灰色の空
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04.謎の感情
ある日の黒の教団
リナリーの部屋ではガールズトークが繰り広げられていた。
任務の報告を終えた〇〇は、差し出された温かい紅茶を両手で包み込みながら、ようやく深く長い息を吐き出した。
外では「冷徹な死神」や「感情のないファインダー」と囁かれ恐れられている〇〇だが、リナリーの前でだけは、その鎧を脱ぐことができた。
同じ戦場を知り、大切な人を失う痛みを共有できるリナリーは、〇〇にとって唯一、素の自分として言葉を交わせる、かけがえのない友人だった。
その〇〇が今、ここ数日胸の奥で渦巻いている「不可解な動揺」について、ぽつりぽつりと話し始めた。
出会った夜のこと。
焚き火の前で流した涙。
アレン・ウォーカーという、あまりにも真っ直ぐで、残酷なほど優しいエクソシストのこと。
そして、彼に連れられて行ったレストランで、マカロンの甘さに心を溶かされたあの瞬間のこと。
「……ウォーカーさん、不思議な人なの。事務的な関係でいいはずなのに、私の心の境界線を、いつの間にか踏み越えてくる。」
「ふふ、アレンくんらしいね」
「何を考えているのか、全然分からなくて。今日も廊下ですれ違っただけで、なんだか……息苦しいというか。胸のあたりが、こう、キリキリするんだよね…」
リナリーはカップを口元に運び、悪戯っぽく微笑んだ。
「それで? 次のお休みの日、二人でカフェに行く約束をしたんでしょう?」
「……うん。でも、断る理由もなくて。ただ、なんだか最近、ウォーカーさんと目が合うだけで心臓がドクドクして…これ、何かの病気の前兆?あるいは、蓄積した任務の疲れか……」
「病気、ねぇ……ある意味そうかも」
リナリーは確信犯的な笑みを浮かべたが、あえてその正体を口にはしなかった。
検査した方がいいのかな…と深刻な顔でボソボソつぶやいている〇〇を華麗にスルー。
「それで?当日に何を着ていけばいいかって、私に相談しに来たんでしょう?」
「……っ! それは……その、団服だと、ウォーカーさんに『堅苦しい』って笑われる気がするから。あくまで私服の彼に合わせた、適切な『礼儀』としての装いというか……」
「……あら。アレンくんに『可愛く見られたい』って思ったんじゃないの?」
「べ、別に、そんなんじゃ……っ! ただ、失礼のないようにというか、場の雰囲気に馴染むように……そう、カモフラージュの一種だよ!」
必死に弁明する〇〇だったが、その瞳は期待と不安で落ち着きなく揺れていた。
今まで、仲間の死を見送るたびに「感情」という余計な荷物を捨ててきた。
けれど今、アレン・ウォーカーという存在が、彼女に「一人の女の子」としての面倒な悩みをもたらしている。
「いいわ、その『カモフラージュ』、私が手伝ってあげる!」
リナリーが楽しそうに立ち上がり、〇〇の手を引いた。
「今からお買い物に行こう! アレンくんを驚かせちゃうような、とびきりの一着を一緒に探そう?」
…
街のブティック。
リナリーは次から次へと、〇〇に似合いそうな服を鏡に当てていく。
「これはどう? 落ち着いたネイビーだけど、袖のカットが綺麗で〇〇にぴったり。……あ、こっちの淡いアイボリーのワンピースも、清潔感があって素敵!」
「そんな明るい色は……私には、似合わないよ。もっと、目立たないグレーとかでいい」
「ダメよ。せっかくアレンくんが、非番の〇〇に会いたいって言ってくれたんだから。……ねえ、〇〇。自分を隠すのはもう終わり。あの夜、彼に見せた笑顔に似合う服を、選んでみない?」
リナリーの言葉に、たじろぎつつ
〇〇はそっと、普段の自分では決して選ばないような、柔らかな素材のオフホワイトのワンピースを手に取った。
(……ウォーカーさん、これを見たら、なんて言うかな。……変だって、思われないかな)
鏡をみると「冷徹な死神」と呼ばれた自分は、そこにはいなかった。
ただ、次の休日を指折り数えて待ってしまう、戸惑いの中の自分がいた。
「……リナリー。これとか、どうかな…」
「最高よ、〇〇!」
ショッピングバッグを抱え、ホームへの帰り道。
ユウミは、次の非番の日を待つ時間が、これほどまでに長く、そしてソワソワするものだとは知らなかった。
アレン・ウォーカー。
彼が彼女の日常に落とした「感情」の正体を、彼女はまだ、知らない。
ある日の黒の教団
リナリーの部屋ではガールズトークが繰り広げられていた。
任務の報告を終えた〇〇は、差し出された温かい紅茶を両手で包み込みながら、ようやく深く長い息を吐き出した。
外では「冷徹な死神」や「感情のないファインダー」と囁かれ恐れられている〇〇だが、リナリーの前でだけは、その鎧を脱ぐことができた。
同じ戦場を知り、大切な人を失う痛みを共有できるリナリーは、〇〇にとって唯一、素の自分として言葉を交わせる、かけがえのない友人だった。
その〇〇が今、ここ数日胸の奥で渦巻いている「不可解な動揺」について、ぽつりぽつりと話し始めた。
出会った夜のこと。
焚き火の前で流した涙。
アレン・ウォーカーという、あまりにも真っ直ぐで、残酷なほど優しいエクソシストのこと。
そして、彼に連れられて行ったレストランで、マカロンの甘さに心を溶かされたあの瞬間のこと。
「……ウォーカーさん、不思議な人なの。事務的な関係でいいはずなのに、私の心の境界線を、いつの間にか踏み越えてくる。」
「ふふ、アレンくんらしいね」
「何を考えているのか、全然分からなくて。今日も廊下ですれ違っただけで、なんだか……息苦しいというか。胸のあたりが、こう、キリキリするんだよね…」
リナリーはカップを口元に運び、悪戯っぽく微笑んだ。
「それで? 次のお休みの日、二人でカフェに行く約束をしたんでしょう?」
「……うん。でも、断る理由もなくて。ただ、なんだか最近、ウォーカーさんと目が合うだけで心臓がドクドクして…これ、何かの病気の前兆?あるいは、蓄積した任務の疲れか……」
「病気、ねぇ……ある意味そうかも」
リナリーは確信犯的な笑みを浮かべたが、あえてその正体を口にはしなかった。
検査した方がいいのかな…と深刻な顔でボソボソつぶやいている〇〇を華麗にスルー。
「それで?当日に何を着ていけばいいかって、私に相談しに来たんでしょう?」
「……っ! それは……その、団服だと、ウォーカーさんに『堅苦しい』って笑われる気がするから。あくまで私服の彼に合わせた、適切な『礼儀』としての装いというか……」
「……あら。アレンくんに『可愛く見られたい』って思ったんじゃないの?」
「べ、別に、そんなんじゃ……っ! ただ、失礼のないようにというか、場の雰囲気に馴染むように……そう、カモフラージュの一種だよ!」
必死に弁明する〇〇だったが、その瞳は期待と不安で落ち着きなく揺れていた。
今まで、仲間の死を見送るたびに「感情」という余計な荷物を捨ててきた。
けれど今、アレン・ウォーカーという存在が、彼女に「一人の女の子」としての面倒な悩みをもたらしている。
「いいわ、その『カモフラージュ』、私が手伝ってあげる!」
リナリーが楽しそうに立ち上がり、〇〇の手を引いた。
「今からお買い物に行こう! アレンくんを驚かせちゃうような、とびきりの一着を一緒に探そう?」
…
街のブティック。
リナリーは次から次へと、〇〇に似合いそうな服を鏡に当てていく。
「これはどう? 落ち着いたネイビーだけど、袖のカットが綺麗で〇〇にぴったり。……あ、こっちの淡いアイボリーのワンピースも、清潔感があって素敵!」
「そんな明るい色は……私には、似合わないよ。もっと、目立たないグレーとかでいい」
「ダメよ。せっかくアレンくんが、非番の〇〇に会いたいって言ってくれたんだから。……ねえ、〇〇。自分を隠すのはもう終わり。あの夜、彼に見せた笑顔に似合う服を、選んでみない?」
リナリーの言葉に、たじろぎつつ
〇〇はそっと、普段の自分では決して選ばないような、柔らかな素材のオフホワイトのワンピースを手に取った。
(……ウォーカーさん、これを見たら、なんて言うかな。……変だって、思われないかな)
鏡をみると「冷徹な死神」と呼ばれた自分は、そこにはいなかった。
ただ、次の休日を指折り数えて待ってしまう、戸惑いの中の自分がいた。
「……リナリー。これとか、どうかな…」
「最高よ、〇〇!」
ショッピングバッグを抱え、ホームへの帰り道。
ユウミは、次の非番の日を待つ時間が、これほどまでに長く、そしてソワソワするものだとは知らなかった。
アレン・ウォーカー。
彼が彼女の日常に落とした「感情」の正体を、彼女はまだ、知らない。