴ってやる。
「いってえな!」
こんな野郎を殺せない自分に腹が立つ。ちゃんと依頼をこなして、明日こそはロスを亡き者にしてみせる。ついにはこのギルドから出てやる。それで大好きな人に出会い、戦いとは無縁の普通な家庭を作るのだ。