私が掴んだのはフリフリのメイド服。
黒と白の生地をふんだんに使った豪華なもので、至る所にフリルが沢山あしらわれている。大きい襟にリボンタイがついていて、白いパフスリーブか可愛い。
白いフリル付きのエプロンと背中側にも大きいリボンが付いている。
パニエも贅沢に二重になっており、たぶんこれはスカートを履くとかなりふんわりと広がりそうだ。

付属の袋には、フリルとリボンが可愛い猫耳付きのカチューシャと、きちんと短めの白いドロワーズ(見せ下着)と、白いニーハイソックス、黒の厚底パンプスが入っていた。
なんと頭のてっぺんからつま先までメイドさんになれそうな感じだ。
普段は着る機会はないけど、こんな時だしと着てみたい欲に負けてしまった。

「クラウド、これ。これにしよう。」

私はメイド服のサイズの大きい方を、横で青ざめて立っているクラウドの胸に押し当てた。

「なっ、カノンなんでこんな…俺はっ」

珍しくワタワタとしているクラウドに着ないと出れないよ？と一言添えると意を決したのが、衣装を握りしめてキリッとした表情をした。

「でも…着替える場所が…ないな。」
周りを見渡しても特に更衣室とかはないみたいでがらんとしている。

「しょうがない、私後向くからクラウドも向いて。お互い背中向いて着替えよう。」

メイド服を握りしめて頷くクラウド。
私たちはイソイソと着替えを始めた。


＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

「クラウド〜、着替え終わった？」

「ああ…」

「じゃあ、さんにーいちで振り向こう。さん、にー、いち！」

パッと振り返るとそこにはとてもとても可愛らしいクラウドが立っていた。

「クラウド、かわいいっ！かわいいよっ！！」
私は駆け寄るとマジマジとクラウドを見る。

ムキムキの体がフリフリとした衣装を身に纏っている、と言う何とも言えないギャップとそれを着こなしてしまうクラウドの顔の良さが目を引く。
ツンツンとしたチョコボ頭からはフリフリのフリルと黒い猫耳がぴょこっと出ており、可愛さが爆発している。ふんわりと広がるスカートのからは鍛え上げられた脚が黒いニーハイとお目見えしている。(ちなみに私は白い猫耳、白ニーハイだっだ。)


前にティファとエアリスに聞いた話だと、とてもフリフリとした服だったとか。こう言う感じだったのかなあ？

照れているのか顔を真っ赤にし、扉を見つめるクラウド。
…くそう、なんだかとっても可愛い。

「あ、あんまり見ないでくれ…」

消え入りそうなクラウドの声が聞こえると同時に、

ガチャ

扉の開いた音がした。


「扉開いたみたい！こんなところに長居は無用だよっ。行こう、クラウド。」

カノンはそう言って2人分の着替えを持ち走り出した。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

扉を出ると、先程いたクラウドの部屋のクロゼットの前に二人で立っていた。

格好は…メイド服のままだ。

「あれ、服戻らないね。」
自分の服を見てキョロキョロとすると、隣のクラウドが呟く。

「服を着替えるから、その…返してくれないか…」

私はハッとし、ごめんと言いながらクラウドに服を渡す。

私も自室で着替えようと思って、ドアノブを捻ってクラウドに声をかける。

「私も着替えるね！また夕飯の時に！」
フニャッとした笑みでクラウドを見ると、ああ…と言ったクラウドの顔がなぜか赤くなった。



＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

パタンとドアが閉まった。

部屋に一人きりになった俺は、ふぅとため息を付いてから着替え出す。

かわいいかわいいと駆け寄られた時はかなり焦った。

同じ格好とは言え、カノンはやはり女の子だ。旅の時の格好とはずいぶん違うからか、かなりドキリとしてしまった。


フリフリとした衣装もそうだが、胸のラインからの細い腰、そこから続くふんわり広がるスカートのラインがかなり似合っていた。
そしてスラリと伸びた脚もとても綺麗だった。
いつものニコニコしている顔にプラスして白い猫耳となると俺としてもなにか込み上げてくるものがあった。
衣装効果だろうか…カノンはあんなに可愛かっただろうか…

異質な体験にまだドキドキしている。


…長居してくれなくて、良かった…

ホッと胸を撫で下ろし、クラウドはせっせと着替えをした。


猫耳メイド服で脱出成功！