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0〈死の果て〉
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0<死の果て>
死は生より軽い。命の重みは人間も動物も皆平等。
けれど、神様は不平等である。私の命は私の物だけれど、身体はインテリヤクザの川田豪【すぐる】の物。川田に出会ってから可笑しくなった。いつの間にか、ただただ楽しかった“書く”という行為は自分を苦しめるモノへと変わっていった。寝たい時に寝させてもらえず、食べたい物も制限されていた。
事故で両親を失い、施設に入れられそうだった私を救ってくれたのは川田。
衣食住を揃えてくれたのは川田。
小説の書き方を教えてくれたのは川田。
……そして、奴を――廃人――殺してしまったのは、私。一夜にして犯罪者になってしまった私を裁く裁判官も、捕まえる警察官もいない。だって、証拠が何一つないのだから。
事の始まりは秀尽学園高校の入学式まで遡る。灰色のコンクリートを淡い桃色の花弁が敷き詰めていたあの日。私は連日の執筆活動から解放され、花の高校生となった帰りのこと。春眠暁を覚えず、家まであと少しのところ、後方から居眠り運転をしていたトラックによって、はるか三十メートルを飛んだ。
懸命に自分で結んだ三つ編みが解けて、視界の端で揺れていたのを視界に入れた瞬間、走馬灯が視界の端々から流れるように見えた。
さして、刺激のない短い人生。生まれてから今までの半分以上の時間。自分の――創作――友達を作って遊んでいた。
けれど、これでいいのだろうか? 私はまだ本当の友達を作ってすらいない。せめて、一人くらい親友というものを作って、できれば愛されたかった。最愛の人に。
――ああ、死にたくないなぁ。
そう思ってしまったわけですよ。今までファンタジーを書いて来ましたし、青春なんて人生の中ではほんの一瞬なわけで。あれ、私なんか貴重な体験を前に死のうとしていませんか。来世なんて待てない。
生きたい。まだ印税自分の物にしてない。いつか一戸建てに住んで、川田の猫かぶり野郎の化けの皮を剥いでやりたい。
「川田、ねこ、かぶり……、私の家は、仕掛け屋敷」
以前、興奮して赤ら顔になりながらも話していた、増築を繰り返して出来た幽霊屋敷、ウィンチェスター・ミステリー・ハウスを模倣したように我が家を造り変えてしまったのだ。ちなみに、私の部屋も例外ではなく吸収されてしまった事実を、今日家を出るときに知ってしまったがゆえに、怒りを通り越して呆れてしまった。
最期の最期に視界に入ったのがその家だなんて、死んでも死にきれない。あと少し、地面に頭を打ち付けようとしていた瞬間――。
『川田猫かぶり、私の家、仕掛け屋敷。候補が見つかりました。ナビを開始します』
そんな無機質な声が聞こえた。視界がだんだん歪んで気持ち悪かったのを今でも覚えている。目を閉じて開いた刹那。見知らぬ天井を見ていた。