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5〈坂本くんの試練〉
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そう言って坂本くんは端末を取り出す。しかし、カメラ機能が使えないらしい。『ナビ』という坂本くんが零した言葉に反応したのはモルガナ。全員端末を確認するがカメラどころか圏外だった。
「なんでもいいが、そろそろ見つかるぜ? 戻ったほうがいい!」
その言葉に反応する足に苦笑する。無意識に逃げる準備をしている私とは裏腹に坂本くんは牢にへばりついて、奴隷の一人一人の顔を憶えている。別の牢へ行くと、ベルトコンベアを魔改造してできたランニングマシーン。そして、脱落した者を串刺しした上に肉まで潰しそうなローラーが回っている。奴隷は皆、吊り下げられているやかんを求めて走っているようだ。隣の牢にはボロボロの奴隷がいて、やはり逃げ出すことを放棄している。
最後の牢屋には、吊り下げられている奴隷。そして、大砲から出るバレーボールを一身に受けて、呻き声を漏らしていた。その部屋の垂れ幕には『めざせ全国制覇』と書かれている。
あまりの酷い有様に一瞬、唖然としてしまうが、坂本くんの袖口を掴み、修練場から脱出する。
「よし、戻ってきたな。早いトコ、こっから脱出しようぜ!」
しかし、そう簡単にパレスから脱出できるはずもなく、修練場を見張っていた兵士を倒したせいで、たくさん兵士が集まってきた。
足元のぬかるみに気を付けながら、玄関ホール直前まで走る、走る、走る。
「出口はこっちだ! 急ぐぞ」
ホール中央まで行くが、カモシダと手下が待ち構えていた。というか、裸の王様気取りだろうか、ブーメランパンツが眩しい。
「……また貴様らとはな。今回はおまけがいるのか。
過ちを二度繰り返すとは、救い難いな!」
フルフェイスの鎧兜のせいで、私が誰だか分からないらしい。少し小さな男と認識しているのだろう。吐き出すように「ドブネズミが増えたところで……」とブツブツ呟いている。
「学校はテメェの城なんかじゃねえ!
あいつらの顔は、しっかり覚えたぜ。……観念すんだな」
証拠は確かに記憶でしかないし、あやふやなものだけれど現実の奴隷たちを鼓舞して反逆の意志を持たせ、自白させることが出来れば鴨志田は逮捕される。しかし……。
「『負け犬ほどよく吠える』とは、真理らしいな。
陸上部のエースも堕ちたものよ」
カモシダには一切効いていなかった。動揺一つ見せずに未だ余裕な笑みを浮かべている。しかも、陸上部のエース、この単語に反応したのは、坂本くんだった。『裏切りのエース』とまで言われて逆ギレをしようとするが、言葉の追撃は止まらずに押し黙ってしまった。
更に仲間の夢を潰したと、本人を目の前にして歌うように告げられる言葉のナイフ。坂本くんの怒りと悲しみ、そして戸惑いが空気を通して私に伝わってくる。
けれど、なんとなくこれは坂本くんのせいではない気がした。理由は一つ。私たちにその事実を知られて『焦り』という感情は伝わってこなかった。
もし、坂本くんが意図的に仲間の夢を何らかの方法で潰したとしよう。そしたら私たちにバレてまずいという焦りが伝わってくるはずだ。それが一切伝わってこない。最終的に残ったのは深い深い悲しみだけだった。