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外に出ると、先程買い物した店の前に2人で立っていた。

周りを見渡すと、人が行き交っている。
無事こちらに戻ってこれたようだ。

「あっ、カノン、ヴィンセント！いたいた！」
人混みを縫うようにしてレッドがこっちに向かって走ってきた。

「まってー、ナナキ。」
その後に少し遅れてエアリスも小走りでこちらに向かってくる。

「ナナキ！エアリス！」
カノンが駆け出し数歩先でしゃがみ、駆け寄ってきたレッドの頭をわしわしと撫でている。レッドのしっぽが嬉しそうに跳ねた。

エアリスが私の目の前に立っている。カノンとレッドを見てニコニコしている。エアリスはこちらを見て話だした。
「2人とも、買い物に行ったっきり全然帰ってこなくて、心配になっちゃった。」

どうやら、あの部屋の中と外ではだいぶ時間の長さが違ったようだ。我々がいたのはほんの30分もしないくらいだったはずだが。
昼食を済ませてからの買い出しだったので、精々昼過ぎぐらいだと思っていたが…
確かによくよく周りを見ると、夕日が眩しい。もうすぐ夕闇がやってくる頃だ。

「…心配をかけた。」
仲間として加入してから、何かとそれぞれが気にかけてくれる。“今まで“にはなかった事だ。

「どこか2人で行ってたの？」
エアリスがニコニコしながら聴く。

どこか、と言われれば行っていたが…説明をするとなると誤解が生まれそうな気がして黙っているとレッドが何やら騒ぎ出した。

「あれ？カノン、ヴィンセントの匂いがするね！」
そう言ってフンフンとカノンの顔から腹のあたりを嗅いでいるようだ。

ちらりとカノンを見ると、ナナキ、これはっ…と言いながら石化状態のように固まっている。

どう助けようか、いや、このまま様子見をした方がいいのか…

部屋を出るためとはいえ、キスをした事実は変わらない。
思い出すと柄にもなく少しキザな事をしてしまった気がして、私はマントの襟を深めに被るとカノンの方へ歩き出す。

「…行くぞ、カノン。」

私はカノンの手を取ると、宿屋の方へ歩き出した。

2人の背中を見送るエアリスとナナキ。

「…オイラ、なにか悪いこと言っちゃったかな？」
ナナキがお座りをして、隣に来たエアリスを見上げる。

エアリスは首を横に振る。
「…大丈夫。ヴィンセントもカノンも今までよりも仲良くなったって事、だね。」

私達も行こう、とエアリスとナナキは2人と少し距離をとって歩き出した。


キスしないと出られない部屋

脱出成功！