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◯◯しないと出られない部屋

your neme

お名前どーぞ
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どちらかが愛を叫ばないと出れない部屋

「あれ?みんなの匂いが消えちゃった…」

ナナキはくんくんと空間の匂いを嗅いでいる。

四方が白い部屋に二人(一人と一匹?)は閉じ込められてしまった。

私はナナキの隣に立って、少し不安そうな彼を撫でてやる。
「出口は…ドアが1箇所だね。」

ドアに向かって2人で歩いていくと、ドアの上部に看板がかかっているのが確認できる。

「何か書いてあるみたい。カノン、読める?」
パタパタとしっぽを振るナナキ。
「えっと…どちらかが愛を叫ばないと出れない部屋、って書いてあるね。」

愛…愛とは…?

2人は同時に首を傾げた。

カノン、愛ってなんだろう?」
難しい質問。

「う、うーん…あなたの事が心の底から大好きです!って事かな?」
2人ともピンと来ていない様子でドアの前で悩んで首を傾げている。

カノンは悩んでいた。

パーティメンバーの中で1番付き合いが長いのはナナキだ。

神羅ビル内の実験棟で、毎日のように投薬され、辛い副作用に参ってた時や、実験と称して一緒のカプセルの中に1晩入れられた時も私を案じてくれていた。なにより私をあの実験室から連れ出してくれた。感謝は凄くしている。仲間意識も人(獣?)一倍あると思う。

腕を組んでうーん、と考え込んでいると、ナナキがそうだ!と言った。

「オイラやってみてもいいかなぁ?」
ナナキはニコニコしながら前屈みになりしっぽをビュンビュンと振っている。

「うん、いいよ?」
ナナキはフンフンと鼻息荒く私の周りをぐるっと1周回った。
ぴたっと、私の前で止まりくるっと背を向ける。
部屋の空間に向かって叫ぶ。
「オイラ、カノンが優しく撫でてくれるのが大好きだ!一緒に寝てくれる時も、ぎゅっとしてくれるのも好きだーっ!!」

ドキリとする。ナナキ、そんな事思っててくれたなんて。
カノンの顔が段々赤くなる。

ナナキは続けて叫ぶ。
「じっちゃんと同じ優しい匂いがするのも、みんなと楽しそうに笑ってる声も好きだーっ!それにーーー」

えっと、これ以上は…っ!恥ずかしすぎる。

カノンは赤面して、ナナキを後ろからギュッと抱きしめた。
「ナ、ナナキ、もういいよぉ〜…」

ヘナヘナと座り込むと同時にカチャっとドアのロックが外れる音がした。

「ロックが解除されたみたいだね!これで出れるね!」
ナナキはよかったあーと言うと、カノンの方を向く。

カノン、顔が赤いよ?大丈夫?」
コクコクとうなずく。

「今叫んだことは、本当にホントに思ってる事だからね!」
そう言ってナナキはドアの方に向かって歩き出した。私も遅れてついていく。

もー、そんな事ストレートに言われちゃうと照れちゃうなぁ…

カノンはドアノブを捻って扉を開けた。

***************

「おー、いたぞ!こっちだこっち!…ったく、てめーらどこいってやがった?」

部屋の扉を開けると、元の草原に戻っていた。
シドがタバコをふかしながらこっちに歩いてくるところだった。
軽く手を振り返す。

「シド!良かった〜カノン元に戻れたね?」
ナナキはカノンの方を見上げる。

「うん、本当に良かった…」
しゃがんでナナキと目線を合わし、ありがとうと言って両耳の下あたりを両手でわしわしと撫でてあげた。

ナナキは気持ちよさそうに目を細めてしっぽをユラユラさせている。

タイニーブロンコ号の近くまで三人で歩いて行くと、ヴィンセントが船の前で待っていた。

「…見つかったか。」
二人と一匹を見て呟くヴィンセント。

「ヴィンセント、ただいまー!」
「…た、ただいま戻りましたっ」

ヴィンセントはチラリとナナキとをカノンを見た。
「何かあったのか?」

「ヴィンセント、オイラたち何もない部屋にいきなり閉じ込められちゃったんだ。」
ねっ?とカノンを見上げるナナキ。

「うん。その…部屋からでる条件が書いてあったんだけど、ナナキが頑張ってくれたの。」


どちらかが愛を叫ばないと出れない部屋。

中でのナナキの言葉を思い出し、カノンは顔を少し赤らめる。

「なんでぃ、どんな条件だったんだ?」

後ろでタバコの始末をしながらシドが聞く。

ドキッ

え、と。その…
なんで答えていいか、ワタワタしているとナナキが胸を張りながら言った。

「どちらかが愛を叫ばないと出れない部屋って書いてあってさ、オイラがカノンへの大好きを伝えたよ!」

えっへん!と胸を張って言うナナキ。

恥ずかしさがぶり返し、ナナキの横で顔を覆っているカノン

腕組みをしながら、少し目を見開くヴィンセント。




「だっははは!そりゃ、よかったじゃねぇか!!カノン、ナナキが漢を見せたって事だ!」
シドのカラッとした笑い声が響く。

シドは歩いてそのままタイニーブロンコに入っていく。ナナキも一緒について行った。



「おめーもよ、うかうかしてられねぇな!」
タイニーブロンコに入る間際。
シドは腕組みをして立っているヴィンセントの肩に軽くパンチをしながら声をかけた。



「…なんのことだ。」

シドはそのまま手をヒラヒラさせて中に入っていってしまった。


顔の火照りが落ち着いてきた。
なんかどっと疲れたなぁ。
とりあえず、私も船に入ろうと歩き出す。

ヴィンセントと目が合う。

「…中でゆっくり休むといい。クラウドたちもじきに戻ってくるだろう。」

「うん、ヴィンセントもありがとう。」
フニャっとしたいつもの笑顔だが、まだ少し顔が赤かった。



*****************

「…(愛…か。)」
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