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1〈イレギュラーな私〉
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1〈イレギュラーな私〉
保護観察される理由は惣治郎さんに聞いた、前に傷害事件を起こしたんだとか。けれど、私が見るに、彼はやっていないと思う。ただ、マエがあるだけでも生きづらいと知っていてやるバカではないと、直感で思ったのだ。もしかしたら、誰かを守るためだったかもしれない。
それから、イゴールが言っていた更生に必要な人間は彼だと確信した。ペルソナ使いの素質や境遇など揃っているのだから……。
ペルソナが発現するのは居場所がない人、その人が反逆の旗を持つことでもう一人の自分が具現化する、と思う。
「おい、馨。ちょっと皿洗いしてくれねぇか。俺はこいつを屋根裏部屋に案内するからよ」
「あい、一応掃除はしておいた」
「そんなもん、こいつにやらせりゃいいのに……」
ため息をつきながら惣治郎さんは来栖くんに「こいつは俺の娘でね。手ぇ出すんじゃねぇぞ」と凄みを効かせている。まだちょっとだけ照れくさくて、カウンター奥のキッチンへ逃げる。二人が上へあがっている間に、皿洗いを。コーヒー一杯で四時間も話していたおじいさん、おばあさんの会話を思い出してみる。
精神暴走事件。それに特別な因果関係などは無い。しかし、トラックの運転手や、電車の車掌など突然起こり暴走する……。非常に危険だという。まるで、川田のように。実際は心臓麻痺で亡くなったらしい。もしかしたら人によって死ぬタイミングはまちまちかかもしれない。
「馨、その皿はもうピカピカだぞ」
「え、ああ、ごめん、ぼーっとしてた」
「たく、お前がそんなんでどうするよ」
「わわっ」
わしゃわしゃと犬を撫でるように武骨な五指が髪糸を梳いていく。雑なのに心地が良いのだから、やはり経験人数が物を言うのだと思う。
「なんだお前、顔赤いぞ」
くつくつと喉奥を鳴らすような笑い方にからかわれた悟り、恥ずかしくなって俯く。棚に皿を仕舞い、汗ばんだ顔を一度洗ってから惣治郎さんのとなりで閑古鳥が鳴くのを聞いて、あっという間に夜。
「ちょっくら、あいつにもう寝ろって言ってくる。先に帰ってていいぞ」
「はぁい」
今日のお客さんの数は団体様含めて六人だった。地元民で生計が成り立っているといっても大げさじゃない。なのに、惣治郎さんはお客さんに愛想よくする気ないみたい。だからこそ。私が頑張らなければならない。
ブルーマウンテンの中身が少ないことを思い出し、ポニーテイルにしていた髪の毛をいつものオニオンヘアースタイルにして後ろへ流す。紙袋を開封して詰め替えつつ、残りもやってしまおうかと思い、上から戻ってきた惣治郎さんに戸締りすることを伝えて作業を再開。