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任務先である廃病院につき帳を降ろす。気配を探ると地下に大きい呪霊がいるのを感じた
その呪霊に引き寄せられたのか弱い呪霊も多数いるようでそこら中に気配を感じる
まぁ、襲ってこないのはとりあえず無視でいいだろうと地下への階段を探す
「確認ですが
君、もしかして本当に呪力感知苦手ですか?」
「…ごめんなさい」
「噂だと思ってました」
視線の向け方の違和感はそれかと前を向き直る。呪力量は申し分無い、2級に上がれているなら戦闘センスもそれなり…呪力感知のみアバウトなのだろう
特級過呪怨霊を傍に置いていたという話から、そのせいで呪力感知はザルだという噂は耳にしていたけど
それでよく今まで無事だったものだ
しかも、あの人を瀕死までおいやったとも聞いている。実力はあるのだろう
「…呪力感知も自分の身を守るための1つの手段です
感知能力が高いだけでも戦闘能力が高いだけでもダメだと私は思ってます
ステータスはバランス良く。周りを見るのではなく、呪力の流れを感じるように周囲を意識するところから始めて下さい」
君は周りを見すぎです。と武器である鎖鎌を手に持ち
彼を突き飛ばすと床を突き破り呪霊が飛び出してくる。1級相当と聞いていたけれどそれ以下なのだろう、そこまでの呪力を感じない
「八雲さん!!!」
「私は大丈夫ですよ
アイツは2級ぐらいです
サポートしてあげますので、君が倒してください」
お手並み拝見と言いながら数歩後ろに下がる
乙骨くんは刀を構えそこに呪力を纏わせながら戦うスタイルのようだ
太刀筋も良いし多少の読み違いはあれどあの人…夏油先輩を瀕死まで追い詰めただけあると考えながら
乙骨くんに当たりそうな攻撃を鎖鎌でいなす
彼がトドメを刺すと呪霊の断末魔が響き消えていく
「…67点ですね」
「え?」
「無駄な動きが多いです。27回避けきれない攻撃をいなしましたが避けれなくもなかったと思います
あと、呪力量が多いのに刀を主にし過ぎ
君ぐらいの呪力量なら体全身に纏わせて攻撃の予想をしずらくする方がいいと思いますよ
まぁ、自分の呪力量を測り違えば意味の無いスタイルになりますがそれは実践で慣れるしかないです
どこか、自分の力をセーブする癖があるようなのでそこを直すところからですね」
つらつらと意見を述べると唖然とした顔でこちらを見る彼になんですか?と少し怪訝そうに言うと
慌てたように視線をずらした後、とても言いにくそう
「八雲さんって優しい方なんですね」
と笑顔を向けられた
その言葉に私は「は?」と睨みをきかせると
「いや、だって…なんだかんだ言いながらもアドバイスをくれますし
最初に五条先生と話していた時は助けないとか言ってたのに助けてくれました
それに、僕の心配をすごくしてくれるから…優しいなって」
「…君、悪徳商法とかにカモられそうですね」
「え!?」
「私は優しくはしていません
呪術師はいつでも人手不足です。なので、少しでも早く成長をして欲しいだけ
君個人の心配はしてませんので、早いこと私に認めさせて準1級に上がってください
それに…」
言葉を止めた私に対して首を傾げる乙骨くんを見る
あどけない表情は普通の男子高校生で、彼の過去の話は聞いている、そのことについてはもう吹っ切れているのかわからないけど
周りの人の環境も良かったのだろう、一歩間違えたら彼も呪詛師として存在していたのかもしれない
「…なんでもありません
次の任務の予定は急なものが入らなければ1週間後です
また同じ時間に正門まで」
そういいながら、人型の紙を取り出しそこに自らの血を垂らし文言を唱えると血文字が現れる
「おいでませ、管狐」
紙が青く燃えると何処からともなく小さい狐が肩に乗る
きゅうっと鳴きながら甘えるように擦り寄ってくる管狐を優しく撫でる
「君にこの子を預けます。私の使役している式神なので、君の傍にいれば場所を私に知らせてくれます
急な任務が入った時はこちらから迎えに行くのでこの子から離れないでください」
「管狐よろしく」と言うとまた一つ鳴き乙骨くんの足元に擦り付く
すぐに懐くなんて珍しい…元々甘えんぼな子ではあるけど、警戒心はとても強い
そんなこの子が甘えるように彼に頭を擦り付けるのが意外だった
「わぁー、狐だ」としゃがみながら管狐を優しく撫でる彼の肩にひょいっと乗り頬に擦り付く
「人懐っこいですね」
「…君があほ面を見せてるので警戒心が働いていないだけですよ」
「なんか…拗ねてます?」
「拗ねてません」
私に懐くのにも時間がかかったのにと呟き
乙骨くんに視線を戻す。未だに管狐を緩んだ表情で撫でる彼を軽く蹴る
時計を確認するともうすぐお昼になるところだ
「…今日の実習はここまでです
帰ったらちゃんとご飯を食べて休んで下さい
それと、管狐は呪力コントロールの補助をしてくれます
それで感覚を掴むのも有りだと思いますよ
それでは」
「あ、ありがとうございます!!」
彼の声を背に来た道を引き返す
-----...
ある程度、離れたところまで歩いた後。先程からずっと感じていた気配の方を見る
ちゃんと不愉快という顔になるよう意識をしながら
「生徒の様子見ですか?
いい先生になりましたね。五条先輩」
「おつかれサマンサー
やっぱり気づいてたか〜」
おちゃらけた様子でこちらに手を振りながら現れる彼に睨みをきかせる
そんなことも気にしていないのだろう、笑顔なまま近づいてきた
「ねぇ、やっぱり八雲も高専で先生になろうよ
君の観察力と面倒みの良さは先生向きだと思うんだけどな」
「お断りします
そんな、人と関わることが増えるようなことしたくありません」
「なに?灰原のこと引きずってんの?」
元同級生の顔を思い出す。いつも笑顔で私と七海の静止も聞かず自由に行動して
物事を深く考えないところが心配ではあったけど、そんなところに救われたことも何度もあった
「……引きずるも何も無いです
私は何とも思ってませんから」
「引きずってんじゃん
どうせ、傑のことも未だに好きなんだろ?」
その言葉に一気に頭に血が上る
いけないとわかっていても地雷を踏み抜かれれば怒りで冷静にはなれなかった
「うるっさい!!私はもう何とも思ってない!!お前らのことなんか…大嫌いだ!!」
「…いい加減前向けよ」
「今更、先輩面なんかすんなよ…
私に大切なものを作らせようとすんな
余計なお世話なんだよ…1人にさせてよ…五条先輩…」
ああ、昔にも似たようなことをこの人に言ったな。と、変わらない。私だけ進めてないやと
この言葉はただの八つ当たりで、五条先輩を傷つける行為で
「…囚われすぎるなよ
そのままだと生きづらくなる一方だよ」
「…」
「明日、来なよ高専
見学だけでもさ
優しい先輩が待っててあげる〜」
その言葉に返答することは無かった
奥歯を噛み締め舌打ちをもらし手を強く握る
小さく呟く謝罪の言葉はきっと届いてはいないのだろう
...To Be Continued