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「ってな感じで
彼のことがだーい好きな里香ちゃんに呪われてる
乙骨憂太くんでーす
皆、よろしくー!!」
悟先生の説明を聞きながら、あの時里香ちゃんが私の事を覚えていてくれていなかったら危なかったのかもと考えた
改めて憂…乙骨くんを見る。昔よりも遥かに伸びた背丈に体つきも細いけれど男性らしくなっていて、幼い頃には無かった目の下のクマがとても心配になる
あの明るく話しかけてくれた頃と大分変わってしまっていて、昔のように呼んでいいのかわからなくなった
悟先生のちゃちゃっと紹介するねという言葉に意識が戻る
「呪具使い禪院真希
呪いを祓える特別な武具を扱うよ」
「…」
「呪言師狗巻棘
おにぎりの具しか語彙ないから会話頑張って」
「こんぶ」
「パンダ」
「パンダだ
よろしく頼む」
「イタコ五百雀 すずめ
…は知り合い?みたいだから説明はいらないかな」
「えっと…覚えているかわからないけど
五百雀 すずめです。よろしくお願い致します」
「とまぁ、こんな感じ」
乙骨くんは戸惑うように私達を見て、私と目が合うと逸らされたことに少なからずショックを受けた
それなりに里香ちゃん中心に3人で仲良くしていたと思うんだけど…この反応は覚えてないのかな??
悲しく感じながらも、悟先生の呪術実習のペア分けの話に集中する。棘くんとパンダくん、真希ちゃんと乙骨くんの組み合わせに私は補佐で基本は悟先生との待機になった
-----...
移動中の車は後部座席に私が真ん中で3人で並んで乗り込む、少しだけ狭いし2人とも無言だから気まずく感じる
何よりチラチラとこちらを気にする乙骨くんの視線が気になりそちらを見ると目を逸らされてしまう
「…ゆ……お、乙骨くん!」
「ぇ、あ」
「初実習だから緊張すると思うけど、真希ちゃんすごい強いし補佐に私もいるから安心してね!
いざって時は助けに行くから怖くないよ!」
ね!と両手で優しく乙骨くんの手を握ると戸惑うように顔を赤くしながらまた目を逸らされてしまう
昔はスキンシップをしてもこんな反応をしなかったのに…
里香ちゃんの件であまり人と関われていなかったみたいだし昔ほど慣れてないんだろうか
「あの…すずめちゃん」
「!!なに??」
「…っ、その、近い」
「あ、ごめん、ね?」
昔みたいに呼んでくれたのが嬉しくて前のめりになってしまった姿勢を戻して
握っていた手を離そうとすると握り返された
咄嗟だったのか無自覚だったのか、何故か謝りながらも握る手の力が緩むことは無かった
なんだか、それが嬉しくて口元が緩んでしまう
「って、さっき何か言いかけてたよね?」
「あ…あのさ…昔みたいに呼んでくれたりは…しないのかなって…」
「え、呼んでいいの?むしろ覚えてたの!?」
「忘れるわけないじゃないか!」
その言葉に少し泣きそうになった。
嬉しいと涙を流すことがあるらしいけど正にそうなりそうで
でも、ちょっとかっこ悪いから笑顔でそれを誤魔化して彼をまっすぐ見つめ
「覚えててくれてありがとう…
憂太くん、里香ちゃん」
「…っ、うん」
「おい、もうつくぞ」
「あ!仲間はずれにしたわけじゃないよ、真希ちゃん」
「別にそこに入りたいとも思ってねぇよ」
「そんなこと言って〜
寂しかったり「しねぇ」
つれないな〜と言いながら片手を握るが振り払われたりはしないのを知ってる
2人の手を握りながら「任務気をつけてね」と少し手の力を込めると2人とも握り返してくれたことに安心した
-----...
「それで?」
実習先である小学校に2人が入っていくのを見届けた後、悟先生は車に寄りかかりながらこちらに話しかけてきた
これは、もしかしなくても里香ちゃんと憂太くんのことだろうと少し苦笑いをもらす
「…私がまだ5か6歳の頃に悟くん達が私を助けてくれたでしょ?その後に数年入院した病院が憂太くん達と一緒で
里香ちゃんは病室も一緒でベッドも隣だったからすぐに仲良くなって、その後友達になったのが憂太くんだったの
それまで、抜け殻みたいになっていた私を助けてくれたのがあの2人で…2人は先に退院しちゃったけど、よくお見舞いに来てくれてた
そういえば、退院したらプレゼントがあるって里香ちゃん言ってたけど…結局貰えなかったな〜
精神が安定した時には私も落ち着いて術式が組めるようになっていたし、その後は知っての通り
悟くんが迎えに来てくれて今の私がいるってだけ!!」
私にとっては歳の近い初めての特別なお友達で2人からしたらもしかしたら少し邪魔だったのかもと笑い話のように話す
里香ちゃんと憂太くんが婚約者になっているのは驚いたけれど、あの頃から2人はお似合いで
再開したら、まさかあんな状態なのは驚いたし正直…
「里香ちゃん…死んでたんだ…」
と受け入れたくない現実を受け入れる為にも声に出す
幼い頃の私が何年も心ここに在らずな状態のまま、精神的苦痛のせいで真っ白な髪が不気味だと周りに言われていた中
里香ちゃんが入院してきた日に「綺麗な髪だね」と優しく微笑みかけてくれた。その表情がまるで後光が差してるようで。神様みたいで。
当時の私はあの人に代わる何かに縋っていたかったんだと思う、すぐに里香ちゃんに懐いて彼女といるのが楽しかったんだ
もう、あの頃のように白くないこの黒髪をみたら彼女はまた褒めてくれるだろうかとかもう叶わないことを自分の腰まである髪を見つめながら思う
ふ、と頭を撫でられる。悟くんがこっちを見ずに慰めるように手を動かすのをなんだかかんだ優しいなと感じる
「…この話はここでおしまい!
話を聞いてくれてありがとう、悟先生」
「…」
いつも通りの生徒としての呼び方に切り替え小学校の方を見る。悟くんが何か言いたそうにしていたけど気付かないふりをした
憂太くん達が建物の中に入ってからまだ呪霊の動きはない
2人は大丈夫だろうかと意識を集中して呪力感知をすると2人の傍に大きい呪霊が近づいているのを感じた瞬間に校舎が半壊した
咄嗟に動こうとしたのを悟先生に止められる。まだ手を出すなということだろう
私は祈るように手を合わせる。どうか、どうか2人が無事でありますように…
…To Be Continued