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6〈素知らぬ他人〉
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「なんで……あんたに心配されなきゃいけないの?
うぅっ……」
どうやら私の存在に気づいていないらしい。これは帰った方がいいのかと思ったが「あんたも……」と彼女が私の袖を掴む。
「落ち着ける場所に行こう」
「何よ……、もう、意味わかんない……」
持っていたポケットティッシュ――街頭でもらった――を彼女に差し出すと、少しだけ口許に笑みが浮かんだ。高巻さんの泣き顔を見せないようにスクールバッグから大きなマフラーを取り出す。それを彼女に掛けて「顔、隠しておきな」と、高巻さんに言う。来栖くんが彼女の手荷物を持って近くのカフェへ。
ソファ席に私と高巻さん、椅子に来栖くん。
高巻さんはいつも通りの勝気な顔で話すことなどないと棘だらけの言葉を発した。その後に顔を左へそらして揉めているだけだとも言った。
「……鴨志田のこと?」
その言葉に反応した彼女は来栖くんの顔を見る。
「……噂くらい……、知ってるよね。
鴨志田先生とのこと、私とデキてるってみんな言ってる。
けど……、あんなやつと、そんな訳……!
……鴨志田から電話がかかってきたの。『番号教えろ』って言われてもごまかしてきたのに……」
その声に怒りが滲み出ているのが分かる。紙ナプキンを指でなぞり彼女の影が濃紺に伸びる。今日の夕陽は強くて、しかも逆光で更に彼女の顔色を暗くした。
「これから鴨志田が部屋に来いってさ。つまり……、そういうこと」
思ったより根深かった真実に口を半開きになってしまう。胸が締め付けられる感覚に口端を引き閉めた。
「断ったら私の友達……、……志帆をレギュラーから外すって。
志帆のためだって言い聞かせてきたけど……。これ以上はもう無理……」
私も来栖くんも目をそらしてしまう。涙を流しながら吐き出すように苦悩を告げる。そんな高巻さんは私たちに涙目のまま、どうしたらいいか訊く。けれど、その答えは私たちにはない。涙を拭った彼女の口許は険しく歪んでいる。重々しい雰囲気と、慎重に言葉を選んでいる彼女の周りは陰気な空気が漂っている。
「何……、言ってんだろ……。ほとんど話したことないのに」
「構わない」
「え……」
「そうだよ、私たちでよければいつでも話、聞くよ」
「……変な人たちだね。みんな、私なんてシカトなのに」
先程よりはすっきりした顔つきで、穏やかに話し始める。しかし、無いと思っていた端末がスクールバッグの中で鳴る。某ゆめかわいい着信音。
「ごめ、ごゆっくり」
ドリンク代を机に置いて店の外に出る。そういえば朝はギリギリでスクールバッグに突っ込んだのを忘れていた。外に出て西日のせいで暗くなっている画面の明るさを五十パーセントにしてから、画面を改めてみると非通知。
「……もしもし」
『遅いぞシュウジン!』
「……はい?」
聞き覚えのあるような、無いような声。うそ、ちょっと度忘れしていただけだ。カロリーヌさまは憤怒なさっておる。訪問するのをつい、忘れてしまっていた。
「はい、はい、わかりました今行きます」
何も言われないように着拒否してからベルベッドルームへ向かう。チャットで彼に先に帰っていてと伝えてから、セントラル街にあるベルベッドルームの扉へ急いだ。