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№00:誰かのために
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その日を境に母との間に大きな溝が出来た。ほぼ毎日、喧嘩していた。今思えば、幼少期来なかった第一の反抗期と思春期故の第二の反抗期が同時に来た感じだろう。兎に角、酷かった。汚たない言葉、生意気な態度。可愛く無かった、本当に。けれど、未だに雄英に行く事は諦めていなかったし、ヒーローになりたかったから校則はひとつも破った事はなかった。……ずる休みは何度かしたけれど。
まあまあ擦れてたまま中学三年生になった頃に事件が起きた。当時、ヒーローの特集と同じくらい賑わせていた連続放火犯が私の家に火をつけた。そこそこ大きな家だもの。狙いたくなるよなと思いつつ、火が二階の自室を焼き尽くす様子を、警察に保護されながら見つめ続けていた。ちなみに、私物のヒーローフィギュアが全て炭へと変わってしまったため、未だ捕まっていない犯人を私は許さない。……許しはしない。
「あら、[#dc=2#]ちゃん。ひとりで良く来れたね」
「おばあちゃん、ひさしぶり」
数日後、静岡にある祖母の家を訪ねた。近くの折寺中学校へ転校するためだ。残りの中学生活、世話になる事になった。自然の多さと言ったら埼玉も静岡も大差はあまりない。海があるか無いか、急な坂があるか無いか。要は、空気感はあまり関係はない。案の定——。
「[#dc=1#]さんの個性ってなぁに?」
ほら来た。噂好きな女子。根掘り葉掘り詮索好きで、一度噂を広げられると卒業まできっと消えないだろう。相手にするのも何だか面倒で「無個性」と一言告げて群れから態と孤立する。これでいい、教えたところで何になるんだ。荒んだ心は人間関係という社会にとって必要なパイプをぶち壊していく。
次の日学校へ行くと、
「[#dc=1#]さんって個性ないんだって」「嘘でしょ? 彼みたいね」あっという間に噂は広がり、昨日まで私を軸にあったミステリーサークルならぬヒューマンサークルは消えた。ところで彼とは誰の事だろうか? などと考えながら廊下を歩いていると……。
「……うわっ!」
「うぉっ」
うぉってなんだ、うぉって。我ながら女らしさもない声を上げる。廊下を歩いていただけなのだけど、何もないところでコケた男子の両肩を掴む。
「君、大丈夫か」
「……」
返事はない。ただの人形の様だ。彼が手に持っていた床にぶちまけたノートを集めて拾い、差しだす。無言のままながらそれを受け取ったので生きていると勝手に判断して、
「じゃあね」
と彼の乱れた前髪を指先で直してから、授業をサボるため屋上へと通じる階段へ歩みを再開させる。
結局彼と対面したのはそれが最初で最後だった。後に噂好きの女子たちが言っていた彼と言うのはコケた深い緑色の癖っ毛くんと一致するまでそう時間はかからなかった。