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中編

「跡部さん、俺と試合してください」
跡部さんの屋敷にはテニスコートがある。設備も何もかもが上等なものだ。彼とは恋人同士になって久しいが、跡部さんの屋敷を訪れる度に俺は跡部さんに勝負を挑んでいる。……それを跡部さんが毎回受けてくれるかどうかは別として。
「アーン、先週も試合してやったろう」
もちろん俺様が勝ったがな、とニヤニヤとしながら言う跡部さんの表情に自分の眉間に皺が刻まれていく。余裕のあるその顔に俺の中の下剋上精神がふつふつと湧き上がるのを感じた。
「……今日こそあんたを打ち負かしますから。だから試合してください」
「……ほう、いいぜ。試合してやるよ」
そう言ってコートへと歩を進める跡部さんの背中を追いかけながらラケットのグリップを握り直した。


「なあ日吉、折角だ。ルールを設けないか?」
「ルールですか?」
「ああ。負けた方が勝った方の言うことをなんでも聞くってやつだ」
「はぁ?なんなんですか、それ」
「まあいいじゃねーの、お前が勝つんだろう?」
「ええ、もちろん俺が勝ちます」
「ならこんな提案屁でもねえよな?」
ベースラインに立つ跡部さんが唐突な提案をしてくる。どう考えても挑発な上にもし俺が負けたらただでは済まないだろうが、元来の負けず嫌いによりとてもじゃないが断るなんて出来なかった。
「……いいですよ。あんたを打ち負かして俺の言うこと聞かせてやりますから。下剋上だ!」



ーーー



「今回も俺様の勝ちだな」
俺を見下す跡部さんは薄らと汗をかいてはいるものの随分と余裕そうだ。俺はというと汗だくでコートに座り込み、荒い息を整えるので精一杯である。負けた。今回もまた負けた。悔しいが、跡部さんを打ち負かすにはまだまだ実力不足のようだ。悔しさに思わず跡部さんを睨みつけていると、苦笑しながら俺に手を伸ばしてきた。
「だがまあ、危ねぇと思った所もあったぞ。油断してたら1点くらいは取られてたかも知れねえな」
なんともフォローになっていない言葉を投げかけてくる跡部さんの手を払い、自力で立ち上がる。不機嫌な俺の様子を跡部さんは可笑しそうに笑っていた。
「日吉、約束忘れてねえよな?」
「……負けた方が勝った方の言うことなんでも聞くってやつでしょう?俺の可能な範囲でなら聞きますよ。……約束ですから」
「殊勝な心がけだな」
そう言って至極楽しそうな様子で跡部さんの口から紡がれた言葉は、俺の予想を遥かに超えたものだった。
「じゃあメイド服を着てもらおうか」
「……は?」



ーーー



跡部さんから手渡されたものはメイド服で、しかも屋敷の使用人の使っているものよりもよっぽど丈が短いものだった。どうしてこんなものを?しかもよりによってなんでこんなに丈が短いんだ。変態かよ!「着替えたら呼べよ」とだけ言ってさっさと寝室から出ていった跡部さんに心の中で毒づきながらも自分が着ているシャツに手をかけた。シャツを脱ぐ手は羞恥により震えていてどこか覚束ない。
シャツのボタンをひとつずつ外しながらどうしてこうなったのかを考える。至極簡単な話で、俺が跡部さんに情けなくも負けて、なおかつ跡部さんがどうしようもない変態だったと言うだけの事である。それにしてもまさかメイド服を着ろ、だなんて言い出すとは思わなかったが。しかし約束だと言ってしまった手前、どうしても拒む事は出来なかった。
「なんでこんなものを……」
ブツブツと不満を言いながら着替えていく。見たこともないようなレースの連なったブラウスに襟ぐりや袖に鬱陶しいくらいのフリルがついた黒いワンピースとフワフワのパニエ。その上には真っ白いエプロンを着る。どれもこれも触れたことすらないような代物で四苦八苦しながらなんとか着ていれば、ある事に気がついた。
「パンツ……」
腹立たしいくらい短いミニスカートから俺のボクサーパンツがはみ出ている。実に滑稽な姿である。どうすりゃいいんだ。そう思いながらもとりあえずニーソックスとカチューシャを装着しようと手に取った時、するりと何かが落ちた。
「なんだこれ……って……!」
手に取ったそれは、女物の淡い水色のショーツだった。腰のあたりには大きめのリボンがついており、白と濃い水色のフリルで彩られたそのショーツは確かにボクサーパンツと比べればまだスカートの裾からはみ出て見える事こそ無いだろうが、その布面積の少なさはどう考えても男が着れば大変な事になるのは目に見えている。ありえない。こんなもの着るなんてありえない。これでは俺も変態の仲間入りである。既にミニスカメイド服をしっかりと着込んでいる自分の姿を棚に上げてそんなことを考えるのはどうかとは自分でも思うのだが。しかし、用意されていると言うことは着なければいけないということである。
「おい、日吉。まだ着終わらねえのか?」
「……くそっ」
扉の向こうから跡部さんの声が聞こえる。着なくても良かったのだろうがもはや負けず嫌いな俺の中にはそんな選択肢はなく、毒づきながら用意されたもの全てを着た。


「……お待たせしました」
短すぎるスカートの裾をせめてパンツが見えないようにと精一杯下に引っ張りながら扉の向こうにいる跡部さんに声をかける。直ぐに寝室の扉が開き、ニタニタと厭な笑みを浮かべる跡部さんが入ってきた。
「日吉……」
跡部さんは俺の姿を見るなり目を見開いた。カチューシャをつけた俺の頭のてっぺんから絶対前々から準備していただろうと言いたくなるほどに俺のサイズぴったりのワンピースや短すぎるスカートから覗く筋肉質な男の脚とリボンのついた黒いニーソックス、そして黒いヒールまでじっくりと何往復も俺の姿をくまなく見てくる。その視線の居心地の悪い事といったら。やはり男の女装など滑稽なだけだったか。いくら跡部さんと言えども運動部の無骨な男の女装は流石に射程範囲外であろう。俺も早くこの嫌にスースーするスカートやら歩きにくいことこの上ないヒールとおさらばしたい。なんなら、この忌々しいメイド服を脱ぐことが出来るのであれば他に跡部さんの言う事を聞いてもいい。流石にこんな事で約束事を消費するのは可哀想だしな。そんな事を思っている俺に跡部さんがかけた言葉は予想外のものであった。
「……可愛い」
「……え?」
聞き間違えかと跡部さんの顔を見れば、キラキラとした目で俺を見ていた。頬は大好きなおもちゃを前にした子供のように薄っすらと朱に染まっていて、その言葉が嘘ではない事が分かる。正気か?俺だぞ。俺の女装だぞ。動揺する俺を他所に跡部さんがズンズンと近づいてくる。思わず後ずさりしようとするが、慣れないヒールにより足がもつれてしまう。
「……っ!」
「……っと」
「あ、あの、ありがとうございます、跡部さん」
「……ご主人様」
「へっ?」
「ご主人様、だろう?」
「な……」
倒れこみそうになった俺を受け止めた跡部さんに礼を言えば、予期せぬ言葉が帰って来た。
聴き間違いかと思ったがどうやらこの人は俺に「ご主人様」と呼ばせたいらしい。
「な、へ、変態……!そんな事言うわけ、」
「約束、だろう?」
「はあ!?」
「言う事をなんでも聞く、と言っただろう?それが“1つだけ”なんて一言も言っていないが」
「なっ、ずるいですよ、それ!」
「何とでも言えばいい。それで、どうするんだ?約束を反故にするのか?」
「……くっ」
跡部さんの手のひらの上で踊らされているのが自分でも分かるが、そうやって約束の事を持ち出されると性格上どうしても拒否する事が出来なくて、せめてもの抵抗として跡部さんを睨みつけた。
「う、ご、しゅじん様……ありがとうございます」
「いいだろう。そういや、下着はどうしたんだ?」
「あ、ちょっと!」
「……ほう、ちゃんと履いてんのか。お前も相当な変態だな」
「あ、アンタが用意したんでしょうが……!」
俺を抱きすくめる跡部さんの手がスカートの中に侵入する。俺がショーツを履いているのを確認すると、ショーツからはみ出る尻を両手で揉みだした。
「ひ、ィ!何してるんですか!」
「アーン?エロい尻しやがって。揉んで欲しいんだろう?」
「んなわけあるか!」
「おい、ご主人様への口の聞き方がなってねえぞ」
「ふぐッ!」
言い返す俺の口を乱暴な口付けで塞いだ跡部さんは、抵抗する俺を意にも返さず肉厚の舌で口内をまさぐってくる。上顎に舌を這わせ、歯列をなぞり、舌を絡ませる。いつもより乱暴で全てを暴こうとせんその口付けに抵抗する事も忘れ夢中になってしまう。
「……ん……ふ、ふ……っ!ふゃッ!ど、どこに指、ふ、指入れて……ッ!」
口付けに夢中になっていると俺の尻を揉んでいた跡部さんの手が後孔へと伸び、ショーツ越しにグリグリと指を突っ込んで来た。布ごと指が胎内に入ろうとする感触にゾワゾワと背筋が粟立つ。
「く、あと、跡部さん、それ……ッ」
もう片方の手が俺の性器をショーツ越しに擦る。ショーツに俺の先走りがぐっしょりと染みていくのを感じた?
「う、く……ッ!ゃめ、」
「アーン?やめていいのかよ、ビンビンじゃねーの」
「ひぃッ!」
「こっちも物欲しそうにぎゅうぎゅう締め付けてくるぜ。やっぱりメイド服着て興奮してる変態だな」
つー、と跡部さんの長く美しい指が俺のショーツ越しに浮き出ている性器をなぞる。後孔に突っ込まれた指を知らず締め付けていた事を指摘されて羞恥でどうにかなりそうだ。
「おら、舐めてやるからこれ咥えてろ」
「な、やですよ……ッ」
「アーン?メイドに拒否権があると思ってんのか?」
「ふぅ、っう、」
「出来るな?」
「ぁ、ヒィッ!ひゃいッ、でき、出来ますっ」
「いい子だ」
跡部さんがスカートの裾を持ち上げて俺の口元に持ってくる。咥えるように言われて拒否すればギュウッと睾丸を握られて恐怖心が湧き上がった。大人しくスカートの裾を咥えれば、よしよしと頭を撫でられた。
「ふ、うっく……」
「エロいな」
「あ゛、んんッ!」
跡部さんが俺の足元に跪きじいっとショーツを見る。水色のショーツは俺の先走りにより濃い色に染まっていた。
「おっと、口離したらお仕置きだからな」
「そ、な……ぁっ」
跡部さんがショーツ越しに俺の性器をねっとりと舐める。布越しに跡部さんの舌が俺の性器の上を這い回るそのザリザリとした感触にゾクゾクした。鈴口の辺りを舌先で捏ねられ思わず声が出そうになるが、口を開けてしまえばスカートを離してしまう。そうしたら大変な事になってしまうとふうふうと荒い息を吐きながら耐えるていると、跡部さんがショーツを少しだけ下ろして俺の張り詰めた性器を晒しぱくりと咥えて温かい口内で愛撫された。女装しながら跡部さんにフェラされている倒錯的な光景に目眩がした。
「ぅ、ふぅーッ!ふっく、あぁッ!」
じゅるじゅるとはしたない音を立てて跡部さんがショーツから顔を出した俺の性器を口で愛撫する。竿を舌でべろりと舐めて全体を扱くように顔を上下に動かしながら睾丸をやわく揉みしだく。鈴口を甘噛みされてしまうと、堪えようもなく絶頂を迎えてしまった。
「っく、も、だめッ!〜〜ッ!」
「あぁ、口離しちまったな」
「……っ!」
絶頂と共に呆気なく俺の口から離れた涎まみれのスカートの裾はひらりと俺の哀れな性器を覆い隠した。そのスカートの上から跡部さんが遠慮なくゴシゴシと俺の性器を擦り立てる。
「っく、ひああ"っ!やめ"ッ!ふ、イッた、おれっ!イッたんで……!ほん、ほんとっにっ……!やめ……ッ!」
「アーン?口離したらお仕置だっつったろう?」
「っぎ、はあぁっ!」
跡部さんが俺の最も弱い鈴口を強く擦り続ける。足がガクガクと震えて立つこともままならず思わず座りこもうとするが腰をがっちりと捕まれ座ることも許されない。
「も、ヒッ、やめ……っ!おしっこ……!おしっこでうッ!」
強い刺激に腰がぶるぶると震える。せり上がる排尿感にやめるよう懇願しても跡部さんの手は止まらない。
「もっ、ほんっ、とぉ、にィ……ッぎ、ィ……!」
「出しちまえよ」
耳元で低い声で命令されいっそう跡部さんの手が俺の鈴口を強く刺激したその時、今まで感じたことの無い快楽が背筋を駆け抜けた。身体が弓なりにしなり、目の前に火花が散る。気がつけばだらしなく開いた口からは一筋涎が垂れていて、ぬるいそれが俺の耳を伝った。何が起こったのか理解出来ない俺を他所に驚いたような顔で俺の下半身を見つめる跡部さんが言った。
「……潮吹きか」
「ぁ、は……はぁー……っ、ふぁ……ア、な……に……」
「前々からエロい身体だとは思ってたが、とんだ淫乱メイドじゃねーの。潮まで吹くとはな」
「し、お……?おしっ、こじゃ、はぁ……ないんです、か……?」
「ああ。おら、見てみろ。尿にしちゃあ透明だろう?」
俺の眼前に突きつけられた跡部さんの手のひらはべっちょりと液体に塗れていたが、尿のようなツンとした匂いも色も無かった。どうやらおもらしした訳ではないようだが、それ以上に恥ずかしい事をしてしまったらしい。上手く回らない頭でぼんやりと自分の身に起こったことを整理しようとするが、女装にしろ潮吹きにしろあまりにもイレギュラーな事が多すぎて何一つとしてまとまらない。
俺がぼんやりとしているうちに跡部さんはさっさと俺をベッドに押し倒した。笑えるくらいデカくてふかふかの上等なベッドに沈んだ無抵抗の俺にキスしたり、服の隙間に手を突っ込み胸の飾りをいたずらに摘んだりと好き放題している。
「おい、大丈夫かよ。落ち着いたか?」
小さな喘ぎをこぼしながらも、少しずつ落ち着いてきた俺の髪を梳きながら先程まで俺に無体を働いていたとは思えないような優しい声色で跡部さんが聞いてくる。
「ン……はい……」
「そうか。なあ、これだけで満足出来んのか?日吉」
「満足……」
言いながら跡部さんが俺の後孔に手を伸ばす。ショーツは先程俺が吹いた潮でびちょびちょになっていて、とてもじゃないが使い物にはならなさそうだ。はくはくと物欲しそうに収縮する小さな穴は埋めてくれるものを求めて跡部さんの指に健気に吸い付いた。
「は、あ……っ!あ、あのっ、」
「ん?どうした?」
「あの、最後までしてください……!」
「なら、やる事は分かってるよな?」
跡部さんが俺の上から退き、枕元に移動し俺の鼻先に性器を突きつけてくる。いつも俺を快楽の淵にたたき落とす愛おしいそれにときめきを覚えながら体を起こしうつ伏せになり餌を待ちわびた犬のように跡部さんの性器に食らいつく。
「んぶ……ふ、」
「随分と美味そうにしゃぶるな」
「ふぁ、ぃ……ハ、ご主人様の……おいし、ので……」
さっき跡部さんがしてくれたようにじゅるじゅるとはしたない音を立てて跡部さんの性器をしゃぶる。しょっぱい先走りを塗りたくるように鬼頭に舌を這わせ根元を扱きながら熱いそれを喉の奥まで招き入れぎゅうぎゅうと喉を締めれば口内の性器が大きさを増したのが分かった。
「ンッ、グっ……ふ、」
「……おい、無理するなよ」
口いっぱいに雄臭い匂いが充満する。その匂いに酔いながらいっそう喉奥まで飲み込もうとする俺が心配になったか跡部さんの手が俺の頭に触れ離そうとする。お構い無しにフェラチオし続ければ諦めたのか頭を離そうとするのをやめ俺の髪を掻き混ぜるように撫でた。
「ン"……ぅ、きもち、ですか?」
「ああ。なあ日吉、そろそろいいだろう?」
跡部さんの言葉に大人しく顔を離せば、頭を撫でていた跡部さんの手がするりと俺の頬まで降りてきて、すりすりと頬を撫でた。目が合えばくくっと笑われる。
「随分と物欲しそうな顔してるじゃねーの」
「ン……当たり前、じゃないですか……」
跡部さんの前に膝立ちになってスカートの裾を持ち上げる。先程イッたにも関わらずもう勃起している性器を跡部さんに見せつけて、跡部さんが喜ぶのではないかと思いながらいやらしい言葉を選んで吐く。
「ご主人様、俺にご褒美、くださいよ……」
「……ッああ、くれてやるよ!」
「っあぁあ……っ!」
跡部さんが俺を乱暴に押し倒して俺の中にズンッと性器を埋め込んだ。熱くて硬いそれが俺の中に無遠慮に押し込まれる感覚に堪らず甲高い嬌声を喉から迸らせた。
「んあぁッ!ダメ、ダメですッ!そんないきなりっ!」
「アーン?褒美が欲しかったんだろう?」
「でもっ、そんな、ぁ、激し……ッの、だめぇッ!」
ズンズンと深く激しい抽送にかぶりを振りながら跡部さんの背にしがみつく。汗なのか涙なのか分からない粒がぱらぱらと舞って、真っ白なシーツに染みを作った。
「は、最初の頃は指突っ込まれただけで痛い痛い言ってたのになぁ、」
跡部さんの性器が俺の弱いところを適確に衝く。無遠慮に前立腺を押し潰される度に、目の前にチカチカと火花が散り、耳障りな甲高い嬌声が溢れた。
「今じゃあ俺様のペニスを旨そうに飲み込んでやがる」
跡部さんの右手が俺の腹をスリ、と撫でる。そうして、秘め事のようにごく小さな声で俺の耳元で「分かるか、若。今ここに俺様のペニスが入ってんだぜ?」と言うのだ。その加虐心の混じった色っぽい声と表情に、背中がゾクゾクと粟立つのを感じた。知らず跡部さんのモノをキュンキュンと締め付けていたらしく、「そんなに嬉しいかよ?」とククッと笑われて俺の中にまだ少しだけ残っていたらしい羞恥心でいっそう全身が熱くなった。
「ぅ、ちがッ」
「おいおい、ご主人様に嘘はいけねえな」
「ア、はぁ……!ぎッ!?いだ、いだいぃ……!やめっ、くださ……っ」
跡部さんの手が服の中に入り込み、嘘をつくお仕置きだと言わんばかりに俺の乳首を思いっきり抓った。そうして強く捏ね、千切れるのではないかという程に引っ張られ目に涙が貯まる。
「じゃあなんて言うべきなんだ?」
「う、んへッ、きもひ、きもちぃっ、です!ご主人様のぉ!」
「ご主人様の?」
「んぅっ!ちんぽぉ!ちんぽ気持ちいいですッ!!」
「ふ、最高だな、若」
「あ、はあっ!あは、ん、お゛……ッ!きも、ちいぃっ!ンっ!そこっ!そこすきぃ」
「ここだろう?若、ここの腹側の所が好きだなあ?」
「あ、ははッ、好きっ!だいすきっぃ!」
「いい子だ」
ご褒美だと言わんばかりに跡部さんのピストンが早くなる。俺はもう、跡部さんの動きに翻弄されるほかなくただただ快楽の渦に飲み込まれるばかりだ。
「あ、ぁ……!んは、し、あわせッ!おえ、おれぇ……!」
「ふ、ここはどうだ?」
跡部さんが激しいピストンを緩めてゆっくりと見せつけるように浅く抽送した。跡部さんの性器が引き抜かれれば捲れ上がり、押し入ればゆっくりと拡がる真っ赤に染まったフリル越しの淫卑なそこはもはや、排泄器官としての役割を忘れ跡部さんからもたらされる快楽を喜んで受け入れる性器そのもののようだった。
「アッ!そんっなぁ……はずかしいッ」
「しっかり見とけよッ」
思わず両手で顔を覆うが跡部さんの両手が俺の手を掴みそのままシーツに縫い付けてしまった。そうして激しい抽送を再開されてしまえば、俺は跡部さんの下で酸素を求める魚のようにはくはくと空気を漏らしながら跡部さんの動きに翻弄されるほかないのだ。
「あ、もぉイきそッ!」
「ん、イッちまえよ……!」
「ご、主人さま、あ!け、ごさん……ッ!」
「……どうした?若」
獰猛な腰使いで俺を攻め立てているとは思えない程優しい声色で跡部さんが俺の名前を呼ぶ。跡部さんの両手に指を絡めながら懸命に言葉を紡いだ。
「は、ぁ……あと、え、さッ!んう、す、きぃ……!」
「ハ、わかし……ッ!」
黒いワンピースにびゅくびゅくと白い飛沫をぶちまけながら跡部さんにしがみつく。ぎゅうぎゅうと跡部さんの性器を締め付ける俺に堪らず跡部さんもイッたらしい。熱い飛沫が俺の中に注がれる感覚に全身が震えた。
「はぁーッ、あ、は、ぁ……」
「俺様も愛してるぜ、若……」
そう言って跡部さんが俺に優しくキスする。そのキスに酔いしれながら、いつまでも幸福感を感じていた。
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