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うつくしい人※

ーー何処かの古めかしい屋敷の一室に置かれたメモーー


〈材料〉

薔薇の花弁 150g
砂糖    100g
新鮮な人間の血液(若い女の物が好ましい) 100cc
人間の骨(若い女の物が好ましい)  一欠片


〈作り方〉

1 薔薇の花弁をざるに入れていねいに水で洗う

2 ボウルに水気を取った薔薇の花弁と粉末に砕いた人間の骨を入れよく揉む

3 鍋に2の花弁と砂糖、血液を入れ、弱火でじっくりと煮込む

4 水分が飛んできて、好みの固さになったら火を止めて冷ます(旦那様は少しドロッとしたものを好みます)


〈メモ〉

調理に使う血液は1時間以内に採集した採れたての物が好ましいです。
また、血液の主が恐怖を感じれば感じるほど採れる血は甘く若返り効果のあるものになるとされていますので、なるべく恐怖を与えながら血液を採集します。
血液の採集は旦那様直々にされます。旦那様は女に恐怖を与る事を楽しみにされていますので、なるべく殺さないように旦那様の屋敷まで女を運び込み、週に一度旦那様が屋敷に帰ってくる日まで美しく健康な状態を保っておいてください。
死体の処理、ジャム作りは我々の仕事です。旦那様がマンションにお帰りになった後で、2組に分かれてジャム作りと死体の処理を行います。
旦那様は毎朝紅茶にジャムを入れておられます。朝食を作る通いのメイドは決してジャムをマンションに持って行くのを忘れぬように。忘れた場合はあの女達と同じようになります。

以上の事は他言無用です。もし守れなかった場合は、命はないものと思ってください。





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「樺地、お前はこのジャム食わねえのか?」
「……遠慮しておきます。跡部さんにお仕え出来たらそれでいいので……」
「折角美しい若い姿のままでいられるのにな。……お前も随分老けたもんだ、1歳しか歳変わらないのにな」
「自分は……歳を取っても気にならないので……」
「そうか。俺は、若の前ではいつまでも美しい姿の跡部景吾でいたいからな……」
そう言って跡部が愛おしそうに眺めるスマホの画面には、幼い日吉が今と変わらぬ姿の跡部と共に写った写真が納められていた。
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