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2〈過去を歩いた先にあるもの〉
翌日、来栖くんと一緒に学校へ行くことにした。惣治郎さんの美味しいカレーを食べてから四軒茶屋駅から渋谷へ。降りて一度、駅前広場へ出る。帝急ビルの銀坐線乗り場へ向かい、電車で青山一丁目についた。外へ出ると雨がザーザーと降っていた。
「およ、雨だ。天気予報では晴れだったのになぁ」
「雨宿りする……?」
「うん、それが良いね」
私たちは服屋の屋根を借りて雨宿りしていた。歩いている最中に、私も秀尽へ転入すると告げた。前まではリハビリを兼ねて通信に通っていたのだ。スクーリングへ行きテストを受けて、最終日には水族館へ行くことが出来た。修学旅行みたいで楽しかったのだが、周りは化粧をするような子たちばかりで、上手く馴染むことが出来なかった。
それを惣治郎さんに相談したら秀尽学園は素行悪くないと言われて、春休み中に通信を辞めて秀尽への編入手続きを済ませた。少しだけ緊張する。
「惣治郎さんから私の事どれだけ聞いた?」
「小説家目指している自慢の娘」
「そっか……」
実は、惣治郎さんは表向きしか知らない。私は普通の子で、親代わりの川田に虐められていたと。私が作家だった頃のことを知らない。そもそもペンネームは男の名前だったし気づきようもないが、ルブランの本棚に私の本が全巻揃っていたのは驚いた。
まだまだ止みそうもない雨。曇天の空を眺めていると一人の女の子が同じ屋根に入ってきた。パーカーのフードから覗くアッシュベージュのような色の豊な髪糸。顔を見せたのは人形のような奇麗な造り。こちらに気づいた彼女は淡い笑みを見せる。再び正面を向いた彼女の横顔は勝気さを残しつつ、少女の淡さがあった。
見惚れていると、目の前を一台の車が止まる。窓が開かれ、中から青いジャージ姿の男が見えた。「おはよう、学校まで乗せていこうか?」その言葉は私たちに向けられているのではなく、あの美人さんに向けられた言葉だった。きっと、来栖くんの背に無意識で隠れてしまったせいで私のことは見えなかったらしい。
美人さんは少しだけ重い足取りで、男の車に乗り込んだ。……何やら、訳ありの予感。窓が閉められていくとき、美人さんはお世辞にも、あまりうれしそうな顔をしていなかった。
車が去っていく。
雨はまだ止まない。
後方から走る足音が聞こえる。そちらへ視線を向けると金髪の少年が「くそっ変態教師が……」と悪態を吐き出す。青ジャージの人はどうやら教師らしい。端末が震える。やはり、あの人にもパレスがあるらしい。
そういえば、来栖くんにもアプリが入っていた。まあ、当たり前か。更生をしなくてはいけないのは彼。私は観測者。いわゆる監視。彼が間違ったほうへ行かないように、と命令されている。
ガラの悪い少年は「……なんだよ」と突っかかってきた。すぐさま来栖(壁)の後ろに隠れる。まじむり、怖い。