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6〈素知らぬ他人〉
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チャットの続きを読むと、坂本くんは高巻さんと鈴井さんとは同中でよく知っているようだ。鴨志田の趣味は派手な高巻さん。鈴井さんと噂になるのはおかしいらしい。これは何やら近いうちに起きる予感。チャットが途切れたのを見てから今更になって、周りがヒソヒソしているのに気づき「……帰ろ」と、彼の腕を掴む。仄かに微笑み歩き出した。
いつものように渋谷まで電車を使う。今日は朝、人身事故の影響で遅れが出ていたが、今の時間はその遅れは無くなったようで、大して人々はイライラしている様子はない。さて、そのままルブランまで帰ろうか、と思った矢先――。
「いい加減にしてもらえません⁉ 本当に体調が悪いって……。
ちょっと……、それ! 先生、話が違うっ!
志帆のことと、話別じゃないですかっ!」
駅前広場、電話片手の女子は――高巻さん――相手と電話が切れてその場にしゃがみ込んでしまう。「志帆の、スタメン……」哀愁の篭った声に私が泣きそうになる。声を伝って感情が流れ込んでくる。来栖くんの背に額を押し当てて我慢をする。彼はそれを配慮してその場から動かなかった。少ししてから高巻さんは私たちの存在に気づいた。
「もしかして、聞いてた?」
「わざとじゃない」
「シュミ悪くない?」
選択肢を間違えた彼は、少しだけしょんぼりしたのが背中越しに分かった。よしよしと撫でてやれば少しだけ背筋を良くした。
「……。
……ごめんなさい」
彼女は手の甲で目尻に溜まった真珠のような涙を、控えめに拭った。
「聞いたって、どこまで……?」
「友達のこと」
「志帆……」
一瞬、苦しそうな、心配しているような顔つきになったが、すぐにいつもの勝気な表情になった。
「別になんでもないから。
なんでも……」
こみ上げてきた感情を我慢するように、今度は強く目元を拭い彼女は走り去っていった。
「追おう!」
「嗚呼」
階段を下りていき地下通路へ。更にエスカレーターに近づくと、既に下りていた高巻さんが右――出口七α方面――へ走って行くのが見えた。下まで行くといくつもカラフルな柱があり、彼女は人気のスムージー屋さんの更に奥、緑色の柱に身体を向けていた。きっと、涙を誰にも見せたくないからだろう。
蒸し暑い地下。雑踏の中で彼女の泣く音は儚く消えていく。
「ついて来ないで……、ほっといてってば!」
「放っておけない」