灰色の空
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06.報告会 (girls side)
教団の門をくぐり、アレンと別れて自室へ向かう廊下。〇〇の足取りは、自分でも驚くほど軽かった。
つい数時間前まで、自分は感情を殺し、ただ淡々と死を積み上げていく「死神」なのだと思い込んでいた。人を好きになる資格も、誰かに特別だと思われる資格もない人間なのだと…
けれど、アレンがくれた言葉、彼が見せてくれた景色、そして手の中にある一輪のチューリップが、その氷のような呪縛を跡形もなく溶かしてしまった。
(……アレンさんのことが、好き。……真っ直ぐに、そう思っていいんだ…!)
素直に自分の気持ちを認められたことが、ひどく新鮮で、誇らしくて。胸の奥から湧き上がる熱い高揚感に、〇〇は何度も深く息を吸い込んだ。
その様子を、自室の前で待ち構えていたリナリーが見逃すはずもなかった。
「おかえり、〇〇! ……その顔を見れば聞くまでもなさそうだけど、どうだった?」
リナリーはベッドに腰掛け、目を輝かせて身を乗り出してきた。〇〇は大切そうにチューリップを抱えたまま、熱を持った頬を隠すように俯く。
「……た、楽しかった。……すごく」
「うんうん、それでそれで? どこに行ったの? 何をしたの?」
「……お花、もらったの。これ…」
〇〇が恥ずかそうに一輪のチューリップを差し出すと、リナリーは「きゃあ!」と小さく声を上げた。
「素敵っ! チューリップなんて、さすがアレンくん。〇〇にぴったり。……ねえ、それだけ?」
「……あとは…パフェ食べた。宝石みたいに綺麗でね、あんなに美味しいもの、初めてで……。私が食べてる間、アレンさんずっと……私を見てて…見てると…幸せだ、って…」
恥ずかしさで段々と声が小さくなっていく。
「きゃー! アレンくん積極的…!しかも〇〇、
アレンさんに呼び方変わってるね!」
「そ、それは!仕事じゃないんだから、ってアレンさんが…」
リナリーの明るい声に押されながらも、〇〇は夕日に染まった彼の横顔を思い出す。
「……最後にね、綺麗な景色を見たの。丘の上の展望台。街が全部見えて…感動した…」
「……ロマンチック!!」
リナリーは胸の前で手を合わせ、感極まったように溜息をついた。
(アレンくん、これ完全に本気モードだわ……。あんなに慎重な彼が、そこまでストレートに攻めるなんてね…)
親友の祝福するような視線を受け、〇〇はぎゅっと胸元のワンピースを握りしめた。
今まで、何重にも鍵をかけて閉じ込めてきた感情が、今はもう、溢れ出すのを止められない。
「……リナリー。私ね」
〇〇の声が、微かに震える。
「……私、アレンさんのことが、好き。」
「どうしよう、私、こんな気持ちで、明日からどうやってアレンさんと任務をこなせばいいのか分からないよ……」
思いが溢れるかのように言葉を紡ぐ〇〇を
リナリーは涙を浮かべながら愛おしそうに、そして嬉しそうに見つめる。
彼女は…知っていた。
〇〇がどれほど自分を殺して生きてきたか。
かつての仲間が死ぬたびに、彼女の瞳から光が消え、言葉が事務的になり、まるで感情のない精巧な人形のようになっていく姿を、一番近くで見てきた。
「死神」と陰口を叩かれても、それを受け入れることしかできなかった〇〇が。
「……よかった……。本当によかったね、〇〇」
リナリーは、震える〇〇の肩を力いっぱい抱きしめた。
「〇〇が、また誰かを……そんなふうに『好き』って思える日が来るなんて。……アレンくん、本当に凄いね。あなたの凍りついた心を、こんなに温かく溶かしてくれたんだもん」
「……リナリー」
「いいんだよ、怖がらなくて。〇〇はもう、一人で背負わなくていいの。……その気持ちを大切にして。アレンくんも、きっと同じ気持ちでいてくれてるんじゃないかな」
リナリーの腕の中で、〇〇は静かに涙をこぼした。
それは、悲しみや痛みの涙ではなく、自分が「人間」として誰かを愛していいのだと許された、解放の涙だった。
…
その夜、〇〇はリナリーに選んでもらった花瓶にチューリップを生け、月明かりの下でいつまでもそれを見つめていた。
「好き」という言葉の重さに、心が震える。
けれど、それは決して苦しいものではなく、マカロンよりもずっと甘く、優しい熱を帯びていた。
06.報告会 (girls side)fin
教団の門をくぐり、アレンと別れて自室へ向かう廊下。〇〇の足取りは、自分でも驚くほど軽かった。
つい数時間前まで、自分は感情を殺し、ただ淡々と死を積み上げていく「死神」なのだと思い込んでいた。人を好きになる資格も、誰かに特別だと思われる資格もない人間なのだと…
けれど、アレンがくれた言葉、彼が見せてくれた景色、そして手の中にある一輪のチューリップが、その氷のような呪縛を跡形もなく溶かしてしまった。
(……アレンさんのことが、好き。……真っ直ぐに、そう思っていいんだ…!)
素直に自分の気持ちを認められたことが、ひどく新鮮で、誇らしくて。胸の奥から湧き上がる熱い高揚感に、〇〇は何度も深く息を吸い込んだ。
その様子を、自室の前で待ち構えていたリナリーが見逃すはずもなかった。
「おかえり、〇〇! ……その顔を見れば聞くまでもなさそうだけど、どうだった?」
リナリーはベッドに腰掛け、目を輝かせて身を乗り出してきた。〇〇は大切そうにチューリップを抱えたまま、熱を持った頬を隠すように俯く。
「……た、楽しかった。……すごく」
「うんうん、それでそれで? どこに行ったの? 何をしたの?」
「……お花、もらったの。これ…」
〇〇が恥ずかそうに一輪のチューリップを差し出すと、リナリーは「きゃあ!」と小さく声を上げた。
「素敵っ! チューリップなんて、さすがアレンくん。〇〇にぴったり。……ねえ、それだけ?」
「……あとは…パフェ食べた。宝石みたいに綺麗でね、あんなに美味しいもの、初めてで……。私が食べてる間、アレンさんずっと……私を見てて…見てると…幸せだ、って…」
恥ずかしさで段々と声が小さくなっていく。
「きゃー! アレンくん積極的…!しかも〇〇、
アレンさんに呼び方変わってるね!」
「そ、それは!仕事じゃないんだから、ってアレンさんが…」
リナリーの明るい声に押されながらも、〇〇は夕日に染まった彼の横顔を思い出す。
「……最後にね、綺麗な景色を見たの。丘の上の展望台。街が全部見えて…感動した…」
「……ロマンチック!!」
リナリーは胸の前で手を合わせ、感極まったように溜息をついた。
(アレンくん、これ完全に本気モードだわ……。あんなに慎重な彼が、そこまでストレートに攻めるなんてね…)
親友の祝福するような視線を受け、〇〇はぎゅっと胸元のワンピースを握りしめた。
今まで、何重にも鍵をかけて閉じ込めてきた感情が、今はもう、溢れ出すのを止められない。
「……リナリー。私ね」
〇〇の声が、微かに震える。
「……私、アレンさんのことが、好き。」
「どうしよう、私、こんな気持ちで、明日からどうやってアレンさんと任務をこなせばいいのか分からないよ……」
思いが溢れるかのように言葉を紡ぐ〇〇を
リナリーは涙を浮かべながら愛おしそうに、そして嬉しそうに見つめる。
彼女は…知っていた。
〇〇がどれほど自分を殺して生きてきたか。
かつての仲間が死ぬたびに、彼女の瞳から光が消え、言葉が事務的になり、まるで感情のない精巧な人形のようになっていく姿を、一番近くで見てきた。
「死神」と陰口を叩かれても、それを受け入れることしかできなかった〇〇が。
「……よかった……。本当によかったね、〇〇」
リナリーは、震える〇〇の肩を力いっぱい抱きしめた。
「〇〇が、また誰かを……そんなふうに『好き』って思える日が来るなんて。……アレンくん、本当に凄いね。あなたの凍りついた心を、こんなに温かく溶かしてくれたんだもん」
「……リナリー」
「いいんだよ、怖がらなくて。〇〇はもう、一人で背負わなくていいの。……その気持ちを大切にして。アレンくんも、きっと同じ気持ちでいてくれてるんじゃないかな」
リナリーの腕の中で、〇〇は静かに涙をこぼした。
それは、悲しみや痛みの涙ではなく、自分が「人間」として誰かを愛していいのだと許された、解放の涙だった。
…
その夜、〇〇はリナリーに選んでもらった花瓶にチューリップを生け、月明かりの下でいつまでもそれを見つめていた。
「好き」という言葉の重さに、心が震える。
けれど、それは決して苦しいものではなく、マカロンよりもずっと甘く、優しい熱を帯びていた。
06.報告会 (girls side)fin