白馬と姫(51~100)
第72話『本とわんこ』
図書館は噴水広場の近くにあった。太い柱の間にある階段を上がっていくと、開かれた図書館の入り口をのぞむことができる。
館内の壁という壁には棚があって、棚という棚にはたっぷりの本が収まっていた。おそらくここにある本は、一生かかっても読みきれないだろうな。
あまりにも本しかなくて、「本ばっかり」と思わずつぶやいてしまってから、今更ながらサディアスの存在を意識した。「当たり前だろうが」と呆れられると思ったら違った。
「ああ」
「え?」
賛同されるとかはじめてなんですけど。サディアスの横顔をのぞきこんで見ると、無表情なのに瞳だけが輝いているように思える。さまようように浮いた手は、本を読みたくてウズウズしているのかもしれない。本当に本が好きなんだ。
「どけ」
サディアスの手がわたしの顔を押しのける。
「ちょっと、どこ行くのよ」
「決まっているだろ、過去の新聞を調べる。とにかく、この街でレーコの事件がどう扱われたのか。すべてはそこからだ」
そうか。だから、図書館に来たんだ。意外と真面目だ。サディアスは本が読みたくて仕方ないはずなのに、レーコさん探しを優先している。
「速攻で終わらせる。そして、読む」
サディアスは不穏な言葉を残して、棚に突進する勢いで歩いていく(早歩きってこと)。文字音痴のわたしは置いてきぼりにされたので、ちょっと棚を見て回ることにした。
文字がわからなくても楽しめそうな絵本があればいいのにと思っていたら、裏表紙が薄い本を見つけた。気になった本は引き抜いて、表紙をめくってみる。でも、あんまりパッとしない。次を探して指をさまよわせた。
「これ」
4冊目を手にとったとき、可愛らしい挿し絵だと思った。女の子が真ん中にいて、わんこが寄り添うようにしている。なんか、このわんこは赤茶けた毛で目が大きい。あのわんこにそっくりだ。
一目で気に入ってしまって、わたしはぱらぱらとページをめくった。文字音痴だから挿し絵で見るしかないのだけど、内容を勝手に解釈してみる。
わんこはひとりぼっちだった。いつも暗い小屋のなかでさみしくごはんを食べていた。でも、女の子に出会って、明るい世界(ろうそくの明かりが描かれている)を見た。明るい世界に包まれたふたりは、また歩き出して終わる。そんな内容。
図書館は噴水広場の近くにあった。太い柱の間にある階段を上がっていくと、開かれた図書館の入り口をのぞむことができる。
館内の壁という壁には棚があって、棚という棚にはたっぷりの本が収まっていた。おそらくここにある本は、一生かかっても読みきれないだろうな。
あまりにも本しかなくて、「本ばっかり」と思わずつぶやいてしまってから、今更ながらサディアスの存在を意識した。「当たり前だろうが」と呆れられると思ったら違った。
「ああ」
「え?」
賛同されるとかはじめてなんですけど。サディアスの横顔をのぞきこんで見ると、無表情なのに瞳だけが輝いているように思える。さまようように浮いた手は、本を読みたくてウズウズしているのかもしれない。本当に本が好きなんだ。
「どけ」
サディアスの手がわたしの顔を押しのける。
「ちょっと、どこ行くのよ」
「決まっているだろ、過去の新聞を調べる。とにかく、この街でレーコの事件がどう扱われたのか。すべてはそこからだ」
そうか。だから、図書館に来たんだ。意外と真面目だ。サディアスは本が読みたくて仕方ないはずなのに、レーコさん探しを優先している。
「速攻で終わらせる。そして、読む」
サディアスは不穏な言葉を残して、棚に突進する勢いで歩いていく(早歩きってこと)。文字音痴のわたしは置いてきぼりにされたので、ちょっと棚を見て回ることにした。
文字がわからなくても楽しめそうな絵本があればいいのにと思っていたら、裏表紙が薄い本を見つけた。気になった本は引き抜いて、表紙をめくってみる。でも、あんまりパッとしない。次を探して指をさまよわせた。
「これ」
4冊目を手にとったとき、可愛らしい挿し絵だと思った。女の子が真ん中にいて、わんこが寄り添うようにしている。なんか、このわんこは赤茶けた毛で目が大きい。あのわんこにそっくりだ。
一目で気に入ってしまって、わたしはぱらぱらとページをめくった。文字音痴だから挿し絵で見るしかないのだけど、内容を勝手に解釈してみる。
わんこはひとりぼっちだった。いつも暗い小屋のなかでさみしくごはんを食べていた。でも、女の子に出会って、明るい世界(ろうそくの明かりが描かれている)を見た。明るい世界に包まれたふたりは、また歩き出して終わる。そんな内容。