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6〈素知らぬ他人〉
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嫌がらせレベルで教室中の視線が集まった。背中に嫌な汗が伝う。
「えっと、二〇十七年のノーベル文学賞の受賞者は、日系イギリス人のカズオ・イシグロ氏です」
あの人の作品の中で、一番好きなのは第二次世界大戦の話である『日の名残り』受賞した時から興味を持って買い漁った。
「……正解です」
不服そうな乾先生の顔を一瞥してから座る。そして教科書を立てて猛省した。だって、自分の小説に出てくるキーキャラクターによく似ていて、つい、いつものようにガン見してしまったから。人間観察も極めてしまえばストーカーかな。
(自分のキャラ可愛い)
なんて邪な想いで見続けているとは分かっていないんだなぁこの先生は。嫌味な性格だけど意外と家事が上手とかだったら嬉しい。そんな机上で頬杖ついていたからか、またもや乾先生からご氏名が飛んで来た。
坂本氏曰く、すごく嬉しそうな顔だったという。
——放課後。
イライラしている坂本くんに呼び出されて、中庭の自動販売機前で作戦会議。どちらも成果は無く、自動販売機に当たっている坂本くんに「物に当たるのはやめて」と言えばしゅんとなさった。この可愛い生き物欲しい。
「お前らなんか思いつかねぇ……?」
「闇討ち」
と何故かガッツポーズをして堂々と言う来栖くん。
「おー、男だねえ、バレたら誰が責任を取るか」
「他に、何かねえかよ……?」
困惑する坂本くんに笑いがこみ上げて口元を袖で隠し、くすっと笑ってしまう。そして、
「闇討ち」
大事なことなので二度言った来栖くんに我慢していた笑いが弾けた。「警察に連絡しろ」と直した坂本くんの顔を私は忘れない。見事な真顔だった。
流石に城のことまで警察には話せないため、その案は却下された。青いベンチに座って行き来する生徒を眺めてぼんやりしてしまう。が、何者の声が聞こえ無意識に探す。
——やってきたのは一匹の猫。足先や尻尾先が白色で、それ以外は濡羽色のように艶々とした黒色だった。瞳はブルー。どこか見たことのある強気な瞳。
「……モルガナ?」
「こないだは勝手に帰りやがって!」
やはり、二人とも先に帰ってしまったらしい。かなり不満そうな顔をしている。その言葉にはきっと私も含まれているだろう。それから、モルガナは此方の世界では普通の猫になってしまうらしい。黄色のスカーフの代わりに、細身の首輪をしている。
端末を持っているのかという坂本くんのアホな質問に、何故かドヤってる顔でモルガナは自力ということと、抜け道に迷ったことを言った。その言い草的にかなり苦労したことを察する。きっと、車に轢かれそうになったり、人に尻尾を踏まれたり……。心の中で合掌をする。